2019.11.17

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.59 メゾン マルジェラのタートルニットとコーデュロイパンツ|2019年2月号掲載

メゾン マルジェラのコーデュロイパンツは、太うねと広い裾幅、そして大好きなベージュ。たっぷりサイズのダブル仕上げも僕好みだ。タートルニットはパリで衝動買い。道を歩いていて「寒!」と思った場所がメゾン マルジェラの店の前だった。で、ウインドウに飾られていたのをゲット。で、ロエベのムートンコートでぽっかぽか。

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阪急うめだ本店で行われたファッションズナイトアウト(FNO)で、Leicaのブースに招かれた。初日はオープニングセレモニーに登壇したのだが、大勢のお客さんを目の当たりにして気分が上がった。



うめだ阪急でのイベント出演は今回で3度目になるが、毎回、見に来る人たちの前のめり熱がすごい。こういうイベントはミュージシャンのライブ同様、見ている人たちのリアクションがイベント自体の出来不出来を左右する。うめだ阪急のお客さんは自ら楽しむ気満々なので、トークするほうも救われる。話す内容がウケてもスベっても、とにかく反応があるというのはうれしいことだから。



2日間のイベントを終えた僕が向かったのは新大阪駅。乗車前に「551蓬莱」のシュウマイを買おうと店へ向かったが、長蛇の列を見て断念。ホームで何か弁当でも買おうと思うが、見渡す限り、どの店もレジは長蛇の列。とりあえず、いちばん行列の少ない店で「まい泉」のカツサンド(3切れ入り)をピックアップしてレジへ。



大阪名物を買いそびれたのは残念だったが、マイ・スタンダードなまい泉のカツサンドが買えてよかった。新幹線に乗り込み、電車が走り出して数分後にホットコーヒーを購入。と同時に、カツサンドのパッケージを開く。甘じょっぱいソースがきいたまい泉のカツサンドを口に入れた後に、熱々のブラックコーヒーを飲むのが好きだ。



2日後、表参道のまい泉へ夕飯を食べに行った。久々だったが、店は相変わらず大勢の客でにぎわっていた。飲んでいるサラリーマンもいれば、がっつりとカツ食に専念している外国人観光客も多い。そんな中、ホールスタッフ(特にテーブル担当が決まっているわけでもないもよう)は、ちょっと声をかければ誰でも気軽に対応してくれる。



しかもスタッフの目が店内のすみずみまで行き届いているので、こちらにストレスはない。「すみませ〜ん」などと声を張り上げることもなく、湯飲みがカラならお茶をついでくれるし、料理は客がイライラする前に運ばれてくる。個室トイレは4つあるが、いずれも清潔。外国人観光客が多いのもうなずける。



僕もパリ、ニューヨーク、ロンドンなど、いろんな都市へ頻繁に出かけるが、まい泉のような店は珍しい。もちろん、高級店なら外国でも当たり前だろうが、おいしい・店がきれい・リーズナブル・真心のあるサービス、と四拍子揃った店なんて出会ったことがない。お国自慢は野暮だが、まい泉では、仰々しくなく、はたまたマニュアルどおりではない「おもてなし」をさらりと体感できる。こういう店が、日本のスタンダードとして末長く続いてほしいといつも思う。



スタンダードといえば、僕のワードローブにおけるベージュのタートルネックセーターとコーデュロイパンツは間違いなくそれである。秋冬になれば、マイ・クローゼットには、流行に関係なく上記2アイテムがずらりと並ぶ。この上下をセットで着ていると、なんだかとても落ち着くのだ。



毎年買い足すわけではないが、まあ結構な数を買っている。ブランドや素材、デザインはさまざまだが、色はべージュだ。ベージュのタートルネックセーターとコーディロイパンツを着ていれば、僕は前向きになれるのである。そんな頼れるスタンダードアイテムがあって、本当によかったと思う。



(左)全体的にゆとりのあるシルエットなので、一枚で着る機会も多い。肘についているエルボーパッチはスエード素材。ニットとのコントラストもいい感じだ。(中)シルエットがなんとも素敵で気に入っているベージュのコーデュロイパンツ。厚め素材だが、歩くと裾がゆらゆらなびくところも気に入っている。ダッドスニーカーとも好相性。(右)圧倒的な暖かさのコート。厳寒下でもインナーはTシャツ一枚でOK…だと思う。多分。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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