2019.09.29

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.22 秋刀魚のトートバッグ|2016年1月号掲載

大好きな10月も終わり、秋本番。「おしゃれの秋」のはずなのに、この秋は服を買っていない。『祐真朋樹の衣装部屋へようこそ』のとおりに服を着ていると、買わないまま季節が通り過ぎてゆく。困った…。

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新刊『祐真朋樹の衣装部屋へようこそ』の発売を記念して、代官山の蔦屋書店と大阪は心斎橋のSTANDARD BOOKSTOREでトークショーをした。2日連続で、初日が代官山、翌日が心斎橋。どちらも盛況で、来場してくれた皆さん、ありがとうございました。



大阪は、2日目でトーク慣れしたのと、僕の出身である関西エリアということもあり、砕けたトークができて会場の笑いも多かった。子どもの頃はお笑い芸人になりたかったので、「人前で話すなら笑いがとれないと価値がない」と強く思っている。ボケても素通りされる東京と違い、ちゃんと突っ込んでくれる関西エリアはやっぱり僕にとってのホームなのだと、あらためてシミジミしたのであった。



心斎橋のトークショーの後は、大阪には泊まらずに京都へ移動。翌日、京都の書店「ホホホ座」へごあいさつに行くのと、京都で晩飯を食べたかったのが理由だ。が、京都に着いたのは、なんと夜の11時過ぎ。もちろん割烹系は閉まっているので、料理人の友に連絡して、彼らが仕事の後に行くというおいしい小料理屋を教えてもらった。おかげで、おでんや刺し身など、気のきいた逸品が揃った申し分のない食事をリーズナブルに、しかも祇園のど真ん中でとれた。しあわせ!



翌日は「ホホホ座」へ。以前はすぐ近くで「ガケ書房」として営業していたが、2015年春に移転して名前も変わったもよう。オーナーの山下賢二さんに、店の名前の由来を聞くと、「縦に書いても横に書いても、ホホホだと一本線がつながるでしょ」と言うだけであった。それ以上突っ込んでも野暮だと思い、「へ――」と驚いてあきらめた。



山下さんお勧めの本を数冊買い、自分が興味のある本も買った。いきなり鞄が重くなったが、本も服と同じで、買い出すと止まらなくなりがち。家の状況を考えると、もう服も本も買ってはいけないんだよね、うん、いけないはずだ。



『祐真朋樹の衣装部屋へようこそ』では、膨大なストックから服を引っ張り出して撮影した。それは、今まで意識的にやってこなかったことなのだが、これが意外に面白かった。僕はずっと、新しく買った服を着ることに価値を見いだしていたのだが、今季はそれを一時休止。番外編のようなシーズンを過ごし、これまでの無謀な収集を冷静に振り返っている。50歳になったというのも節目になっているかも。



本の中で発表したとおりの格好を毎日忠実に守っていると、当然だが新たに服を買う必要はなくなる。買っても着られないからだ。が、一日の途中で着替えて、元どおりの格好とそれ以外の格好を楽しむ日もある。朝昼と夜の格好を替えるのは昔から理想としていたスタイルだが、無理して時間をつくらないといけない。すると余裕がなくなる。とほほほ。



「ホホホ座」では本のほかに、トートバッグを買った。表面のオリジナルプリントもかわいかったのだが、店前で行われていたハンドメイドのシルクスクリーンの露店で、裏面に秋刀魚の絵をプリントしてもらった。シミジミと秋味を感じさせてくれるデザインに、心潤う。



僕は「秋刀魚」という文字の形がグラフィックとして好き。秋刀魚のスリムなシルエットとシャープな輪郭も好みである。味も大好き。大根おろしに醬油でね。あ~、食べたくなってきた。そんなこんなのホホホな秋、なのである。



(左)〈HUF〉のTシャツ。星条旗に惹かれました。バックプリントが気に入って購入。(中)リアルな秋刀魚の絵に大満足。秋刀魚が目立つように、肩に掛けて持つ予定です。(右)〈シュプリーム〉のフォトT。デヴィッド・シムズのウイットに富んだクリエーションがしみる。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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