グラフィック、グラフィティの世界から
美術界に転身した鬼才二人の大規模展

サイケデリックなポスターで一躍注目を集め、1960年代からグラフィックデザイナーとして第一線で活躍し続けた横尾忠則さん。しかし、’80年にニューヨーク近代美術館で見たピカソ展に大きな衝撃を受け、「今後は絵画制作に専念する」と、いわゆる「画家宣言」をしました。そんな彼の史上最大規模となる回顧展が東京都現代美術館で開催されています。横尾さん本人の監修により、画家に転向した当時の作品から最新作まで、600点以上を惜しげもなく展示! 作品によって自由に画風を変えてはいますが、すべての作品に共通して横尾さんのただならぬ熱量が感じられます。画面全体に込められた情念のようなものが、キャンバスからダダ漏れしているのです…。と、実にボリューム満点な展覧会なので、前日からアート断ちをした腹ペコ状態で訪れることをオススメします。

横尾忠則《薔薇の蕾と薔薇の関係》1988年 馬の博物館

さて、ポスターで注目を集めたアーティストといえば、NYで活動するKAWSも。’90年代初頭に、街中に掲げられたポスターや看板の上に、彼のトレードマークともいえる両目が「××」のキャラクターなどを描き、グラフィティアーティストとして頭角を現しました。その後、活動の幅を広げ、DiorやNIKE、ユニクロといった世界的なブランドとのコラボを果たすなど、今世界でも最も人気の高いアーティストの一人です。そんなKAWSの国内初となる大型展覧会が六本木ヒルズ内の森アーツセンターギャラリーで開催中。会場には、平面や立体作品を含む150点以上の作品が紹介されています。

KAWS NEW TURN, 2020 © KAWS, photograph by Farzad Owrang, Shanghai Powerlong Museum Collection

横尾さんのパッションあふれる画風と比べてしまうと、絵柄があまりにもポップゆえ、さらっと見飛ばしてしまいそうになるかもしれませんが、KAWSの平面作品は、パソコンソフトで描いたものをプリントしているのではなく、実は筆とアクリル絵の具を使った手作業で描かれたものなのです。あえてタッチがわからないように、丹念に絵の表面を仕上げているのだとか。そう絵画だと理解したうえで、近づいてマジマジと見ても、跡はまったくわかりません。思わず目が「××」になってしまうほどの超絶技巧です! 友人としても交流があるという二人の展覧会、ぜひその目で確かめてみてはどうでしょう?


『GENKYO 横尾忠則
原郷から幻境へ、そして現況は?』

【東京都現代美術館】
東京都江東区三好4の1の1
開催中~2021年10月17日 
TEL:03-5245-4111
https://www.mot-art-museum.jp/

『KAWS TOKYO FIRST』
【森アーツセンターギャラリー】
東京都港区六本木6の10の1 六本木ヒルズ森タワー
開催中~2021年10月11日 
TEL:050-5542-8600
http://www.kaws-tokyo-first.jp/



とに〜
世界でただ一人のアートテラー。難解で敷居が高い美術のイメージを払拭すべく、元吉本芸人ならではの視点で面白おかしく美術の魅力を伝える。公式BLOGはこちら