ハーバーに飛び込むことで、せわしない日常をリセット。頭が沈む瞬間に自由を感じる、裸のウェルネス。
「ポンド コペンハーゲン」創設者
都市の中で水と暮らす幸せを友人や家族とシェアしていく

コペンハーゲンの中心街から少し北へ行ったノーハウン地区に、人工的なハーバーがある。そこにあるサウナ施設に集まったディップ クラブのメンバーたち。日本だとちょっと大胆?なポンドの水着をはいて、精神統一。

「サウナは心と身体が一つになれる」という創設者のミケル。「冬の寒い時期に泳ぐのは苦手なんだ。だからディッピングは夏限定だね」と笑いながら答えてくれた。

原則として温冷反復浴を2回繰り返すが、堅苦しいルールはなし。水風呂の周りにはビールやナッツ、スポーツドリンクなどが用意され、ピクニックのように楽しむ姿が印象的。

その後、取材のためにハーバーへ移動してくれたメンバーたち。ついにディッピングがスタート。この日の水温は約5度で、見た目以上にハードなアクティビティだった。



コペンハーゲンには「Dip」という海に飛び込む文化がある。日本語でいうなら、寒中水泳か水風呂か。ハーバーバスと呼ばれる、海水浴を楽しめるスポットがあちこちに整備されていて、サウナ後の火照った身体で海にダイブできる。サウナ文化先進国のこうした習慣は、パンデミックと同時に急速に広まり、のちに「ポンド コペンハーゲン」を創設するミケル・ベクスホフトにとっても定期的なルーティンになった。そして2021年、都市の水を愛する人に高品質なスイムウェアを提供するこのブランドは始まった。
「都市で暮らすのは大好きですが、自然からは離れてしまいます。ディッピングはそのバランスを適切にしてくれます。日常の忙しさを相殺するリセットボタンのようなものです。仕事の後でこっそり泳いで、都市の真ん中で静かな瞬間を味わうことは、セルフケアであり意義深い儀式なんです」。この日は自身で立ち上げたコミュニティ「コペンハーゲン ディップ クラブ」のみんなで、サウナからのディップツアーへ。日本流の“ととのう”ことより、水のアクティビティを楽しむという感覚が強いのが印象的だ。「友人と過ごす、水泳のある日常は幸せです」。