2019.11.03

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.46 グッチ×アンスキルド・ワーカーのイラストT|2018年1月号掲載

前号でも書いたけれど、イラストTが僕のワードローブに急増中。最近の目玉は、アンスキルド・ワーカーとグッチがコラボしたイラストTシャツだ。同じくグッチのラッパパンツも気になる。歩くとヒラヒラするのが心和む。仕事でよく使うハサミも、フィスカルスとハーパニエミのコラボものに注目です。

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グッチのオンライン限定で発売中の、アンスキルド・ワーカーのカプセルコレクションが気になる。アンスキルド・ワーカーこと、イギリス人のヘレン・ダウニーは、Instagramを中心に活動するアーティスト。48歳から独学で絵を描き始めたというから驚きだ。



彼女がInstagramに投稿した作品がアレッサンドロ・ミケーレの目にとまったのがすべての始まり。以降、グッチのランウェイにインスピレーションを得て描いているという。とにかく、その独特の作風はひと目見ただけで度肝を抜かれる。手に入れずにはいられない衝動に突き動かされるのだ。



僕はオンラインでTシャツを一枚買うことにした。素材やサイズ感など、細かいことはパソコンで見ただけだとわからないが、そこそこの値段だしハズれることはないはず。最悪、気に入らなければ返品しようと思ってオーダー。



届くまでのわくわく感がオンラインショッピングの醍醐味だが、グッチはなんと翌日届く。配送料無料で、確かモノによっては即日配送も可能。つまり、店に行こうかどうか、迷ってるうちに届いてしまうという素早さなのだ。すごい時代になったね。



トム・フォードやバーバリーが、ランウェイで発表した新作をそのショー翌日に店頭で買えるようにしたのも、見たものはすぐ着たい!というせっかちなファッションピーポーの気持ちに応えようとしたリアルな動きだったと思う。



グッチには、注文してから2カ月で手元に届く「DIY」があり、このオンラインショップのように、翌日(早ければ当日)届くサービスもある。アレッサンドロ・ミケーレの展開には、早いだけのサービスではなく、オンリーワンな物作りのバックグラウンドがあり、それやこれやがファッション好きにはたまらない。



さて、このアンスキルド・ワーカーのコレクションは、スペシャルパッケージで届く。どんなスペシャルパッケージかは見てのお楽しみ。届いた時点で、開ける前からウキウキした気持ちにさせてくれるのもうれしい。思わず笑顔になって包みを開けると、そこにはTシャツというよりはドレスに近い素材に素敵なイラストが描かれた逸品が鎮座していた。



まるで一枚の絵画のようなのである。これは単なるTシャツとは思えない。本当に、アートを買った気分になれるイラストTなのであった。彼女の作品は、どれも「アンスキルド」ならではのイノセントな魅力にあふれている。



話は変わるが、去年の冬以降、僕にはラッパパンツブームが訪れている。「ラッパ」はシルエットが好きなんだけど、はいて歩くと裾から音楽が出てくるような、そんなルンルンな気分になるところも大好き。素足に短パンも開放感を味わわせてくれるけど、ラッパはピースでエレガントな開放感を与えてくれると思う。



そして最後にハサミを紹介したい。スタイリストという仕事にハサミは欠かせない。準備の段階でも撮影の現場でも、常に必要なのだ。愛用しているのはフィンランドのフィスカルスのもの。軽量で人間工学に基づいた使い勝手のよさが売りで、オレンジ色の持ち手が有名。ヨーロッパではこのブランドのシェアは相当なものだと思うが、今回紹介しているのはクラウス・ハーパニエミとコラボしたもの。



ハサミは確かに実用品だが、デザインまで実用一辺倒というのも寂しい。持ち手にカラフルな模様が施されているだけで、地味な作業も楽しく感じられる。切れ味のよさは言わずもがな。いいものを長く使うのが当然のお国柄ゆえ、専用の研ぎ器も用意されている。



(左)膝下からの大胆な広がり具合が赤塚不二夫の漫画の主人公のような一本。腰まわりがフィットしていないと、この広がりが美しく見えないので、フィッティングルームで腰まわりをよ~く確認すべき。(中)上のイラストでも着ている、「アンスキルド・ワーカー」のTシャツ。(右)職業病で、ハサミにはちょっとウルサイ。巷でハサミを見ると、思わず凝視してしまう。これは持ち手の柄と色合いが和む、素敵なとっておきのハサミなり。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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