毎週金曜の配信が楽しみで仕方がないッ!
荒⽊⾶呂彦(あらきひろひこ)先生が描く人気マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」(集英社)シリーズの第7部、「スティール・ボール・ラン(STEEL BALL RUN)」が待望のアニメ化。その特別編成版として、全1話(47分)の「1st STAGE」が今年3月19日(木)に「Netflix」にて配信された。そして遂に、アニメ『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』の「2nd & 3rd STAGE」(全11話)が、9月25日(金)より「Netflix」にて世界独占先行配信をスタートした。
世界観、それも「荒木飛呂彦」という不世出のマンガ家の脳内を最大限に投影するという意味で、「1st STAGE」はファンの期待を裏切らない仕上がりだった。個性豊かな登場キャラクターたちに「声優」という仕事人が命を吹き込み、意思を持ち、語らい、馬に乗り、1890年のアメリカにて総距離約4,000マイルもの北米大陸横断レースを繰り広げる。その嚆矢が高らかに放たれたのである。
この「スティール・ボール・ラン」屈指の人気キャラクターが、阿座上洋平(あざかみようへい)さんが声優を務めるジャイロ・ツェペリ(Gyro Zeppeli)だ。荒木先生のファンであることを公言し、ジョジョマンガを読破しているという阿座上洋平さんに、「2nd & 3rd STAGE」への意気込みとジャイロ・ツェペリへの想いを聞いた。
ーーーまずは、阿座上さんが担当される「ジャイロ・ツェペリ」の魅力についてお聞かせください。
阿座上洋平:みんなが憧れる存在だと思います。軽薄そうに見えて実は自分の信念を持っていて、でも表には出さず、熱いものを秘めながらゴールを目指すクールガイ。スタジオに入っても、スタジオから離れても、「ジャイロとして最後まで真っすぐに立っていたい」という想いは常にあります。
ーーーご自身とジャイロで似ているところは?
阿座上洋平:特に似ているところはないと思います。ただ、シリアスなシーンや絶体絶命なシーンでおちゃらけてしまうジャイロの気持ちは、僕もわりとやりがちなのでよくわかる。緊張感を強いられるようなとき、その場の空気を少し和らげたいというか、あえてジャブを入れちゃうというか。少し空気の読めないようなことをしているかもしれません。ジャイロっぽいかどうかはわかりませんが。
ーーー3月に開催された「AnimeJapan 2026」での「レーススタート記念! Special STAGE」ではどうでしたか? 配信を含め数万人のジョジョファンの歓喜と絶叫がSNSで拡散されていました。
阿座上洋平:おちゃらける余裕はありませんでした。素の自分だと絶対に緊張していると思います。
ーーーそこは「ジャイロ」として対応した?
阿座上洋平:やっぱり声優として、ですね。声優は一人では何もできない職業ですから、イベントでもアフレコの現場でも「この舞台に立てているのは、僕だけの力ではない」と思っています。まず作品があって、与えていただいた役があって、その役を演じることで始めて成り立っているお仕事です。役と一緒に大きな舞台に立たせていただいているという意識が、プレッシャーよりも遥かに大きい。
ーーープレッシャーを凌駕する感謝の気持ち。
阿座上洋平:はい。やっぱり作品のおかげだし、役のおかげ。声優業界は厳しい世界と言われがちじゃあないですか。確かにそう思うこともたまにはあります。ただ、自分にとっての化身がいて、その道のプロが最高の力を結集して支えてくれて、全身全霊でファンの皆様にお届けすることができている。その真摯なモチベーションみたいなものは、この業界に入って15年ほどになりますが、今も昔も変わることはありません。
阿座上洋平の仕事術
ーーー声優のお仕事ではどのようにマインドセットをされていますか?
阿座上洋平:台本をもらって最初に思ったことは、「自分は本当にジャイロ・ツェペリを纏(まと)うことができるのか?」でした。部屋で鉄球を転がしていたらなれるようなものでもないですし。
ーーー役に憑依するために自分を追い詰めたり?
