2026.03.20
最終更新日:2026.03.20

【なぜ都市にサウナは必要なのか】タナカカツキ&南貴之対談「サウナは“強制終了”するための時間」【高輪SAUNASオープン記念】

【なぜ都市にサウナは必要なのか】タナカカの画像_1

2026年2月、マンガ家・タナカカツキが総合プロデュースを手がける都市型サウナ施設「高輪サウナス」がオープン。その記念企画として、クリエイティブディレクター・南貴之が手がけるブランド「FreshService(フレッシュサービス)」によるサウナライン「ReFresh!Service.(リフレッシュサービス)」とのコラボTシャツが制作された。これをきっかけに、両者によるスペシャル対談が実現。二人はこれまでもつながりはあったものの、実際に顔を合わせるのは今回が初めて。

なぜ都市にサウナは必要なのか──。初対面とは思えないほど話は弾み、サウナ談義は早くもヒートアップ! サウナカルチャーの現在地をざっくばらんに語り合った。

「悔しいけど、これはヤバい」。サウナ沼の入口

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南貴之(以下、南):僕がサウナにハマったのは6〜8年前くらいです。友人にずっと「絶対いいから入れ」と言われていたんですが、正直サウナって苦行のイメージが強かった。学生の頃、部活の減量で先輩に行かされていた思い出しかなかったので。

タナカカツキ(以下、タナカ):実際は痩せる効果は期待できないんですけどね。

:そうなんです。だからずっと断っていたんですが、出張先で時間がぽこっと空いて。あんなに言ってきてるんだから入ってやるかと。「どうやって入るの?」と友人に聞いて、その通りにやってみたんですよ。サウナ室→水風呂→休憩を3セット。

タナカ:それは理想的な入り方ですね。

:正直、ちゃんとやってもダメだってことを証明してやろうと意気込んでいたんですが……悔しいけど「これはヤバい」となってしまって(笑)。僕は趣味と呼べるものがあまりなかったんですが、「これ、趣味ができたかもしれない」と思いました。

タナカ:そこから完全に沼ですよね。

:完全に沼でした。地方出張に行くたびにいろんなサウナを巡って。ついには京都の家にサウナを作り、業務用のチラー(冷却水循環装置)まで買っちゃいました。水風呂の温度は大事なんで。

タナカ:チラー!? それは猛者中の猛者ですよ。水を冷やす装置って電力もかかるし、普通はそこまでやれない(笑)。

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:あはは! でも、体調はかなり変わりました。風邪をひかなくなったし、肩こりもなくなった。サウナに入る前は冬になるとマッサージに行かないとダメだったんですけど、今はまったく行かないですね。

タナカ:僕も同じです。昔は鼻炎、皮膚疾患、肩こり、腰痛といろいろありました。背中なんてずっとかゆくて、皮膚がボツボツになっていたんですよ。ただ、当時はちょうど仕事がアナログからデジタルへ移行していく時代で、それがとにかく面白かった。郵送していたものがメールになったり、データ納品になったり、コピー劣化しない世界がやってきたり。いろんなカルチャーも一気に入ってきて、四六時中モニターの前にいても全然苦じゃなかったんです。ゲームを作ったりして、ずっと画面に張り付いていましたね。だから体調のこともあまり気にしていなかった。ところがサウナに通うようになって、だいたい5年くらい経った頃ですかね。ふと気づいたら、それまでの不調が全部なくなっていた。風邪もまったくひかなくなったし、体の調子が明らかに変わったんです。

:同じですね。

タナカ:ただ、花粉症だけは残りました(笑)。

:やっぱり! そこも同じく(笑)。でも、薬を飲む期間は短くなった気がしてます。

サウナ文化の名物、“主”という存在

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:話は変わりますが、銭湯サウナって、いわゆる“主(ぬし)”がいますよね。

タナカ:いますね。サウナ室ってひな壇じゃないですか。あれって心理的にもピラミッド構造なんですよ。上段が偉い。主は基本、上段に陣取ってますね。

:時間帯ごとに主がいるらしいですね。16時の主、20時の主とか。

タナカ:そうそう(笑)。ただ、主のいいところもあって。マナーを教えてくれるんです。たとえば新人が汗を流さずに水風呂にそのまま入ろうとすると「ダメ!」って怒られたり。

:文化を守る役割でもあるんですね。

タナカ:そうなんです。応急処置も主がめちゃくちゃ上手いらしいですよ。ただ、強すぎる主もいます。水風呂にお湯を足しながら入るとか(笑)。

:主なのに、水に弱いんですか!? それはちょっと困る。僕が知っているのは、体毛を剃る主です。桶を片手に、足から丁寧に剃り上げていくんですよ。サウナ室の中で。あれにはびっくりしました。

タナカ:肌が柔らかくなっているから剃りやすいんでしょうね。

:めちゃくちゃツルツルでした(笑)。

タナカ:そういうキャラクターが生まれるのもサウナ文化の面白いところなんだと思います。どこのサウナにも、だいたい一人はいますから。

サウナが舞台になる「ショーアウフグース」

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タナカ:ところで、ショーアウフグースってご存知ですか? 

