【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎる”解説つき試着ルポ。「トニーセイム」のメガネが快適な理由

港区虎ノ門に本社を構える「tonysame（トニーセイム）:」のオフィス兼ショップにて、2023年上半期の新作アイウェア4本を試着ルポ。トニーセイム社長が自ら情熱リコメンドする“細かすぎる”製品説明に、文化系アイウェアの旬が詰まっていた。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_2 — 徹底的にアイウェアを知りたい！

おしゃれな大人男子からの支持を集めるグローバルアイウェアブランドの「tonysame（トニーセイム）:」は、高い次元でのクオリティと職人気質、そして美意識を担保する文化系アイウェアの筆頭だ。その総本山である東京・虎ノ門の「tonysame: japan office/showroom」にて、モデルの松本雄司が試着ルポ。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_3 — 2023年上半期の新作からテイストの異なるアイウェアを厳選して、リアル目線で試着体験する。接客担当は細井礼・トニーセイムジャパン社長だ。

細井礼・トニーセイムジャパン社長：お暑い中、ようこそ。どうぞくつろいでください。

松本雄司：ドアを開けるまでは少し緊張していました。アットホームな雰囲気でホッとしています。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_7 — 接客テーブルにずらりと並んだ「トニーセイム」の新作アイウェア。2023年上半期における眼鏡業界のトレンドと、メンズファッションシーンの旬を踏まえ、細井社長に情熱リコメンドしてもらおう。

さて、最初の1本は？

① TS-10921-071 [T-cut]

￥41,800

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_8 — 細井社長：まずは、デザインコンシャスな「T-cut」シリーズで人気モデルの新色から、“文化系”テイストが滲み出るボストンシェイプをお勧めしたいです。

ボストンシェイプの優し気な表情が印象的な新作。ちなみに、アーカイブも含めるとのべ300以上ものアイウェアを有する「トニーセイム」では、特徴的形状や製造過程などから着想を得たシリーズ名と、頭にTS（tonysame:）を置いた品番で管理される。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_12 — 松本：シャープな丸メガネの印象です。細いフレームの中に色が2つあるように見えますが…。

細井社長：ゴールドとネイビー、シャーリングゴールドとグレーマーブルなど、茶系ベースの上品なコンビネーションになります。静謐な佇まいの中に、研ぎ澄まされたクリエイティビティを醸し出せる自信作です。

松本：製品の特徴を教えてください。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_13 — 今回の試着ルポのタイトルは、「“細かすぎる”『トニーセイム』名品図鑑」。最先端のアイウェア製造技術とハイセンスな審美眼が注入された「トニーセイム」のこだわりを、細井社長に解説してもらう趣旨だ。

細井社長：解説が長過ぎたらすみません。

文化系男子の買い物は、モノのバックボーンを知り、作り手のこだわりを熟知し、じっくりと吟味するスタイル。有益な商品情報は多い方が嬉しいはず！

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_17 — 細井社長：レンズを外すとわかりますが、フレームの下半分は、ナイロン糸で固定しています。

松本：ナイロン糸？

細井社長：はい。素材とデザインを簡単に説明しますと、フロントに軽量・高耐食・高強度・バネ性に富んだ合金であるベータチタン×アセテートを、テンプルにアセテート×チタンを採用し、メタルナイロールリムにプラスチックリムを組み合わせたコンビネーションフレームになります。強度と軽さをスタイリッシュに追求する私たちの哲学は細かい箇所まで行き届いており、フレーム下のフチを排除して高強度のナイロン糸でレンズを支えるナイロール仕様にすることで、ずんぐりとしたキッチュな面構えよりもシャープな印象を強めています。一般的なコンビネーションフレームですと、フルリムメタルとの単純な組み合わせが多いと思います。

松本：シリーズ名の「T-cut」とは、付け根のところが「T」状だからですか？

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_21 — 細井社長：ご名答。レンズを支えるリムと耳に掛かるテンプルを繋ぐヒンジに「T」型スリットを刻み、フレーム根幹への負荷を分散させるオリジナルパーツを2018年に開発し、それを「T-cutヒンジ」と名付けてシリーズ名にしました。メガネの幅と傾斜角度の調整を1つのパーツで補えるため眼鏡店にとっても利便性が高いパーツです。そして横からの見た目は、一筋のラインのみ。