阿座上洋平:僕はそこまでストイックにはなりません。自分に似ている部分をちょっとでも引き出して、それを何倍にも濃縮させるような、そんな感じです。僕のイメージの中でのジャイロは「厳格な家庭で育ったイタリア人」から始まって、「たまにおちゃらけるアウトロー」になり、「でも決してあきらめずにゴールへと突き進む、やるときはやる男」というふうに固まっていきました。そして時折見せる真剣な眼差しとのギャップがたまらなくイイ。そんな僕自身の憧れと共感を声に乗せたいなと。
ーーーもしご自身がジャイロだったとして、マルコみたいな子がいた場合は同じ行動をとりますか?
阿座上洋平:おそらく。変なところで正義感が強いところがあって、困っている人がいたら助けてあげたいし、マナー違反した人には怒りの感情を覚えてしまう。僕もきっと参加料を払って「スティール・ボール・ラン」に参加しているはず。もし父が反対しても、ジャイロみたいに「オレは納得したいだけだッ!」って言うでしょう。特に好きなセリフのひとつです。
ーーージャイロの父、グレゴリオの「男には地図が必要だ。荒野を渡り切る心の中の地図がな」というセリフはどうですか?
阿座上洋平:人生に地図があると、僕は逆に迷ってしまうかも。本当にそのゴールでいいのか途中で疑問を挟むだろうし、めんどくさいんですよ。ふらふらと生きてきたので、今のお仕事は運のよさというか、マイペースだからこそ辿り着いたという自覚がある。自分の選択に納得はしたいけれど、出会った人に恵まれているので、そのお陰で荒野を歩くことができている。グレゴリオ・ツェペリが言う心の地図とは違うものに導かれているのかもしれません。
ーーー仕事でも納得したいほう?
阿座上洋平:もちろん。納得したものを出したいし、妥協はしたくない。「ちょっと違ったかも…」と感じたときはリテイクをお願いすることもあります。この作品のアフレコの現場はわりとテンポよく収録が終わることが多いんですよ。それでディレクターから、「最後に何かありますか?」とかって言われたら、すかさず「あります」って手を上げる。
ーーーそれ、ジャイロですね。
阿座上洋平:でも、自分の気持ちばかりを優先していたら周りを振り回してしまうだけなので、そこは切り札として用意する。やっぱり表現を仕事にしているので、自分が納得できたものを世に残したいし、それに見合うくらいの覚悟は持っていたい。
ーーー声のケアはどうされていますか?
阿座上洋平:それが、全然しないんですよ。若い頃は早く渋くてかっこいい男の声になりたかったので、友人と毎日のようにカラオケに行ってめちゃくちゃ喉を枯らしていました。でも、翌日にはケロッと治ってしまう。当時はあまり仕事がなかったので、フラストレーションをぶつける場所がそこくらいしかなかったんですね。どういう経緯で今の声になったかはわからないですけど、確かに言えるのは、この声で産んでくれた親への感謝です。
ーーー普段「レジ袋は結構です」とか「領収書は阿座上で」とか、「今の俺、めっちゃいい声が出たな…」と思うことはありますか?
阿座上洋平:ないです(笑)。ただ、アフレコの現場で「ここ、いい声でお願い!」っていうディレクションはなくもないかな。求められるシーンはなんとなくわかる。でも、出し過ぎるとスケベじゃないですか。「あいつ、いい声を出しているだけだよな」って同業からも言われてしまうので塩梅が大事です。ジョニィ(・ジョースター)役の坂田(将吾)君も同じような気持ちだと思いますよ。
ーーージョジョファンの間では「ジャイロ・ツェペリとジョニィ・ジョースターはジョジョ史上最高の黄金コンビ」と称されています。ジョニィの声優を務める坂田将吾さんとはどのような関係を築かれていますか?
阿座上洋平:坂田君は同じ事務所の後輩なんです。近くにいると、「このテーブル、御影石のように黒いですね」とか、わりとどうでもいいことを何でも話しかけてくる(笑)。「そうだね」としか答えられないようなことも全部聞いてくるんです。でも、それに救われているかもしれない。
ーーーそれはどのような救いですか?
