彼らは一体何を着て、どんな仕事をして、いかに肌や髪をケアし、どういったことに楽しみを感じているのか。同じく40歳男子である編集部員が出会った三者三様のライフスタイルから、その魅力を構成する要素を抽出。令和の40歳男子はこんなにも若々しい。
遠藤 俊｜41歳／美容師
SISTER MOHAWK
東京都目黒区青葉台1-13-6 2階
TEL：03-6277-5875
シンプルで一途な美容
ほんとに40代！？ これが僕が初めて遠藤さんに会ったときの印象。髪と肌にはツヤがあり、身体は引き締まっているけれど物腰はやわらか。「春になったらピンクや水色など明るい色を着たいです。あとこれまで古着が多かったので、パリッとしたドレスシャツをカジュアル使いしてみたい」。はじめての色や服にも積極的だ。現在、フリーランスの美容師として、特定のお店に勤務せず個人で予約を受けつけ、シェアサロンで顧客の髪を切っている。この仕事スタイルは今、珍しいことではないようだ。仕事柄、きっと美容には並々ならぬこだわりがあると思いきや、そのステップはいたってシンプル。洗顔後はローションのみ、常に携帯するリップクリーム含めキュレルで統一。「手頃な価格なので使い始めたら、肌トラブルが特に起こらないので買い続けています。マイナスの要素がないから、変える理由がないんです」。ある種、願かけのようなもの。「香水はル ラボの『サンタル 33』を、お店で詰め替えてもらいながら何年も使い続けています。絶対に切らしたくない、僕にとってはトイレットペーパーのような日用品になっています」。愛用するニベアの青缶からクリームをすくってから、つけたのは肌ではなく髪だった。
課金先はカラダ
遠藤さんの朝は早い。「最近は実年齢より若く見られることがうれしくなりました。その秘訣があるとすれば、趣味の筋トレと和食ですかね」。小麦粉、砂糖、乳製品などは極力控え、朝食はきまってご飯、味噌汁、鮭、卵、野菜の和定食を自炊している。食事後は近所のジムに通い、1時間以上トレーニングをするのが日課。穏やかな第一印象からは想像がつかない鍛え上げられた肉体、このギャップも遠藤さんの魅力だ。取材日も集合時間の30分前から全身ナイキのトレーニングウェアに身を包み、すでに軽く汗を流しながら僕を迎えてくれた。起床からサロンでの仕事までに数時間を要する毎日。「もうルーティンなので、早朝がつらいという感覚はないです。むしろこの習慣が乱れるほうがつらい。食事制限も実は面白くて、休日においしい和食のお店を見つけるのがくせになっています」。ストイックな生活から一人暮らしと勝手に思い込んでいたが、現在彼女と楽しく同棲している。
エニタイムフィットネス中目黒店
東京都目黒区上目黒3-8-5 2階
TEL：03-5724-3516
コンプレックスを受け入れる
「僕、脚が短いんです。だからパンツは絶対フレアシルエットと決めていて。昔の服選びはデザイン第一でしたけど、40歳をすぎてから、体型カバー優先という思考にシフトしました。これを話すことにも抵抗はありません。パンツがダークカラーであれば白ソールの靴とか、白スニーカーも履きません。カラーブロックで脚の短さが強調されるから。黒パンツには黒靴、茶パンツには茶靴。肩にも筋肉がついたので、スウェットやニットはセットインスリーブよりラグランスリーブがいい。自分の体型を熟知したうえで、似合う服を着るのがいちばんだと思っています」。フレアパンツにコモリのレザージャケットとヴィンテージのブーツを合わせた姿は、確かにスマートに見える。それは視覚効果だけでなく、コンプレックスを受け入れたことが自信につながり、背筋が伸びて堂々として見えるからだろう。お気に入りのお店はst-pour homme、Godard Haberdasheryなど表参道から脇道にそれたり、少し離れた場所、いわば「裏青山」に集中している。「筋トレのモチベーションはやっぱり、服が似合う肉体でいたいから」。自然体の40歳男子は自分のルールをもち、それを守ることが楽しみになっており、若々しさに満ちていた。
st-pour homme
東京都港区南青山5-17-13 1階
TEL：03-6427-4529
