いまアメカジを着るなら計算しすぎない勢いが大切

―いまのご自身のスタイルが確立されたのはいつ頃でしょうか?

「実は30代になってからです。若い頃からプレッピーとクラシックがベースにはあったのだけれど、いろいろな服を試したくてヘルムート ラングやドルチェ&ガッバーナにハマった時代もありました。あらゆるブランドや服を試した末に、ようやくこれが自分らしい服なんだとわかるようになりますから」

―何年にもわたり着続けている、もしくは買い足している服はありますか?

「5ポケットのコーデュロイパンツ、ブルー×白のストライプシャツは絶対にはずせない。あとはジーンズやネイビーのセーターなど、クロゼットを開ければ同じものが10枚、20枚とあるアイテムがけっこうあります」


定番BDシャツのシルエットが変わった!

マイケル・バスティアンの手がける新生ブルックス ブラザーズは、期待をはるかに上回る出来! 最注目はやっぱり象徴アイテムであるボタンダウンシャツ。シャツ(各)¥15,400/ブルックス ブラザーズ(ブルックス ブラザーズ ジャパン)


―気に入ったアイテムばかりを毎日着るタイプですか、それともいろいろな服を着てみるタイプですか?

「ユニフォームのようにシンプルなものを毎日着ています。年齢を重ねるほどに、何を着たら自分らしい装いか、心地よくいられるかが見えてきました」

―「アメカジ」と聞いていちばんに連想するアイテム、もしくはスタイルは?

「チノ素材で裾がカットオフ、そこから糸がほつれて垂れているようなショーツですね。アメリカンカジュアルって、僕の中ではDIY精神というか『考えすぎない』ところがいい。コーディネートにおいて、どんな要素も完璧であろうと徹底しているイタリアンスタイルの対極にあると思います。アメリカンスタイルというのは、完璧じゃなくていい雰囲気と計算しすぎない勢いが大切だと思いますね」

―日本において、30年前のコスプレにならないよう、2021年らしく「アメカジ」の服を新鮮に着こなすコツを教えてください。

「昔ほどブランドやルールにこだわらず、カラーやバランスの感覚を重視することです」


発色がよく若々しいケーブルニットが新鮮
ワイドなチノパンも登場! コーデュロイジャケットも久しぶりに着てみたい

’70年代に存在した「ブルックス ゲート」をベースに作られたワイドフィットのチノパンもいまの気分にぴったり。カラバリ豊富なケーブルニットもあらためて着たくなったし、ノスタルジックな茶色のコーデュロイジャケットだって初挑戦したい。正直欲しいものだらけ。ありがとうマイケル!

ニット¥22,000・ジャケット¥53,900・パンツ¥20,900/ブルックス ブラザーズ(ブルックス ブラザーズ ジャパン)


―本特集のキーワードは『ヘルシー&シック』ですが、普段、着こなし以外でヘルシーに生きるために心がけていることや習慣はありますか?

「行き先が25ブロック以内だったら歩くこと。あとは笑うこと! 笑いは最良の薬ですから」

―このたび伝統と歴史のあるブルックス ブラザーズをディレクションしてアップデートするにあたり、どんなことを考えて取り組んだのですか?

「まず考えたのは、キーアイテムの復活。テニスセーター、パーフェクトなTシャツやセットアップ、ダッフルコートなど。ブルックス ブラザーズと育ってきた顧客にとって、買い続けてきたものがなくなるのはつらいはず。世の中にそれほど信頼できるモノって多くないと思いますし。ビジネスよりも、顧客からの信頼を得るためのエモーショナルな試みを心がけています」

―BDシャツのシルエットの変化には驚きました。なぜこのようなシルエットにしようと思ったのですか?

「BDシャツは常にブランドのベストセラー。スリムに変化していったけれど、もとはボクシーなオーバーサイズで、分厚い100%コットンだったわけです。人々の嗜好が変わっている現在、もう一度立ち返って、パーフェクトなクラシックバージョンのシャツを作りたいと思いました」


’70~’80年代のヴィンテージシャツにインスパイアされた新しいフィットのオックスフォード生地。既存の「マディソン」フィットに近いものの、より身幅は広く着丈は短いボックスシルエットでアームホールもゆったりめになっている。これならタックアウトスタイルもよりバランスがとれる。


―ちなみにご自身で初めて買ったブルックス ブラザーズの商品は何ですか? また新コレクションで真っ先に着たいアイテムは何ですか?

「大学生のときに買った、赤と白のベンガルストライプのブロードシャツ。電車に乗って、モールの中にあるショップに買いに行きました。今でもお気に入りですよ。新コレクションなら、ダブルのツイードコート。ルックブックの中ではスウェットパンツとローファーでカジュアルに合わせました」

―現在の社会状況が落ち着いたら、UOMO読者に行ってみてほしい、お気に入りのお店をこっそり教えてください。

「グリニッジビレッジにある『ニッカボッカー バー&グリル』。オールドニューヨークを感じるタイムカプセルのような場所です。巨大なメニューで、何でもありますよ。この状況下で1年ほど閉店していたのだけど、復活してくれてうれしいかぎり」

―これから久しぶりに、もしくは初めて「アメカジ」を着ようと考えている読者に伝えたいことはありますか? 

「いまは自分なりの方法で誰もが自由に服を楽しめる時代。XLサイズのオーバーサイズを着てもいいし、ジェンダーを飛び越えてもいい。自分のパーソナリティにフィットする着こなしを見つけてほしいです」


MICHAEL BASTIAN
1965年ニューヨーク生まれ。老舗百貨店「バーグドルフ・グッドマン」のディレクターを経て、2006年に自身のブランドを設立しトラッドをベースにしたデザインを展開。「GANT」や「ユニクロ」とのコラボも話題に。2020年12月ブルックス ブラザーズのクリエイティブ ディレクターに就任。


掲載アイテムの問い合わせ先はこちら



Photos:Akira Yamada Yoshio Kato
Interview&Text:Yumi Komatsu