阿座上洋平:彼はどうでもいいこと以外にも、仕事やお芝居のことに関しても相談してくるんです。もちろん僕の相談にも乗ってくれる。そうこうしている間に、作品に向けての意識のすり合わせみたいなものが、この作品においては序盤からできていました。逆に稽古場に集まって朝まで合宿しますみたいものはないですね。仕事帰りにご飯をたべるときとか、ジョジョ関連のイベントで1泊2日の地方出張とか、道中では2人でずっと喋っています。
ーーー声だけ聴くとジョニィとジャイロのやり取りのように思えるかもしれませんね。原作ではジャイロが24歳でジョニィが19歳の設定でした。
阿座上洋平:そういえば僕の誕生日に、「阿座上さん、最近よくコーヒーを飲んでますよね。よかったら使ってください!」って、コーヒーのミルをプレゼントしてくれました。
ーーーコーヒーの淹れかたもジャイロ流とか? ドロドロとしたコールタールのような…。
阿座上洋平:僕は普通にブラックです。坂田君は僕を先輩として慕ってくれているような気はしていて、僕もその気持ちにちゃんと応えられるように、最初は先輩としての背中を見せなきゃなと気を張っていました。最近は横並びで一緒に仕事できていると感じています。それはそれで嬉しいかな。
阿座上洋平にとっての「ライバル」
ーーージャイロとジョニィの最初の出会いもそうでしたが、生死を賭けた闘いや冒険を経て友情が芽生える描写がよく見られます。阿座上さんにもライバルのような存在はいますか?
阿座上洋平:同じ役をオーディションで奪い合うような間柄は確かにいます。駆け出しの頃は僕を含めてみんな尖っていたような気がしますね。役を取った取られたで自分も周りも一喜一憂して、それに巻き込まれたり、巻き込んだり、嫉妬したり。負けてなるもんかって。
ーーーディエゴみたいな。
阿座上洋平:今思うと痛いですよね。自分の声のイメージすら掴めていないのに、余計なことばかり考えていました。でも15年も経つと、面と向かって「お前のあの役、最高だったよ!」と言えるようになってくる。なぜ自分が選ばれなかったのか、その理由や作り手の気持ちもわかってくる。今は自分以外の誰かがキャスティングされた作品もステキだなって素直に思えます。ライバルというよりも、“好敵手”という言葉のほうが僕は好きです。
ーーーいい言葉ですよね。仕事での好敵手。
阿座上洋平:あと、最近気づいたことがあって。アニメの関係者から「この役、もしかして阿座上さんに合うんじゃないですか?」とお声がけをいただくことがあるんです。第一印象が「自分の声にしては役が若すぎないか?」というものでも、そのキャラクターに触れているうちに「自分の声でもアリなんじゃないか?」と考えが変わっていって、そのまま仕事にも繋がったり。
ーーー声優・阿座上洋平はまだまだ進化する?
阿座上洋平:周りは思った以上に僕の声や性格を知ってくれているんだなって嬉しく思いました。今は「自分の可能性は自分で狭めちゃダメだよ」って説教くさい言葉を自分自身に言い聞かせています。そういう意味でも「スティール・ボール・ラン」だけは、絶対に関わりたいという想いが強かった。
ーーー最後に、UOMO読者に一言お願いします!
阿座上洋平:配信中の「2nd & 3rd STAGE」から、ようやく「スタンド」のワードが出てレースも激しくなってきます。バトルも友情も熱いです。ゴールまで先はまだ長いですが、僕と一緒についてきてください。そして、ジャイロ・ツェペリの応援をよろしくお願いします!
アニメ『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』2nd & 3rd STAGE(全11話)
配信開始:2026年9月25日(金)
※Netflixにて毎週金曜日世界独占先行配信
※1st STAGE(全1話/特別編成47分)世界独占配信中
《STAFF》
監督:木村泰大、髙橋秀弥
シリーズディレクター:加藤敏幸
シリーズ構成:小林靖子
キャラクターデザイン・総作画監督:津曲大介
音楽:菅野祐悟
音響監督:岩浪美和
アニメーション制作:david production
《CAST》
ジョニィ・ジョースター:坂田将吾
ジャイロ・ツェペリ:阿座上洋平
ディエゴ・ブランドー:石川界人
ルーシー・スティール:高橋李依
スティーブン・スティール:三宅健太
©荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険THE ANIMATION PROJECT