セリーヌ オムが2023年ウィンターコレクションをパリで開催。“NIGHTCLUBBING”限定アイテムが7月から買える!
エディ・スリマンが手掛ける「CELINE HOMME(セリーヌ オム)」が、2月10日(金)にパリのナイトクラブ「LE PALACE」で2023年ウィンターコレクションを披露した。トレンド再燃気配のレザーライダースほか、7月入荷に備えよう。

セリーヌ オムが2023年ウィンターコレクションをパリで開催。“NIGHTCLUBBING”限定アイテムが7月から買える!
エディ・スリマンが手掛ける「CELINE HOMME(セリーヌ オム)」が、2月10日(金)にパリのナイトクラブ「LE PALACE」で2023年ウィンターコレクションを披露した。トレンド再燃気配のレザーライダースほか、7月入荷に備えよう。

ナイトクラブで映える「セリーヌ」!
コレクション記事ではあるが、これは来春夏ではなく直近の今秋冬の話だ。当世きっての天才デザイナーであるエディ・スリマン(Hedi Slimane/1968年7月5日生まれ)がクリエイティブ・ディレクターを務める「CELINE HOMME(セリーヌ オム)」が、2月10日(金)に2023年ウィンターコレクションをパリで披露した。




世界各国から招待された編集者やジャーナリストが集った開催場所は、スリマンが16歳頃から足繁く通ったという有名ナイトクラブの「LE PALACE」だった。パリ9区フォーブールモンマルトル通り8番地にあるこのナイトクラブは、彼がその後クチュリエになることを決意するきっかけとなった場所でもある。
発売が迫る「セリーヌ オム」2023年ウィンターコレクションは、この思い出の地にオマージュを捧げたもの。2018年にはスリマンの50歳のバースデーパーティーもサプライズで開催されたという「LE PALACE」について、少しでも知見を広げておこう。

“文化系男子”にはお馴染みかもしれないが、もともと「LE PALACE」は17世紀にシアターダンスホールとして建設されている。ちなみにルイ14世がヴェルサイユ宮殿を築いた年が1682年である。
時を経て1923年にはミュージックホールとして、1931年にはシアター、1933年にはまたミュージックホール、1946年にはまたもやシアターへと気紛れに変遷していたが、“The Prince of the night(夜の王子)”として著名な興行主だったファブリス・エマー(FABRICE EMAER/1935年~1983年)に引き継がれた1975年が分水嶺となる。1978年3月1日、パリを代表するナイトクラブとして生まれ変わったのだ。


内装もエマーのセンスでリニューアルした「LE PALACE」は、建築家のパトリック・ベルジェ(PATRICK BERGER/1947年生)の提案によってアールデコ調のインテリアを刷新し、モダンなネオンライトのシャンデリアを設置。現代アーティストであるジェラール・ガルースト(GERARD GAROUSTE/1946年生)の絵画で飾られたセンターステージの壁もライトアップされ、魅惑的なナイトクラブの象徴をしつらえた。
なお、時を同じくして1977年、NY・マンハッタンの54丁目に後の伝説的ナイトクラブである「STUDIO 54」が誕生している。ライバル視していたエマ―にとっては蔑称であったかもしれないが、「LE PALACE」が「STUDIO 54」のフランス版と称されるや、アーティストや著名人、文化人、異なるコミュニティが交流するパリ初のナイトクラブとして瞬く間に一世を風靡した。


スノッブな磁場に魅了され、パリ9区フォーブールモンマルトル通り8番地に集った人物は、イヴ・サンローラン、グレース・ジョーンズ、プリンス、カール・ラガーフェルド、アンディ・ウォーホル、セルジュ・ゲンズブール、ミック・ジャガー、ジェリー・ホールら。
さらに地下にはプライベートクラブの「LE PRIVILEGE」があり、そこに向かう前に仮面舞踏会やライブパフォーマンスを楽しんだという。青年期のスリマンが出入りするようになるのはまだ先の話だ。





コレクションに話を戻そう。
「セリーヌ オム」2023年ウインターコレクションのテーマは「PARIS SYNDROME」。時代を見据えた非凡なアプローチとして、スリマンは2000年代のエレクトロクラッシュやエレクトロニックロックのサウンドや音楽シーンにおける昨今のリバイバルブームを掘り下げた。都市に生きるヤングジェネレーションたちに新鮮味をもって受け入れられている“エレクトロな再発見”を、安易な回顧主義に陥らずに料理したのだ。





スリマンにとって大切なエッセンスである音楽も、2023年に生きるヤングジェネレーションにとっては“エレクトロな再発見”になる。現代においてもなお音楽シーンを魅了し若者にインスピレーションを与えているバンドとして、スリマンは1977年にNYで結成されたアンダーグラウンドなプロト・パンクバンドである「SUICIDE」(スーサイド)を取り上げている。
ショー音楽も「SUISIDE」の片割れである御年75歳のマーティン・レヴ(Martin Rev)がこの日のために制作したオリジナル楽曲。いつも以上にタイト&リーンな「セリーヌ オム」を印象づけた。



天衣無縫な冬のバンドマンスタイルは兎にも角にもレザーライダース。ジャケットの上に無造作にレザーを重ねたオフビートなスタイルにも象徴されている。レオパード柄やタイガー柄がプリントされた重厚なコートもアイコニックだが、これらはカシミアのシアリング加工で形成されたものになる。
トレンドのオーバーサイズの打ち出しもあるが、ボリュームに寄与する緩さよりも、ゴージャスなパワーを打ち出すもの。カシミアや伝統的な織機で織られたイングリッシュツイードは贅沢の極みだ。



加えて、クロップド丈のフレアパンツと合わせた起毛素材のスーツは大人向け。パリのアトリエで手作業で刺繍が施されたラグジュアリーな逸品になる。
ヤングジェネレーションが纏うアンバランスの妙とともに、16歳のエディが「LE PALACE」を初めて覗いたときに感じたであろうクラス感とフレッシュなモチベーション、その混沌を見る者に想像させる。



丸みを帯びた肩線やドロップショルダーなど昨今のメンズトレンドは踏襲しつつも、全体のフォルムは身体にまとわりつくよう。前秋冬に顕著であった気怠さが残るグランジムードやワイドストレートパンツは息をひそめ、タイト&リーンのスタイルが目立つ。
公式リリースによると、コレクションのキーアイテムは、スタッズやラインストーンでカスタマイズされたバイカーやレーサージャケットと合わせたタイトなレザーパンツであるから間違いない。



加えて、小粋な計らいも。ランウェイを闊歩したモデルたちの残り香は、「セリーヌ オート パフューマリー コレクション」の香水。ネーミングはそのまま「NIGHTCLUBBING」になる。
五感のなかで最も先鋭化された記憶のトリガーと言われている嗅覚もまた、UOMO本誌編集長の池田誠ほか、世界各国の編集者やジャーナリストたちの記憶の奥底に刻まれたことだろう。
CELINE 18 HOMME WINTER 23 AT THE PALACE


疾走感のある圧巻のフィナーレ。コレクション動画をぜひ視聴してみて欲しい。
「LE PALACE」全盛期へのオマージュを込めた限定コレクションは7月販売予定。期待して待とう。大人のナイトクラビングは「セリーヌ オム」で決まりだ。
セリーヌの旬をもっと知りたい!
開催日:2023年2月10日(金)※パリ現地時間
場所:LE PALACE(8 Rue du Faubourg Montmartre)
テーマ:PARIS SYNDROME
CELINE
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