2024.01.13

八王子・純喫茶 田園 |ジェノベーゼ【「あの人」の定番メシを訪ねる。行きつけで、いつもの。|第24回 】

写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる。今回は武田砂鉄さんが時折訪れるという、八王子の喫茶店を紹介。

八王子・純喫茶 田園 |ジェノベーゼ【「の画像_1

今月のあの人

エビピラフやジェノベーゼをよく食べます。
素朴な味わいなのが、またいいんです

武田砂鉄さん/フリーライター
大学卒業後、出版社で編集を務めたのち、2014年よりフリーライターに。ラジオパーソナリティをはじめ、ライター業以外でも、幅広い分野での活動に注目が集まる。


撮影・文・食/平野太呂

第24回八王子 純喫茶 田園のジェノベーゼ。

八王子・純喫茶 田園 |ジェノベーゼ【「あの人」の定番メシを訪ねる。行きつけで、いつもの。|第24回 】

八王子に田園あり

 駅前で少し時間をつぶさなくてはいけないとき、僕は大抵ドトールを探す。マクドナルドはどうも匂いが気になるし、スタバにはきれいなおねえさんたちがいて色気がありすぎる。ドトールの感じが僕にはちょうどいいのだ。そう思っていた。しかし、その考えもどうなんだろう。もういい年にもなったし、チェーン店に頼りきりでいいのだろうか。もっとその地元の個人店に貢献すべきではないだろうか。特に郊外に出かけたとき、どこに行っても同じ店、同じ風景に不安を感じるのも事実。では、どこに入ったらいいんだろう。そうか純喫茶か。地元に根差した純喫茶。


 八王子の駅の横。少しごちゃっとしたエリアに「純喫茶 田園」がある。二階に上がると予想より広い空間が待ち受けていた。軽やかな雰囲気のマスターにコーヒーとジェノベーゼを頼む。こんな場所ではスマホではなく新聞を広げて料理を待ちたい。聞けば、マスターのお父様がこの地に喫茶店を開いて60年だという。もともとは立ちながら打つパチンコ屋をやっていたそうだ。運ばれてきたのは、いかにも喫茶店のスパゲッティ。砂鉄さんもおっしゃるとおり、うん、これでいいよね。マスターとの適度なおしゃべりと、放っておかれる加減もちょうどいい。もしかして、僕はもうこっち側の人間になったのかもしれない。


純喫茶 田園
創業60年の、昔懐かしい雰囲気が漂う喫茶店。八王子駅北口から徒歩1分の立地ながらも、店の扉を開けると落ち着いた空間が広がる。ジェノベーゼのセットは¥1,050。

東京都八王子市旭町2の7 2階
TEL:042(622)3152 
営業時間:10時~19時30分 日曜休み


Taro Hirano
カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。



Title Design:Yu Miyama

RECOMMENDED