ものづくりや表現と向き合う5人の男に「黒い服」への思いや、普段どう着こなしているかをインタビュー。彼らの日常に寄り添う、モードでもマスキュリンでもない「黒」の取り入れ方から、自分らしく装うためのヒントが見えてきた。
HOSOO MEN ディレクター・細尾真孝「私にとって、黒い服とはユニフォームのようなもの」
HOSOOの12代目当主として世界に名を馳せる細尾さんは、今年3月に日本古来の素材であるヘンプに特化したブランド「ホソオ メン」を立ち上げた。
「ファーストコレクションは墨黒とオフホワイトだけで構成しました。華やかな西陣織のプレゼンテーションにはマットな黒を着ていくのが恒例で、僕にとってはユニフォームのような色。色を選ぶ楽しみもありますが、そのパワーを今は別のことに使いたいので、迷わず着られる黒がしっくりきているのかもしれません。パンクロックに感化されて音楽の道へ進んだ経歴があり、若いときから黒は身近な存在でした。染色の世界に携わって黒にはレイヤーがあることを知り、印象が大きく変わりましたね。削ぎ落とされた色だからこそ、素材や染め方、織りによって表情が異なり、とても繊細です。ヘンプは日本で1万年前から使われてきた伝統的な素材で、水にさらすことで柔らかくなり、経年美化していきます。抗菌性が高く未来の素材として注目されている。旗艦店ではホソオ メンの着古した服を漆黒に染め直したり、江戸時代の糸や古布で補修する提案もしています。黒に黒を重ねるからこそ、補修そのものが装飾となり、新たな魅力が生まれるのだと思います」
「ホソオ メンの服は200年、300年、時にはもっと古い平安時代の着物をデザインソースにしています。このジャケットも、伝統的でありながらモダンに見える絶妙なバランスが心地よいです」
1978年京都府生まれ。西陣織の老舗・細尾12代目。伝統技術を生かしたテキスタイル開発をはじめ、海外メゾンとの協業やアートプロジェクトを通じ、西陣織の新たな可能性を発信。