2026.03.12
最終更新日:2026.03.12

【対談|満島真之介×波瑠】連続ドラマ『北方謙三 水滸伝』で共演。「お互い大人になった」と語る2人が最近した“人生の決断”とは?

北方謙三の大河小説を日本ドラマ史上規格外のスケールで映像化した連続ドラマ『北方謙三 水滸伝』。本作で、建国の英雄・楊業の末裔、楊志を演じた満島真之介さんと、楊志の伴侶となる女性・済仁美を演じる波瑠さん。これまで何度も共演を重ね、「お互い大人になった」という2人に、『水滸伝』の現代に通じる普遍的なテーマや、プライベートでそれぞれが「決断したこと」についても聞いた。

『水滸伝』が描くのは、現代とリンクする普遍的なテーマ

満島真之介×波瑠
[満島さん]ジャケット・シャツ・パンツ/ゼニア(ゼニア カスタマーサービス)

――連続ドラマ『北方謙三 水滸伝』の内容を知って、どんなことを感じましたか?

満島 学生の頃、北方さんの『水滸伝』を読んでいたのですが、今回、改めて触れたことで、あの頃は感じきれなかった人間の奥深さに胸を打たれました。中国の北宋時代の物語ではありますが、現代に生きる僕らが感じなきゃいけないこと、考えなきゃいけないことが描かれているので、素晴らしいタイミングでのドラマ化だと思います。その分、重圧はかなり大きかったです。

波瑠 『水滸伝』の存在は知っていても小説を読んだことはなかったんです。脚本を読んで全体像を掴もうとしたのですが、本当に壮大な物語なので、そのスケールの大きさに圧倒されました。ただ、私が演じるパートは大きな物語の一部といいますか、家族という形での繋がりが強く描かれていたので、物語の中でも特に感情を重ねやすい部分だと感じました。ドラマを観る方にも身近に感じてもらえるとうれしいです。

満島 そこが僕たちのテーマだった気がします。「大切な人と出会ってからの変化」や「守るべきものがあるからこそ生まれる強い意志」は現代とリンクするような普遍的なものですから。


――時代の荒波のなかで取り残された満島さん演じる楊志、波瑠さん演じる済仁美、男の子の楊令が家族を作る。昨年、波瑠さんが主演した『フェイクマミー』(TBS系)のような「疑似家族」といえると思います。

満島 おお~! つなげた(笑)。

波瑠 (笑)。楊志も済仁美も温かみのある人生を送ってきたわけではなく、暗い過去を背負ってきた2人なんです。人と結びつくことを想像することさえ難しかった2人をつなげてくれたのが楊令(演:岩川晴)でした。撮影は『水滸伝』が先だったのですが、2作品連続で疑似家族を演じて。血がつながっていれば家族なのか、何をもって人はつながっていくのか。去年はそんなことをよく考えました。

満島 僕も人とのつながりについては毎日のように考えてます。僕自身いろんな血が混ざっているからなのか、自分が自分じゃないような感覚の時期がありました。とくに20代は、「外からの見られ方」や「親や兄弟との考え方の違い」など、あげたらキリがないほど感じていることと現実のギャップが大きかった。一方で、仕事仲間を含めて大切な人が増えてきた時に、「家族という概念を一度取っ払ってもいいんじゃないか」と考えるようになったんです。そこからの変化は大きく、今回も『水滸伝』の撮影を通して、スタッフもキャストもすべてが自分のなかで家族になったような感じです。波瑠さんとは若いときから共演することが多くて、一番共演回数が多い女優さんじゃないかな。深い会話をしなくても、それぞれの時期に感じることはありますね。

波瑠 お互い大人になって(笑)。

満島 そうだね(笑)。今回、波瑠さんがいることでとても安心感がありました。そもそも『水滸伝』のオファーをいただいたとき、済仁美を想像したら波瑠さんしか浮かばなかったんです。むしろ、波瑠さんじゃなかったら無理だったと思います。いつもありがとうございます。

波瑠 こちらこそありがとうございます。

「人を樹木に例えると、枝葉が“人間らしさ”だと思う」(満島)

満島真之介

――満島さんは昔からコミュニケーション能力が高かったんですか?

波瑠 そうですね。最初に会ったときと比べたら大人になっているけど、いい意味で変わっていないと思います。済仁美の役柄的に、主要な男性キャストとお会いする機会がほとんどなくて。そんな状況で接するのが真之介くんで本当によかったと思います。

満島 疑似家族だからこそ、本当の家族よりも深くつながっていないと説得力がないので、芝居を超えた関係性を映像に残そうと思いました。楊令を演じるのも(岩川)晴(はる)くんなんです。

波瑠 太陽のような真之介くんのもと、大きめの波瑠と小さめの晴で伸びやかにお芝居ができました(笑)。


――楊志はクールなキャラクターです。満島さんはどうやって役に入り込みましたか?

満島 入り込むというよりは、自分の中にある『楊志』と繋がりそうな引き出しを選択する感覚でしたね。カメラが回っていないときはペラペラしゃべっていますが、クールに黙ることもできますよ(笑)。人を樹木に例えると、枝葉が「人間らしさ」だと思うんです。楊志は、僕の「枝葉」を駆使するべき役だと思いました。「義」の武人としての楊志、済仁美に優しさを見せる楊志、硬さから柔らかさまで、感情の幅が広いんです。僕が生きてきた歩みを知っているスタッフの方が「満島に楊志をやらせてみよう」と思ってくれたのなら、その期待に全身全霊で応えたい。若松(節朗)監督と密に話しながら、錚々たる先輩方の胸を借りて演じました。


――波瑠さんは現代劇で芯のある女性を演じることが多いと思いますが、今回の済仁美はどうでしたか?

