2022.11.13

三宿・そば処 ほていやのざるラーメン【「あの人」の定番メシを訪ねる。行きつけで、いつもの。|第12回 】

写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる。今回は山本雄生さんが通う老舗の、斬新なのにほっとできる味。

三宿・そば処 ほていやのざるラーメン【「の画像_1

今月のあの人

事務所を引っ越して以来、近所なので

お世話になっています。日に二度行っても飽きない

山本雄生さん/フォトグラファー
UOMOをはじめ、雑誌やカタログなどで活躍。「そばはもちろん、実はラーメンもうまい。ざるラーメンはメニューには書かれていないが常連でなくともオーダーできます」。


撮影・文・食/平野太呂

第12回三宿 そば処 ほていやのざるラーメン。

三宿_そば処 ほていやの_ラーメン

街をまるごと堪能せよ

 生まれてこの方、東京に住んでいるのに、行ったことのない商店街が山ほどある。三軒茶屋と三宿の間にポツポツとお店があって、道が蛇行しているのは頭の片隅にはあったけど、こうして歩くのは初めてかもしれない。蛇行している、遊歩道がある等は大抵の場合かつてはそこに川があった証拠だ。河岸に街を形成するのが人間の性分。大正14年創業「ほていや」がある下の谷商店街もかつては人がそぞろ歩くにぎやかな通りだったようだ。関東大震災後に下町の人間が流れてきたということもあって、東京の下町の雰囲気がもち込まれた貴重な商店街。



 暖簾をくぐり、注文するのは「ざるラーメン」。蕎麦屋なのにラーメン? フォトグラファーの山本くんのおすすめなので仕方ない。お客さんの要望だったり、まかないが正式メニューになることもあるようだ。この辺りも変にこだわりがなく、ニュートラルな庶民派である。蕎麦に代わって鎮座する中華麺を温かいスープにつける、つけ麺スタイル。細切りにされたチャーシューや野菜が絡んでうまい。夏でもさっぱりと食べられる。かつてこの辺りがごった返していた頃のにぎやかな商店街を想像しながらいただく。気分は昭和初期。それにしても山本くん、この店を教えてくれるとは相当な庶民派フォトグラファーと見た。気が合いそうじゃないか。


そば処 ほていや
アットホームな空気とバリエーション豊富なメニューで、地元の常連たちに愛され続ける三宿の名店。昼時は満席になることもしばしば。「ざるラーメン」は¥800。

東京都世田谷区太子堂2の32の3
TEL:03(3413)5701 
営業時間:11時30分~15時(14時15分L.O.)、17時30分~20時30分(20時15分L.O.)
火曜、第2・第4水曜休み


Taro Hirano
カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。



Title Design:Yu Miyama

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