2023.09.19

室木おすし「プロサウナーSHOWの熱波に焦がれて…」第9話/「スイスのサウナが想像を軽く超えてきたの巻(前編)」【UOMOマンガ】

プロサウナーSHOW & プロテイナーYUSUKE
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日本から遠く離れた異国の地、スイスからお届けする 初の海外編。極東の地から訪れたサムライサウナーは 蒸気で霞たつその一室で、果たして何を目撃したのか!? 未知との遭遇を、読者諸君も刮目せよ!

室木おすし「プロサウナーSHOWの熱波にの画像_1

 SAUNA、HAMMAM(ハマム)、BAIN TURC(トルコ風呂)…。そう描かれた怪しげな看板を横目に、受付で20フランを支払うと、案内されたのは心細いほど狭いスペースの個室ロッカールーム。脱衣しながら、いつもならこれから浴びる熱波に思いをめぐらせ胸の鼓動が徐々に高鳴るところだが、どうやら今回は勝手が違うようだ。そう、それはここが日出ずるサウナ大国・日本からはるか遠いスイスのジュネーブだからだ。


のっけから完全なるアウェイの洗礼…。プロサウナーと銘打つ俺も、海外でのサウナ体験に不安がなかったといえば噓になる。しかし、そんな不安を一掃するほどの衝撃がここジュネーブのサウナで俺を待っていた。サウナルームの扉を開けたその刹那、自らの体温が一瞬で上昇したのは言うまでもない。なんと混浴なのに、みな全裸なのだ! そこでは男も女もまさに一糸まとわぬ、生まれたままの姿。ある者は大股を広げ、またある者はこちらを挑発するかのように大胆に寝そべっている。水着を着た間抜けな東洋人の入室にも瞬き一つせず、サウナストーンの焦熱に興じているではないか!


そして俺は瞬時に悟った。なるほど、これが世に聞く“ゾーン”というヤツか! 熱波の波長が完全に己とシンクロしたとき、人は外界から完全に遮断され極度の集中状態に埋没するという。すぐ隣で四肢をあらわに寝そべる裸婦の姿さえ、まったく気にならない究極の自己解放とリラクゼーション。そんな無我の境地にこのサウナ室の住人たちは達しているのだ。恐るべしジュネーブ…。(後編へ続く)


室木おすし「プロサウナーSHOWの熱波に焦がれて…」第9話/スイスのサウナが想像を軽く超えてきたの巻(前編)_イラスト

SHOWのひと言メモ

ドライサウナは高温と低温の2部屋で、室内はとてもクリーンな印象。すのこで段状に造られたレイアウトやサウナストーブも日本とさほど変わらない。が、サウナは基本、混浴&全裸スタイル…。「バスタオルを身体の下に敷き、汗を床に垂らさないように!」と、受付でことさら注意されるが、気にするべきところは果たしてソコなのか!?

 

今回のサウナ:[ジュネーブ]バン・デ・パキのサウナ

[ジュネーブ]バン・デ・パキのサウナ

レマン湖の噴水と、ジュネーブの旧市街が一望できるパキ防波堤内にあるサウナ施設。ドライサウナに加え、スチームバス(ハマム)、トルコ式蒸し風呂などがあり、水風呂はなんと湖そのものというから驚き! 料金は20フラン。
https://www.bains-des-paquis.ch/


※UOMO2019年5月号掲載。内容は本誌発売当時のものです。


室木おすしプロフィール
イラストレーター。マンガ家。1979年生まれの三児の父。ペンネームである「おすし」は、寿司屋でのアルバイト経験から。単行本『悲しみゴリラ川柳』『貴重な棒を持つネコ』『君たちが大人であるのと同じく』発売中。UOMOでは『プロサウナーSHOWの熱波に焦がれて…』に続き『プロテイナーYUSUKE』を連載。

 

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