
ウォッチディレクターの篠田哲生を顧問に迎え、時計を愛する大人たちが集い、学び、語り合う連載「UOMO Watch Academy」が始動。初回は受講生が自慢の一本を携え、時計にまつわる思い出を語り合った。
受講生たちの愛用の一本は?
Breguet|クラシック

「防水性などは申し分ないし、このルックスも好み。毎日使っても飽きない時計です」。

今年、創業250周年を迎えたブレゲ。天才時計師と呼ばれた初代が考案したブレゲ針やギヨシェダイヤル、偽造防止のシークレットサインなどを継承しており、端正さの中に歴史を感じる。
Grand Seiko|SBGY007

「日本らしい時計ですし、この立体的で美しい色合いのダイヤルも好みです」。

世界中で高い評価を受ける、国産時計ブランドの最高峰。ぜんまいで駆動し、電子回路で精度をコントロールする独自機構「スプリングドライブ」を搭載し、スーッと流れるように動く秒針も見どころ。
OMEGA|シーマスター

「ヴィンテージオメガの専門店で購入。バイカラーのダイヤルが気に入ってます」。

1948年から始まるオメガの看板シリーズ。その初期モデルは、端正なデザインに防水機能を加えた、オールラウンドで使える時計だった。このモデルは1956年製。ラグのデザインにも特徴がある。
Cartier|サントス ドゥ カルティエ

「機能的にも申し分なく、まさに“大人が気軽に楽しむための時計”です」。

最新作のこちらは、縦34.5㎜×横27㎜とコンパクトながら、ビスをあしらった力強いデザインでメンズでも十分に楽しめる。ダークブルーのカーフスキンストラップも付属しており、幅広いスタイルで着用可。
Jaquet Droz|グラン・ウール

「時間を知るために存在しているのではなく、時間から解放されるための時計なんです」。

18世紀に活躍した天才時計師の名を冠した技巧派ブランドで、先進的な時計を少量生産する。このモデルは、深いツヤをもつオニキス製のダイヤルの上を、一本の針がゆっくりと24時間で一周。
ROLEX|デイトジャスト

「私のは1962年製です。愛用していたゴールドのブレスレットを紛失してしまったので、その代わりとしてゴールドケースのこの時計を購入しました」。

深夜0時に瞬間的に切り替わるデイト表示は、1955年に開発されたもの。シンプルだが機能的なロレックスの定番モデルだ。
時計を語ることは自分を語ること。

篠田 今回、皆さんには“今の自分を表現する時計”を持ってきてもらいました。水澗さんは、グランドセイコーですね。しかもセイコー独自のハイブリッドムーブメントを搭載する、スプリングドライブとはお目が高い。
水澗 ヴィンテージウォッチを選ぶことが多くて、所有する中では珍しく現行品です。家具や工芸品のイベントやファッションなど、日本に関する仕事が増えていて、であれば時計も日本のブランドがいいなと。スプリングドライブムーブメントという最新の技術や、諏訪湖の御神渡りという自然現象をイメージしたというダイヤルデザインなど、ちょっとしたこだわりも出せますしね。
小松 僕はブレゲです。弁護士という仕事柄、ドレスウォッチをつけることが多いですね。ヴィンテージウォッチも好きですが、防水性能が心配なので、普段使いは新しいほうがいいなと。弁護士の仕事内容は特許関係が多いので、たくさんの機構を発明した創始者に敬意を表して、35歳の記念としてこのモデルを選びました。デザインもシンプルなので、悪目立ちしないのがいいです。
篠田 かなり小さなケースサイズですね。
小松 33.5㎜ですね。腕が細いので、当時のラインナップの中でも小さいものを探しました。これならシーンも問わないし、壊れにくい。本当に休日以外は、ほぼこの時計ですね。
大國 皆さん、知識がしっかりあってすごいな。僕は金無垢のロレックスのデイトジャストをアクセサリーをする感覚で楽しんでいます。だからあえて14Kのケースにしました。なんか18Kは自分には早いのかなって(笑)。
篠田 どういうシーンでつけるんですか?
大國 アートが好きなので、アートフェアに行くときかな。あとはディナーとか、オフの特別な時間につける時計ですね。
並木 時計と趣味って、リンクしますよね。僕のヴィンテージのオメガは、銀座にある「ホワイトキングス」というお店で購入したもの。ここの店主がバイク好きで、いろいろ話しているうちに、なぜか僕も最近トライアンフの大型バイクを買ってしまいました(笑)。
篠田 時計から始まり、趣味の仲間ができるなんて最高ですね。でも時計はその人の趣味嗜好が出るから、コミュニケーションのきっかけになりやすいんじゃないですか?
小林 僕は芸能系の仕事も多いけど、基本、みんな時計好きだよね。「今時計を買うなら、何がいいんですか?」みたいな会話は、以前よりも増えたかも。
水澗 そんな小林さんの今回の時計は、カルティエの現行モデルですか?
小林 そう。クオーツ式なんですよ。もちろん機械式モデルが好きだけど、実際に使ったらすごく便利。時計を複数持っているので、いつでも正しい時間を示す時計が一つあると楽なんだよね。このサイズも小さくって今っぽい。薄くて軽くて防水性もあるし、道具としてめちゃくちゃ優れているんです。
篠田 時計趣味が一周すると、マニア系か道具系にたどり着くのかも。ちなみに僕はジャケ・ドロー。24時間で針が一周するんだけど、老眼も相まって、まったく時刻を読み取れない(笑)。もともと数千本しか製作していない小ブランドのカルトウォッチなので、時計愛好家の集まりでも、最強のコミュニケーションツールになりますね。
大國 へー。こんなの見たことないですよ。しかし、皆さんの話を聞いて、もっと時計の世界を知りたくなりましたね。何でこれほどまでに、大人が熱狂するのかとか。
小松 今さら聞けないけど、機械式時計の仕組みはきちんと学びたいな。
並木 僕ももっと知識を増やしたい。人気ブランドの何が素晴らしいのかを知りたいな。
小林 そして最後は、スイス取材だね。やっぱり、ウォッチバレーと呼ばれる時計の聖地には行ってみたいですね。