2019.11.10

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.51 カルバン・クラインのブルック・シールズT|2018年6月号掲載

NYでカルバン・クラインの店を訪ねたら、店内にはピローサイズのバルーンが舞っていた。アンディ・ウォーホルの作品で見たアレである。身体に当てて遊んでも、手ではねのけてもいい。風船が漂う中で、僕は洋服をチェックしていた。ファッショントレンドはフワフワしたものだとずっと思っていたけれど、あのバルーンを見てあらためてそれを実感した昼下がりであった。

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カルバン・クラインのTシャツにプリントされた写真のモデルはブルック・シールズ。読者世代にとっては縁遠いだろうが、僕の年齢は彼女とタメ。彼女が14〜15歳のときに主演した映画『青い珊瑚礁』は、大胆なセミヌードが大いに世間をにぎわした。



が、僕はまったく「萌え」ることはなく、映画は観なかった。が、直後に公開された『エンドレス・ラブ』は鑑賞。予告編で流れたダイアナ・ロスとライオネル・リッチーのバラードに惹かれたのである。



そしていざ、男友達二人とカップルだらけの映画館へ! 思春期特有の“言葉に出せない恥ずかしさ”が胸を貫いた。映画館を後にしながら、「もう二度とラブロマンスを男同士で観に来たりはしない」と心に誓った。



映画の内容はほぼ忘れたが、ブルック・シールズのジーンズ姿がかわいかったのは覚えている。後年アンドレ・アガシの試合を応援している彼女の姿を見たときは、いろんな意味で残念な気持ちになった。



しかし今回のTシャツ上での再会は実に素晴らしい。最初に見たのはバワリー通りにあるセレクトショップだったが、そこではSサイズしかなかったため、急遽本店へ。アップタウンのマディソンアベニューにある本店は、いかにもラフ・シモンズらしいアーティな空間演出に満ちあふれていた。



目当てのTシャツは、XLとLを試してXLに決定。パープルにオレンジと白のラインが効いたパンツも購入した。いつものように衝動買い。何と合わせるかなど考えずに買ったのでしばらくはタンスの肥やしだったが、最近はトリプルSやバレンシアガのルーズなトラックジャケットと合わせてよく着ている。



ラフ・シモンズは、ユニフォームライクなアイテムにかけては天下一品だ。そして、トリムTシャツにラインパンツというのはド定番の組み合わせである。彼は主に硬い素材を好むので、時として着心地に難ありというものもあるのだが、今回の2アイテムは柔らかくて着心地がいい。



イラストではTシャツをパンツにインしてみた。ベルトは4シーズン前のグッチ。ゴルフクラブは特訓用に通販で買ったもので、これで2、3度素振りをしてからティーショットに挑むとまっすぐに飛ぶらしい。深夜の通販番組を見て、思わず買い。まだ実際には使っていないが、これから試す予定だ。



それにしても、日本のゴルフ場に限らず、海外でもTシャツ姿でのプレーがNGなのはなぜだろう。短パンだと、日本の場合はハイソックスをはかないといけなかったりするが、ハワイではハイソックスは不要だ。でも襟のない格好はダメで、30年前、オアフ島のゴルフ場で注意されてその場でポロシャツを買う羽目になったことがあった。



イタリアはサルデーニャ島のコスタズメラルダでは、友達が短パンでプレーしようとしたら、ハイソックスがないとダメだと注意された。喧嘩っ早い友達が怒って大もめになった。が、結局はハイソックスをはかされて、渋々プレーしていた。ゴルフはドレスコードが厳しい。



ソックスといえば、最近フランスのボンメゾンのカラーソックスをもらった。ハトロン紙の袋に入ったパッケージがナイスで、鮮やかな発色とフィット感が気に入り、早速リピーターになった。イラストで履いている白いスニーカーはジャンヴィト・ロッシ。ブーツのようなラストが美しく、ドレスシューズ気分で履く。



(左)ブルーと黄緑色のソックスはボンメゾン。爪先と本体の色がバイカラーになっているデザインも好き。右の青はミナ・ペルホネン。繊細で柔らかな素材感と落ち着いた色がさすが。(中)ブルック・シールズをプリントしたトリムTシャツ。ボディ全体は表裏逆の作りになっていて、裏返すとプリントがハッキリする。(右)カルバン・クラインのラインパンツは赤に続いて2本目。今回のは紫に朱色が効いてます。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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