松本：ほんとだ。デザインの奥行きが深い。

細井社長：ありがとうございます。見た目はシンプルなデザインに落ち着いており、秘めたこだわりが大人のお客様に支持されております。

辿り着いた機能美や黄金律を尊重し、浮ついた虚栄は皆無。「トニーセイム」は声高にブランド名を主張しない。

② TS-118-1001 [NewWave]

￥29,700

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_22 — お次はレトロテイストのアイウェアとして筆頭に挙げられるサーモント（Sirmont）デザイン。「日々に寄り添うデイリーウェア」をコンセプトに掲げ、エントリー価格帯のシリーズとして人気の高い「NewWave（ニューウェーブ）」からの1本だ。

松本：サーモントは聞いたことがあります。フレームの上半分がごんぶとの眉毛のようになっている昭和っぽいメガネだったと記憶していますが…。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_26 — 細井社長：これは強さ控えめなソフトサーモントなので意外かも。顔周りのイメージで、アイウェアの記憶だけが先走ることもありません。

松本：取り入れやすく、しっかりと大人のニュアンスも与えてくれそう。

細井社長：そもそも1950年代に誕生したサーモント（Sirmont）デザインの由来は、眉の薄いモント（MONT）将校（Sir）が、掛けるだけで威厳を感じさせるデザインを所望したことがきっかけでした。その経緯もあって、レトロで男性的なアイウェアの代名詞になっています。我々は「女性でも掛けられる優しいサーモント」を目指して開発しました。初回カラーバリエーションでの「ブラウン・マットゴールド」「マットブラック」「マットワインレッド・マットブラウン」のカラーリングは弊社の女性スタッフが監修しています。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_27 — いわゆる眉パーツであるブロー部分がブラウン、リムとテンプルがマットゴールドのカラーリングを試着。なるほど、威厳は感じさせるが、緊張感は強いないデザイン。穏やかな知性を纏う良バランスだ。

細井社長：マットブラック単色もどうぞ。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_31 — 眉とリムがツートーンカラーで分けられていない単色のマットブラックを試着。ボリュームを抑えたブローバーとのコントラストが、気持ち伺えるだけだ。それでいて、サーモントの持ち味であるレトロ・男性的・知的なイメージはしっかりと主張できている。

細井社長：素材はフロントがベータチタン×チタン、テンプルがアセテート×チタンです。通常はプラスチックパーツで表現されるブローバーを厚さ1.5ミリの極薄チタン材で作製し、テンプルパーツも細身に変更しました。通常のサーモントよりも丸みを帯びたリムも特徴的で、昨年秋に発表したスクエアリムのサーモントをさらにユニセックスに改良した新モデルです。ワイヤーカットで波型のカットを刻んだヒンジは「ニューウェーブパーツ」と名付けており、横から見ると2本の縦線になります。

松本：先に試着した1本線が「T-cut」、2本線が「ニューウェーブパーツ」…。

細井社長：テンプルの外面を見ただけでシリーズ名がわかるお得意様もいらっしゃいます。

③ TS-10769-824 [HDアセテート]

￥41,800

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_32 — 3本目は「HDアセテート」からチタン製オクタゴン（octagon）フレームをチョイス。「HD」は高密度（Hige Density）を意味する。フロントパーツに高密度アセテートを使用したクールな最新デザインは、細く、薄い。ちなみに「oct」は数字の「8」を意味する。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_34 — 細井社長：多角形シェイプは一般的に小振りなものが多くて男性が掛けられるサイズが少ない。そこで、男性でも掛けられるサイズバランスで製作しました。

