2026.10.13
最終更新日:2026.10.13

【着る前に大人が知っておくべき「新しいカシミヤ学」②】内モンゴル最高の工場で作るラグジュアリーなカシミヤ【ピセア|山本康隆】

大人を癒やしてくれる素材の筆頭、カシミヤ。ただ、本当の意味でのすごさを僕たちは知っているのだろうか? 生産背景から、どういった技術が使われているかまで、注目の4ブランドのデザイナー・ディレクターに聞いてみた。

カシミヤを限界まで細くした「42番手双糸」

カシミヤ専業工場

内モンゴル最高の工場で作る
ラグジュアリーなカシミヤ

カシミヤは一般的に繊維が細くて長いほど高級とされ、細番手の糸で作るニットほど軽くて暖かく、肌に吸いつくような極上の滑らかさが体感できる。ピセアは内モンゴル最高峰のカシミヤ専業工場が開発した、42番手のベビーカシミヤを用いて、素材の魅力を最大限に引き出すコレクションを展開している。ディレクターの山本さんに話を聞いた。

「スキッパー、クルーネックニット、ジョガーパンツはブランドスタート時からラインナップしている定番のアイテムで、それぞれタッチを変えています。クルーネックニットは12ゲージで繊細に緩く編んだ編み地に縮絨(洗いと乾燥によって繊維をもみほぐす加工)をかけてフワッと仕上げた、カシミヤの魅力がいちばん伝わるエアリーなタッチ。素肌にも着られるピセアのエントリーとしてもおすすめの一枚です。8ゲージのジョガーパンツはカシミヤニットの代名詞のようなミドルゲージのシリーズ。厚みがありながら、驚くほど軽くて快適です。スキッパーはジョガーパンツよりも軽くて薄い10ゲージで、長い期間着られます。山羊の飼育から紡績、染色、編んで製品にするまで、すべて一貫して同じ工場で生産しているので、ラグジュアリーブランドの品質を、約3分の1のグッドプライスで提供できるのもピセアの強みです」。

カシミヤ専業工場 2

ピセアは2020年秋冬に本格的なスタートを切ったが、なぜ内モンゴルの工場と協業するようになったのだろうか。

「バイヤー時代にたくさんの工場を見ましたがここは別格で、ヨーロッパの名だたる高級ブランドが顧客に名を連ねています。世界的に権威のあるカシミヤ、キャメルなどの獣毛関係の市場管理を行っている協会、CCMI(カシミヤ・キャメルヘア工業会)に内モンゴルで初めて加盟したことでも有名です。40代の二代目オーナーは素材開発にも熱心で、ベビーカシミヤで最高品質の42番手の細い糸を作る紡績技術を独自に開発しました。中国で特許を取得すると、ヨーロッパのラグジュアリーブランドからさっそく引き合いがあったそうです。ただ、繊維が細くて高品質の原料は大量には揃わない。でも、この糸の素晴らしさを世の中に広めたいということで、古くから取引のあった私たちの会社にチャンスが生まれました」。

カシミヤ専業工場 3

2026年秋冬から、ユーゲンの小山雅人氏が主宰するIDEAS DESIGNチームを迎え、新たなカシミヤの可能性を追求し始めている。

「スタートから6年たって、工場の技術もより進化しています。新たに70番手の梳毛糸を開発し、シルク混素材のアイテムも加わり、小山さんの提案で太番手のシリーズも登場。今後もワクワクする新作を提案していきます」。

28番双糸を使ったボリューミーなニット
クルーネックニット¥173,800/ピセア

小山さんが提案して新開発した、28番双糸を使ったボリューミーなニット。ポップコーンのような存在感のある編み目の表現が可能に。

42番手双糸を使ったニット
スキッパーニット¥96,800・クルーネックニット¥55,000・パンツ¥91,300/ピセア

ベビーカシミヤは一頭あたり30〜40gほどしかとれない稀少な素材。厳冬期はマイナス20~30度になるモンゴルで育つカシミヤ山羊は、極寒から身を守るため剛毛の下にうぶ毛を蓄える。うぶ毛の繊維には空洞があり、空気をため込み体温を逃さない。繊維が細く高密度なほど空気の含有量が増えるので、ベビーカシミヤは抜群に暖かいのだ。42番手双糸を使ったニットは薄手で、軽くても保温性に優れているのが魅力。

ディレクター
山本康隆

長年、トゥモローランドで雑貨のバイヤーを担当した後に独立。2020年秋冬にスタートしたピセアには、ブランドの立ち上げから携わっている。カシミヤ山羊のための植樹活動にも取り組む。

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