2022.07.10

永田町・赤坂 四川飯店の陳マーボードウフのランチセット【「あの人」の定番メシを訪ねる。行きつけで、いつもの。|第9回 】

写真家・平野太呂が、気になる人の行きつけにお邪魔。決まって頼むというメニューを食べて、本音をつづる。中華料理大好きな大熊健郎さんをうならせる絶品ランチとは?

永田町・赤坂 四川飯店の陳マーボードウフの画像_1

今月のあの人

辛い麻婆豆腐が大好きで
食べたのがきっかけ。

お店の「大人の社交場」的雰囲気もいい

大熊健郎さん/CLASKA Gallery & Shop “DO” ディレクター
工芸品から新しいプロダクトまで取り扱うライフスタイルショップ「CLASKA Gallery & Shop “DO”」を手がける。「とにかく『真っ当さ』を体感できる貴重なお店です」。


撮影・文・食/平野太呂

第9回永田町 赤坂 四川飯店の陳マーボドウフのランチセット。

第9回_赤坂 四川飯店の陳マーボドウフのランチセット

灰色の街で

 どこからかおいしそうな匂いが漂ってくることもない。何もかもが灰色で硬質な永田町。この国を司る政治家たちが四六時中額を合わせ、この国の行く末についてやり合っている。この街に昼時に降り立ったら最後、温かくておいしい昼飯に出会うなんてことは絶望的のように思える。しかし、区役所など公的な施設に付随している食堂になんとも言えないニュアンスを感じてしまう僕らは、これしきではけっして諦めない。きっとある、ストレスで疲れた心を癒やす食堂が。同じような毎日にアクセントをつけてくれる定食が。



 大熊さんは、僕に大人の世界をのぞかせてくれる人だ。いつも素敵な物とエピソードをやわらかな語り口で教えてくれる。出会った当時の僕のような、道端上がりの青年にも同じ態度で接してくれるありがたい大人だった。そんな大熊さんが今度は大人の街の食堂を教えてくれる。これまたありがたい話だ。



 灰色の四角いビルに入る。エレベーターに乗ると、やはり硬そうな行き先がずらっと並んでいる。しかし赤坂 四川飯店で待っていたのは上品で落ち着いた空間と、目にも鮮やかな麻婆豆腐だった。ゆったりとした気分でいただいた刺激的な麻婆豆腐のおかげで灰色の世界に一筋の明るい光が差した。またこの街に来よう。もういい大人なのだから。


赤坂 四川飯店
四川料理の伝統を継承する正統派四川料理レストラン。創業当初より人気の陳マーボドウフは研究を重ね、日々進化しているという。ランチセット¥1,500はスープ、ご飯、ザーサイ付き。

東京都千代田区平河町2の5の5 全国旅館会館5・6階
TEL:03(3263)9371 
営業時間:ランチ11時30分〜15時(L.O.14時)、ディナー17時〜22時(L.O.21時)
定休日:月曜日


Taro Hirano
カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。



Title Design:Yu Miyama

RECOMMENDED