:いえ、初めて聞きました。

タナカ:ロウリュで生まれた蒸気をタオルで撹拌する“アウフグース”をショーとして演出するんです。サウナシアターと呼ばれる大きなサウナ室に、300人くらい入るんですよ。そこで演者が蒸気、香り、音楽、照明を使って15分間の演目を作る。

:へぇ、15分のショーなんですね。

タナカ:そう。蒸気コントロールだけじゃなくて、ストーリーや演技力も評価される。いわば“サウナ版の舞台芸術”なんです。世界大会もあって、各国のトップアウフグースマスターが集まる。僕も審査や取材で見に行くんですが、1日に16演目くらいあるんですよ。

:16回も!?

タナカ:全部見ると身体はかなり危機的状態になります(笑)。汗の量も半端じゃないので、イオン飲料を点滴のように飲みながら見るんです。

:健康になりに行ってるのに(笑)。

タナカ:でも、すごいんですよ! 観客はサウナの熱で身体が極限状態になっているので、肌の感覚がものすごく鋭くなる。そこに音楽やストーリーが重なると、感情が一気に動くんです。ヘレンケラーの演目をやったことがある人がいたんですが、あの有名なセリフ「ウォーター!」のところでは、300人が全裸でスタンディングオベーション。泣きながら拍手して、みんなでハグして終わりました。

:それは見てみたい!

タナカ:去年はホラー作品が優勝しました。こんなに暑い空間で“寒気”を感じさせる演出をして。ゾクっとしたんですよ。あれを体験すると「人間ってまだこんな身体感覚を持っているんだ」と思うんです。

サウナ後まで考えたコラボロンT

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:そしてここで、コラボさせていただいたロンTの紹介もさせてください。僕がやっている「フレッシュサービス」のボディをベースにして、バックのグラフィックをタナカ先生に描いていただきました。

タナカ:はい。けどこれ、完全に南さんのための服じゃないですか(笑)。

:まあ、半分はそうですね(笑)。でも、サウナに通っている人にはすごくいいと思います。このロンT、生地から開発しているんです。サウナの後って、体温が上がっているから汗をかいている時間が長いじゃないですか。普通のコットンだと重くなるし、乾きづらい。だから、とにかく「速乾性のある素材」で作りたかった。

タナカ:確かにサウナ後って、しばらく代謝が上がったままですからね。普通に電車に乗っても汗をかく。

:そうなんです。だから速乾性は絶対条件。でもスポーツウェアみたいにテカテカした生地は嫌だった。見た目は普段着として着られて、でも機能はスポーツウェアに近い。そのバランスをずっと生地屋さんにお願いして作りました。

タナカ:さらっとしていて良いですよね。そうそう、サウナ好きの人って、だいたい着替えを持ち歩いてるんですよ。あとサウナ前も後もロッカールームに長居したくない。混んでいたり、空気がこもっていたりするので。

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:わかります。だから、いかに早く脱いで、いかに早く着て出られるか。服も自然とそういう視点で選ぶようになりましたね。

タナカ:僕も服を選ぶ基準が「脱ぎやすいかどうか」になっています(笑)。

:なので、リフレッシュサービスの服は、ジップアップやイージーパンツ諸々、全部「すぐ脱げる」設計にしています。サウナに行くときにそのまま着ていけて、そのまま街にも出られる服。

タナカ:サウナって、基本的に“手ぶらで行ける”のがいいんですよね。

:そうなんですよ。だから大げさなウェアじゃなくて、普段着の延長でありたい。でも機能はちゃんとサウナ仕様。このロンTも、汗をかいてもベタつかないし、乾きも早い。僕自身、夏はこの素材の服しか着ていないくらいです。冬のインナーもこの素材のものを愛用中です。

タナカ:サウナにハマると代謝が上がるので、服の選び方も変わりますよね。汗をかくことが前提になるから、速乾性の素材は本当に重要になってくる。

:そうですね。サウナが生活に入ってから、服の考え方が少し変わった気がします。

なぜ都市にサウナが必要なのか

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タナカ:僕は都市にサウナがあることが重要だと思うんですよ。田舎に行けば自然がありますよね。でも都市に住む人は、五感を使う体験が圧倒的に足りない。

:都市に住んでいる人は忙しいですしね。

タナカ:サウナってスマホも持ち込めないし、裸で入るしかない。つまり情報を完全に遮断できるんです。現代人って身体の疲れより、脳疲労の方が大きいと思うんですよ。常に何かを見て、何かを聞いて、何かを考えている。情報がずっと流れ込んでくる生活ですよね。でもサウナに入ると、それが全部止まる。

