2024.02.08

EV化でクルマのデザインはどう変わる?【おしゃれな大人が「見た目だけで選ぶ」クルマ座談会 PART.1】

細かい蘊蓄やスペックの話は置いといて、シンプルに見た目だけでファミリーカーを選んだらどうなるか。各界のクルマ好き6名が集まり、現行モデルから発売予定のニューモデルまで、グッドルッキングなモデルについてあれこれ語ってもらいました。

EV化でクルマのデザインはどう変わる?【の画像_1

ー 参加者 ー

藤村雅史さん(アートディレクター)プロフィール画像
藤村雅史さん(アートディレクター)
本誌でお馴染みの趣味人。愛車はレンジローバーとメルセデスEQC。EQCの電費の悪さにちょっと早まったかなと思っている。次に狙うはEQGか!?
今泉 悠さん(ayame デザイナー)プロフィール画像
今泉 悠さん(ayame デザイナー)
ガソリン車をこよなく愛するオイリー・ボーイ。現在の愛車は993型911。いつかはGT3 RSに乗ってかっ飛ばしてみたい。家族用にGクラス400dも所有。
渡辺敏史さん(自動車ジャーナリスト)プロフィール画像
渡辺敏史さん(自動車ジャーナリスト)
二輪・四輪誌の編集に携わった後、独立。数々のクルマに試乗し、守備範囲は広大。愛車は996型ポルシェ911と納車待ちのマツダ ロードスター。
服部昌孝さん(スタイリスト)プロフィール画像
服部昌孝さん(スタイリスト)
初めて免許を取ったのは2022年1月。旧車好きで、現在はクルマ10台、バイク4台のオーナーである。普段の足はマツダ ロードスター。
佐藤佑樹さん(Cale デザイナー)プロフィール画像
佐藤佑樹さん(Cale デザイナー)
洋服づくりのほかに、東麻布でギャラリーを運営。実は旧いクルマが好きだったりするが、現在は子育て真っ最中のため、アウディQ8 e-tronに乗っている。
遠藤イヅルさん(イラストレーター、ライター)プロフィール画像
遠藤イヅルさん(イラストレーター、ライター)
自動車全般に膨大な知識をもち、大衆車、実用車系のイラスト・記事が得意。VW サンタナ、日産 サニーカリフォルニア、ルノー ルーテシアを所有。

EV化でクルマのデザインはどう変わる?

―座談会を始めるにあたって、まずは今のクルマのデザインのトレンドについて、渡辺さんに簡単に解説いただければと思います。

渡辺 自動車業界は今、「100年に一度の大変革期」みたいなことを言われています。それは多分にバッテリーEVの登場がかかわっているのですが、バッテリーEVになるとエンジンが要りません。じゃあ、どこにバッテリーを積むかといえば、だいたい床下に積むのが合理的だという話になります。バッテリーの大小によってタイヤの前後間の長さ(=ホイールベース)が変わってくるので、航続距離を延ばそうとすると、バッテリーが大きくなって、必然的にホイールベースが長くなっていきます。そもそものクルマのデザインがこれまでとはまったく違うものになっているんですね。そうした状況で、例えばメルセデスのEQEはバッテリーEV専用のプラットフォームを使っていて、ある意味、未来のクルマの形状をいちばん現実的に表したモデルかなと思っています。

佐藤 ほんとにそうですね。前後の違いをあまり感じないところとか、未来のクルマだなって気がします。

Mercedes-Benz EQE

Mercedes-Benz EQE

渡辺 その一方で、アバルト500eみたいなケースもあって、これもバッテリーEVなんですけれども、デザインはガソリン車のフィアット500の流れをくんだレトロフューチャーな形になっています。同じバッテリーEVであっても、500eのように過去のデザインソースをちゃんと継承して形にしていくところもあれば、EQEのように完全に未来に振り切ってデザインするところもあって、現状はこの二つの流れがあるのかなと思います。

Abarth 500e

Abarth 500e

佐藤 EQシリーズでいうと、EQGもリリースされるみたいですね。コンセプトモデルの写真を見たんですけど、EVなのに、現行のGクラスとほとんどデザインを変えてないような感じでした。

渡辺 EQGはまんまですね。多少EV化によるコズミック感は出ると思いますけど、構造自体はまんま今のGクラスでいくみたいです。

藤村 あの丸目のヘッドライトとか角張ったデザインが残るのはいいですよね。Gクラスはやっぱり変わらないでいてほしい。

遠藤 ハイブリッドが普及して、プリウスとかアクアが普通のクルマになったように、EVが未来の乗り物ではなくなって、今までのクルマの形のまま置き換わるというのも増えていくのではないかなと思います。「EVだからこの形じゃないといけない」というのはないんじゃないのかなって。

Mercedes-Benz G Class

Mercedes-Benz G Class

服部 一つ質問いいですか。

―どうぞ。

服部 最近、半円のヘッドライトって多いじゃないですか。あれは何でなんですか?

渡辺 素直に丸にしたくないんだと思います。

服部 えっ、それだけなんですか!?

遠藤 真ん丸とか真四角って単純で簡単だからこそ、デザイナーは置きたがらない。

渡辺 芸がない、仕事をしてないというふうになっちゃうから。

服部 最近のクルマだと、デリカミニとかも半円ですけど、なんかカーズみたいに見えるんですよ。

今泉 カーズっぽいってわかる(笑)。

遠藤 最近はクラシックな雰囲気が人気だから、丸いヘッドライトのクルマも少しずつ増えていますよね。

渡辺 動力源がモーターへと変わっていっている時代なので、それこそエキゾーストサウンドとか、自分が慈しんできたものがどんどんなくなってしまうんじゃないか的な危機感が自動車をつくっている人たちの中にあって、どうやったら愛されるクルマでいられるのかという、その一つの表れが丸目なのかもしれません。でも、もうそろそろ丸目は総量規制したほうがいいんじゃないかという気がしてますけど(笑)。

ーPART.2へ続く



Illustration:Izuru Endo
Interview&Text:Masayuki Sawada

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