波瑠 済仁美は不遇な人生を送ってきて。そもそも男性あっての女性という時代で、心を閉ざしてしまっていたんです。それでも心を失ってはいないし、「失わないようにしよう」と自分を持っていて。静かに佇む強さがあったんじゃないかと思います。


――楊志はフィジカルの強さがあって。満島さんは見事なアクションシーンを披露しています。

満島 今回のアクションシーンは、カットを割りすぎず「人と人」を見せていくことにこだわっていました。心のぶつかりあいこそ、『水滸伝』の大きな魅力だと思ってます。楊志は前半と後半で戦い方を変えていました。国の命令に従っていた前半は、感情のない機械的な強さ。守らなければいけないものができた後半部分は、感情むき出しの戦い方。いまの時代だって、「大切なものを守るためなら自分はどうなってもかまわない」という想いの人は多いはず。楊志を演じて、自分の親もそうだったのかなと追想しました。

「真之介くんは、中学生みたいに無邪気なときとおじいちゃんみたいに老成しているときがある」(波瑠)

波瑠

――『水滸伝』は「義」を貫く物語でもあると思います。

満島 僕は、大人になるほど素直さが大切になってくると思っているんです。素直さがなくなると人はどんどん固くなっていき、自分の考えだけに固執してしまう。「わからないことをわからないと言える」「感謝すべきときに『ありがとう』と言える」「悪いことをしたときに『ごめんなさい』と言える」。初歩に立ち帰り、少しでも関わった人の人生の1ページをどう豊かにするか。それが僕の喜びであり、そこから「義」が生まれるのかなと思います。波瑠さんとの関係はもう何ページにもなりますけど。

波瑠 真之介くんは、中学生みたいに無邪気なときとおじいちゃんみたいに老成しているときがあるんです(笑)。私も素直さは大切だと思います。ドラマの現場も他のお仕事も、忙しくなるほど心の余裕がなくなるので、自分の心に余白があるうちに、気持ち多めに感謝を伝えるようにしています。私にできることはこれくらいですが(笑)。

満島 いやいや、波瑠さんみたいな気持ちでいる人が増えたら世の中はもっと豊かにになるはず。『水滸伝』はそんなことを訴えている作品でもあると思います。

満島真之介×波瑠 2

――『水滸伝』のように、おふたりが「決断したこと」を教えてください。

波瑠 両親が暮らす家を建てたことでしょうか。両親の年齢を考えたとき、残りの人生を不自由なく温かい家で過ごしてほしくて。

満島 カッコいいな! 僕は水しか送ってない(笑)。

波瑠 2度とできないプレゼントでした(笑)。真之介くんは?

満島 30歳になった日、自分らしく生きようと決断しました。ペルーのマチュピチュで。

波瑠 マチュピチュで30歳になったの⁉

満島 太陽の神殿で30歳になりました(笑)。以前は「なんでこの時代に生まれてきたんだろう」「なんで自分のことをわかってくれないんだろう」とフラストレーションを感じていたんです。そんなとき、ある大先輩に「お前みたいな人に誰も会ったことがないから、お前の取扱説明書が必要なんや。変わらずまっすぐ進めばいつかは理解される」と言われて。その言葉に心から救われました。それ以降も信頼できるチームと、素直にまっすぐ仕事を重ねて、いろんな方に僕の取扱説明書を渡していくなかで、波瑠さんを筆頭に理解してくれる方が増えたんです。30歳を迎えたとき、太陽のように明るく、皆を照らすように生きていくと決めました。マチュピチュで(笑)。

波瑠 私、やっぱり決断を変えます。

満島 なんで変えるの(笑)?

波瑠 真之介くんに影響を受けて、最近、料理をするようになったんです。

満島 ほんとに?

波瑠 うん。『ガラスの城』(テレビ朝日系)の撮影で、真之介くんから「健康のためにも自炊している」と聞いて、私もちゃんとしようと思いました。

満島 影響を与えていたんですね(笑)。でも、影響を与えようと意識するとダメになるので、これからも素直であり続けようと思います。

『北方謙三 水滸伝』

『北方謙三 水滸伝』キャスト写真

壮大なスケールと緻密な人間描写で読者を魅了してきた、北方謙三の大河小説『水滸伝』。 シリーズ累計1,160万部── その伝説が、ついに映像として息づき始める。

毎週日曜午後10時放送・配信中(全7話)
放送:WOWOW 配信:WOWOWオンデマンド  Lemino

満島真之介

1989年5月30日生まれ、沖縄県出身。2010年に舞台『おそるべき親たち』で俳優デビュー。本作のほか映画『ババンババンバンバンパイア』(2025年)など話題作に数多く出演。

波瑠

1991年6月17日生まれ、東京都出身。2004年にデビュー後、NHK連続テレビ小説『あさが来た』の主演で一躍人気に。現在本作のほか、ドラマ『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班』(フジテレビ系)に出演中。

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