:確かに、サウナに入っているときだけ時間の流れが変わる感じがありますね。

タナカ:今は情報が途切れない社会です。スマホを見ない時間って、ほとんどないじゃないですか。だからこそ、一度“強制終了”する時間が必要なんです。サウナって、そのスイッチを物理的に押してくれる場所なんですよ。社会の役割から一度外れて、ただの身体になる。都市生活の中では、そういう時間ってほとんどない。僕はそれを「自然欠乏症」みたいなものだと思っていて。自然の中にいるときって、石や木や水の温度とか、風の匂いとか、そういうものを身体で感じているじゃないですか。サウナって、実はそれにすごく近い体験なんです。石の熱だったり、蒸気だったり、水の冷たさだったり。五感を使う自然体験なんですよ。

:確かに、都市の中にいながら自然に近い感覚を味わえる場所かもしれないですね。

タナカ:ヨーロッパではサウナって“ウェルネスカルチャー”なんです。日本だとサウナは銭湯やスーパー銭湯の中にある“レジャー”として捉えられていることが多い。でもヨーロッパでは、身体や精神をととのえる文化として生活の中にある。だからテレビもないし、マンガもない。ただ身体と向き合う時間なんです。

:なるほど。

タナカ:都市の中でそれを意識的に作る場所が必要なんです。情報社会の中で、身体の感覚を取り戻す場所。都市にサウナを作る意味は、そこにあると思っています。

高輪サウナスが目指す“体験”

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:高輪サウナスも、そういう体験を意識しているんですか?

タナカ:かなり意識しています。日本のサウナって、どうしても設備の話になりがちなんですよね。サウナが何個あるとか、温度が何度とか。でもそれってハードウェアの話でしかない。サウナ室は、言ってしまえばただの箱なんです。

:施設の話題ってだいたい設備の話ですよね。

タナカ:でも実際のサウナ体験は、その箱の中で何が行われるかで全く変わる。音、香り、温湿度のコントロール、サウナマスターのホスピタリティ。ハードとソフトが合わさって初めて“サウナ体験”になるんです。

:サウナに行き出して、それは実感しています。

タナカ:高輪サウナスがやりたいのは、設備を売ることではなく体験を提供すること。欧州のスパ文化のように、リラックスの深度を深める場所にしたいと思っています。

:サウナって、1時間半くらいで自分をリセットできる感じがありますよね。

タナカ:そう。都市生活の中で、その時間はすごく貴重なんです。でもまあ、そういうことは特別意識しなくても行けば楽しいですからね。サウナって。

マンガ家
タナカカツキ

1966年10月7日、大阪府生まれ。85年、マンガ家デビュー。これまでの代表作に、『逆光の頃』、『バカドリル』(天久聖一との共著)、『オッス!トン子ちゃん』、『マンガ サ道』などがある。UOMOウェブサイトで連載したマンガ『今日もまたそんな日』も好評発売中。また、カプセルトイ「コップのフチ子」の企画原案を務める。さらに、「世界水槽レイアウトコンテスト」世界ランカーの顔も持つ。日本のサウナ大使として活動するかたわら、22年にサウナ施設「渋谷SAUNAS」を、また26年にオープンしたばかりの「高輪SAUNAS」を総合プロデュース。そのほか、映像作品を手がけるなど、さまざま分野で活躍している。

クリエイティブディレクター
南貴之

1976年生まれ。1996年にH.P.FRANCEに入社し、セレクトショップ「CANNABIS」などの立ち上げに携わる。2008年に独立し、alphaを設立。2012年には株式会社alphaを創業し、ブランドのPRやショップディレクション、空間デザイン、イベントの企画などを手がける。自身がディレクションするブランド「Graphpaper」や「FreshService」をはじめ、ショップやブランドのブランディング、店舗設計など幅広い分野で活動している。

高輪サウナス館内の様子をチェック!

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アウフグースなどのプログラムに対応した最大40名収容可能なサウナ室「SOUND」。
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サウナ室の入口には香りの紹介も。
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サウナ後に冷たい水をシャワーで浴びたい人はこちらを。
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寝ながら入ることができる水風呂も完備。
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螺旋を描くユニークな構造により、高さの違いで異なる温度や蒸気を味わうことができるサウナ室「ARC」。
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浴室の中央にあるシンボリックな水風呂。
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より効果的にリフレッシュし、パフォーマンスを向上させるパワーナップスペースを用意。
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「食べること=心とからだを整えること」をテーマにしたプラントベースのカフェレストラン。
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ハーブなどの植物からサウナ室で使用するエッセンシャルオイルの抽出が可能な蒸留所を併設。
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サウナグッズを展開すストアも完備。
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サウナで心身ともにリフレッシュした状態で、快適に仕事ができるワーキングスペース。
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マグ万平氏監修によるウィスキング対応のプライベートサウナ室「HUONE」。

高輪SAUNAS
住所:東京都港区高輪2-21-1 ニュウマン高輪 North 5F
営業時間:11:00-26:00
休業日:不定休 ※イベント等による休業日があります。各SNSをご確認ください。
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