プロジェクトをともにする仕事関係、共通の趣味をもつ知人、古くからの友など、さまざまな理由でつながったセンスのいい大人たちをスナップ。仕事、趣味、ファッションなど、40歳男子がいま気になる話題にざっくばらんに答えてもらいました。仲間たちの前だけで見せる本音や素顔も必見。
仕事仲間|日本の未来を築く
FACETASMほか、ファミリーマートの「コンビニエンスウェア」をデザイン。2025年、常石グループのチーフ・デザイン・オフィサーに就任。
ULTRA STUDIOの共同主宰。一級建築士。東京大学工学部建築学科卒業、同大学院建築学専攻修了。欧州で経験を積む。
ULTRA STUDIOの共同主宰。二級建築士。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ視覚文化論学部卒業後、建築の道を志す。
建築ユニット、ULTRA STUDIOの共同主宰。一級建築士。青木淳建築計画事務所(現AS)を経て、独立。

向山:落合さん、今、建築のプロジェクトをかなり手がけていますよね。
落合:皆さんにも、常石グループの東京の拠点設置に向けたプロジェクトにご参加いただけてうれしいです。デザイン提案もお疲れさまでした。
笹田:毎週金曜朝のカフェでの定例会が懐かしいです。
落合:定例会と言うのは名ばかりで、僕の雑談と“夢”を聞いていただき、ありがとうございました。
上野:世の中のさまざまなことを教えていただきました。
落合:持ちつ持たれつ、引き続きよろしくお願いします。
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Q:衣食住で心がけていることは?
笹田:20代は食費を切り詰めて服を買うタイプで、最近やっと“住”に重きを置き、身の回りを豊かにしようという意識が芽生えてきました。
上野:服やジュエリー、ランチなどの日常的な要素を日々、意識的になるべく変えて、多様なものに触れること。賃貸の自宅は引っ越しのたびにデザイナーズやヴィンテージなど、さまざまな環境に身を置いて生活しています。そうすることで、自分のボキャブラリーが増えるんじゃないかと思い、取り組んでいます。
向山:“普通なもの”の面白さに気づくこと。例えば、家電量販店のなんてことない照明。強い意図が感じられない妙な装飾が施されていることがあるんですが、そこに自分なりの面白さを見いだせたら愛着につながるかもしれない。そうやって何事も面白がって過ごしています。
落合:着るものも、会食のセッティングも、何でも、衣食住にかかわるものがチャーミングなコミュニケーションツールになればいいと思っています。その先に、感動すること、感動させることがあると思うから。
Q:最も影響を受けた人は?
笹田:建築家って面白い人が多くて、出会った中では、スイス留学中に師事したパスカル・フラマーは特にカッコよかった。生涯で二つ、三つの傑作を残せたらいいという仙人タイプ。事務所が人里離れた山間にあり、しかも住み込む。好きな映画や建築の話をしながら寝食をともにし、私の建築家像を形づくってくれました。
上野:同居していた祖父母。祖父はエンジニア、祖母は画家で、父母を超えたマスターみたいな存在でした。進路で悩んだとき、「一生続けられる専門を学びなさい。経済や経営は社会に出たらおのずと身につくから」とバシッと言われ、思春期に大きな影響を受けました。
向山:建築家であり、同時に理論家の一面をもつ、レム・コールハース。実現した建物だけでなく、構想に終わった実験的な設計も業界に影響を与え続けています。挑戦を続け取り組む姿勢に感銘を受けました。
落合:振付師のMIKIKOさん。クライアントからの100を超える要望に応え、それを支え実現させる裏方への配慮も欠かさない人。あるプロジェクトをともにし、「こういう人が真のリーダーなんだ」と圧倒された。
Q:訪れたい都市は?
笹田:ポルト(ポルトガルの都市)に行ってみたい。日本と気候も文化も違うし、置かれている社会的な状況も違う。一方で、現地の同世代の建築家の作品集に関わったときにさまざまな違いを超えた共通点も感じたので、実際に訪れて体験してみたい。
上野:大学院のリサーチで訪れた、キューバのハバナ。街はカラフルでクラシックカーが走る景色の裏にさまざまな歴史的な背景があって、社会システムは独自のもの。それゆえに、すべてが情報として発信されていないので、訪れて体感できることの多い都市でした。当時観た、スパニッシュコロニアル邸宅や、ソ連の影響を受けたブルータルな建築などが印象に残りますが、現代建築はできているのか。それはどんなものか、今を確かめに行きたい。
向山:ヨーロッパで生まれたモダンアーキテクチャと呼ばれるデザイン原則が、海を渡り、非常に盛んなのが、日本とブラジルなんです。首都のブラジリアはその筆頭。辺境である日本がそうであるように、西洋から流れついた文化が植物のエネルギーあふれる地に根を張って、どう変種したかを自分の目で確かめたい。
落合:よく海外には行っているのにすべて仕事で、自分の意思で「訪れたい」と思う都市が頭に浮かびませんでした。近い将来の宿題にしたい。