松本：八角形のフレームは少しクセが強い印象でした。実際に掛けてみるとそうでもないです。

細井社長：デイリーに取り入れられそうですよね。オクタゴンフレームの先入観を払拭すべく、先のサーモントと同じようにソフトなデザインで門戸を広げ、親しみやすく取り入れやすく顔馴染みもよい「トニーセイム」ならではのオクタゴンに到達できました。そのためになくてはならない素材が、高密度アセテートなのです。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_38 — 細井社長：テンプルはフィッティングの向上のため熱処理を施した純チタン製で、内側の板バネ部分にベータチタンを採用しています。板バネにしなやかな弾力を持たせ、本来ならば強度の推進と反比例するはずの、柔らかな掛け心地を実現しました。高価格帯の「HDアセテート」シリーズに期待されるポイントは、やはり薄さと細さ。正面視で上リムが1.8ミリ、下リムが1.6ミリと素材の限界まで薄く細くする工夫を凝らし、派手に見えるカラーでも掛けやすくなっていると思います。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_39 — 松本：色も迷いますね。どちらも奇麗。

細井社長：アセテートフレームは豊富なカラーバリエーションや独特なミックスカラーが魅力ですが、それは国内や海外のアセテート生地メーカーが作成した色になります。フレームデザイン、トレンド、そして「トニーセイム」らしさとマッチする生地のセレクトが大切です。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_43 — 細井社長：私も「HDアセテート」を掛けてみようかな。オクタゴンフレームは似合わなそうだけど。

松本：ぜひ。顔馴染みもよいと思いますよ。

細井社長：そういえば、この品番はまだ公式ウェブサイトに掲出されていません。ガチで新作です。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_44 — この日の細井社長は「GOOD PEOPLE　GOOD STITCHING　GOOD PRODUCT」のネイビースーツに「AGG（アグ）」のホワイトスニーカーを合わせたカジュアルスタイリング。アイウェアを知り、アイウェアを購入するためだけの空間ではあるが、やはり服好きが仕切る店舗は居心地が良すぎる。

松本：最もリーズナブルなお勧めは？

細井社長：そうきましたか。

初めて「tonysame: japan office/showroom」に訪れた松本雄司もいつしかリラックスして試着を楽しんでいた。ふたりのアイウェア談義に花が咲く。

④ TS-108 [VAL]

￥26,400

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_45 — 松本の要望でラストの4本目。マーブル調のカラーリングが瑞々しい「VAL（Vertical Acetate Light／ヴァーティカルアセテートライト）」シリーズの新作だ。「トニーセイム」でとりわけ有名な「AL（Acetate Light／アセテートライト）」シリーズは正面から視認した際の細さが魅力だが、垂直（ヴァーティカル）方向の薄さを想定した「VAL」は、上から視認した際の最薄部が2.6ミリ。これはアイウェア業界では驚異的な数字なのだ。

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_49 — 松本：生地に透け感が出るほどの薄さ。

細井社長：元は6ミリのアセテート生地を削って作っており、かなり贅沢な素材の使い方をしています。プラスチックフレームのボリュームを好まれる方でも、チープに見えない程度には軽さを求めるお客様は多いです。一見相反する要望ですが、正面のボリュームを確保しながらデッドスペースの質量を減らすことでテクニカルに軽量化できました。もちろんアイウェアに必要十分な強度は確保しており、ブリッジや智といった力の掛かりやすい箇所には厚みをしっかりと残しています。

松本：智？

細井社長：智（ち）です。リムとテンプルを繋ぐ、フロントのちょうど角の箇所を指します。

松本：細かすぎる。勉強になります！

【おしゃれな大人のアイウェア】“細かすぎの画像_51 — 大人男子に向けて2023年上半期の新作から厳選した「“細かすぎる”『トニーセイム』名品図鑑」は以上となる。旬のファッションに寄り添う文化系アイウェア「トニーセイム」で、新しい自分にコネクトしよう。

tonysame: 公式サイト

TonySame Japan office/show room（オフィス・ショールーム・店舗）
住所：東京都港区虎ノ門1-2-11 ザ・パークレックス虎ノ門 8F
TEL・問い合わせ先（店舗直通）：03-5860-9662
営業時間：11:30～18:30（土日祝は予約制）
※時間外は電話相談にて対応可

Photos: Takahiro Michinaka
Model: Yuji Matsumoto
Composition & Text: Takafumi Hojoh

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