2022.12.29

【大人のベストバイ】サンローランのスウェット、ランバン コレクションのブラウス…  2022年にエディターが「買ってよかった」5選 #08

ファッションからコスメ、ガジェットまで、UOMO編集部員が実際に愛用する名品を毎日1つずつ紹介する「エディター私物」。2022年に本当に買ってよかったお買い物を振り返る。

UOMO編集 西坂の場合


01:Godard Haberdasheryのオーダーメイドジャケット

【大人のベストバイ】サンローランのスウェの画像_1
パターンオーダーとはいえ、ジャケットを誂えたのは何年ぶりだろう。いくらストックする生地やテーラリングに優れたお店だとしても、そこが掲げる芯のようなものが強く感じられないと「ここで作っていただこう」という気持ちにはなかなかならなかったりする。 足しげく通う青山の名店・ゴダールはテーラーでこそないけれど、伊仏の映画や文学などから着想を得る店主・笹子さんのセンスと、サルトで学んだ確かな知識によって、どこの潮流や国籍にも属さないタイプのジャケットを提案している(実際にオーダーを受けて作っているのは大阪のテーラー・ラクア&シー)。 低いゴージに広いラペル、ノーベントにパッチポケット…。時代に逆行しているともいえるけど、逆にここまでくると流行なんてどうでもよく思えてくる。選んだ生地は、伊カノニコのフランネル。千鳥格子は大好物だけれど、白と黒のコントラストが強いものや極端にパターンが大きいものはNG。その点でも、このグレー混じりの生地はちょうどよかった。自分にとって理想の一着、ちょいと渋すぎる感は否めないけど、長く着られるものだし、どうせならこれくらい振りきってよかった。



02:ADAM KIMMELのコーデュロイ パーカ

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2012年に惜しくもブランドを休止したアダム キメル。自分は当時、高校2年生…。おしゃれには目覚めていたものの、学ラン登校と部活動に明け暮れていた当時、アダム キメルをリアルに感じたことはありませんでした。 このコーデュロイパーカは、UOMOでもお馴染みのスタイリスト、池田尚輝さんから購入したもの。池田さんといえば、同ブランドのアーカイブスの蒐集家でもあり、企画展を開いてアダム・キメル氏のクリエイションの再評価を試みたことでも知られています。私も池田さんの企画展に足を運び、アメカジのイメージが強いアダム キメルのアイテムの多くが、イタリア製だったことなどを学びました。 このパーカも例に漏れず「MADE IN ITALY」。生地の質感から、縫製、マニアックなギミックまで非常に手が込んでいます。この非商業的ともいえる、制作に対するこだわりぶりに私もノックアウトされました。デザイナーズのアーカイブは、つい大事に保管してしまいますが、洋服はやはり着てナンボ。今年は全身をコンパクトなシルエットにまとめて着てみようと思っています。



03:LANVIN COLLECTIONのJANNE BOW BLOUSE

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2021年秋、ファッションディレクターの祐真朋樹さんが手がける「LANVIN COLLECTION」がローンチした。そのカプセルコレクションの中で真っ先に目に入ったのが、このボウブラウス。「あった!! これだ!!」と心の中で歓喜した。 というのも、ボウブラウスには前々から興味があったから。フェミニンな雰囲気も良いし、クラバットやアスコットタイにも似た古式ゆかしいムードがあって、現代に迷い込んだクラシック芸術家や貴族のようだ…と惹かれていた。演じてみることやなりきることも、ファッションの楽しみ方のひとつ。どこにでもあるタイプの服ではないだけに、見つけたときの喜びはひとしおだった。 実際に着てみると、ミッドナイトブルーと呼ばれるランバン伝統の色からは品のよさが、そしてシルエットからは、自身もボウブラウスを着る祐真さんによる熱とこだわりが伝わってくる。袖先に入ったプリーツは美しいし、ボウタイが襟裏のループによって抜け落ちなくなっている作りもうれしい。シルク地はしっかりとしていて風通しが良いので、日常的に楽しめる…あとは、きれいに結べるようたくさん着るのみ!



04:MAD et LENのポプリ AMBER /SPIRITUELLE

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ポプリといえば、歴史あるサンタマリア・ノヴェッラのそれが断トツで有名ですが、花や樹皮の香料に限定せずに広く目をやると、面白いものが見つかったりします。 先日、新宿にあるインテリアショップ「アクタス」で購入したマドエレンのポプリは、花やスパイスの香りが染み込んだオレンジ色のアンバー(琥珀樹脂)に、同じく香料が含まれたオイルを垂らして楽しむタイプのもの。モロッコにて手仕事で作られる鉄器の素朴な味わいと、宝石や果実のようなアンバーとのコントラストに、従来のポプリにはない視覚的な刺激を感じられます。フレッシュなハーブと柑橘系による香りは、爽やかさの中に少しツンとした甘美さが含まれています。 そういえば、セレクトショップ「アマノジャク」の店頭では、ラヴァロック(真っ黒な溶岩石)のタイプが売られていました。いずれも美しさと若干の毒々しさに惹きつけられます。ポプリやお部屋の香りづけがマンネリ化しているという方、おすすめです!



05:SAINT LAURENTのスヌーピー スウェットシャツ

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近年、1960年代のスプルースのボディに、ピーナッツのキャラクターがプリントされたスウェットの人気が再燃。ヴィンテージ市場ではプレミアがつき、それに触発された現行のコラボ品も増えている。 そんななかで、モードでストイックなサンローランが、スヌーピーのグラフィックを起用したことに驚いた。はじめは「らしくないな…」と思っていたものの、表参道の路面店で実物を見たとき、前述の現行品とも一線を画すオリジナリティと価値を放っているように見えて、思わず唸ってしまった。何より短い手足を使ってウィリーしている姿が可愛すぎる。 とはいえ所詮はスウェット。お値段はヴィンテージよりも高く一瞬迷った…。けれど、やはりスウェットとは思えないほどの肌触りのよさで(ヴィンテージは生地も色味もカッサカサで、着心地を求めてはいけない)、これをハイブランドでやる面白さにもノックアウトされて購入。セットインスリーブでコンパクトなシルエットは、ブランドの世界観のようなモードとも合うし、気兼ねなくブルーデニムなどと普通に合わせることもできるので、とっても重宝しています。



Movie:Mitsuo Kijima
Stylist:Masashi Sho

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