
今年もスイスで開催された時計の祭典「Watches and Wonders」。取材で見えてきた新たな潮流とは? 現地を訪れた時計のスペシャリストたちと本誌編集長が、話題の新作について語り合った。
※文中すべて、SS=ステンレススチール、WG=ホワイトゴールド、PG=ピンクゴールド、RG=レッドゴールド、Pt=プラチナ、Ti=チタンの略です。
01:ROLEX|オイスター パーペチュアル 36

真鍮のプレートに合計6層のラッカー塗装を重ね、最後にニスで仕上げて磨き上げることで、深い色合いのダイヤルに。新しいカラーダイヤルはピスタチオ、ラベンダー、そしてこのベージュをラインナップ。カレンダーもないシンプルな時計だからこそ、美しさが際立っている。
02:TUDOR|ブラックベイ 58

チューダー初の200mダイバーズウォッチの発売年にちなんで、モデル名に“58”を掲げる。本格的なスペックながら、ベゼルとダイヤルをバーガンディ色にして、華やぎを加えた。搭載するCal.MT5400-Uは、METAS認定のマスター クロノメーターを取得する高精度・高耐磁ムーブメントだ。
03:PARMIGIANI FLEURIER|トリック パーペチュアルカレンダー

本来であれば複雑な表示が魅力ともいえるパーペチュアル機構をミニマルにデザインし、純粋なる美しさを表現。淡くやわらかな発色のブルーダイヤルは、表面にグレイン仕上げを施し、アコヤグレーのアリゲーターストラップも美しい。これ見よがしではないが、別格のオーラを楽しめる時計といえる。
最近の高級時計は色使いがうますぎる(篠田)

雑誌、新聞、ウェブ、広告。ありとあらゆる媒体で、時計に関する記事を担当する。

ファッション的な視点で時計を見る。愛機はパテック フィリップのカラトラバ。

ファッションや時計の記事を担当し、パリ・ミラノのファッションウィーク取材も豊富。
篠田:ファッション的目線で高級時計で考えると、カラフルなダイヤルも見逃せない。しかもロレックス「オイスター パーペチュアル 36」のように、王道ブランドが王道じゃないパステル系の色を出してくるのが面白い。
池田:その傾向はありましたね。チューダー「ブラックベイ 58」のバーガンディモデルは、色は華やかだけど色数は絞っているから抑制されて見える。
後藤:ブレスレットは選べるけど、キラッと輝く5連のブレスレットだと、より華やかになるよね。
篠田:でもやはり、今年はパルミジャーニ・フルリエの「トリック パーペチュアルカレンダー」に尽きるのでは。
後藤:あれは素晴らしかったね。
池田:確かにキレイですけど、これはどこが特にすごいんですか?
篠田:パーペチュアルカレンダーは、うるう年の有無まで把握して表示する高度なカレンダー機構。ただし表示すべき要素が多いので、どうしてもダイヤル表示が混雑するんですよ。もちろんそれが好きだという人が多いのですが、パルミジャーニ・フルリエの考え方は真逆で、パーペチュアルカレンダー機構の表示を簡素化し、色数も減らすことで、ダイヤルの美しさを際立たせている。
後藤:この余白の生かし方に美学を感じますよね。
池田:こういう時計をさりげなくつけている人っておしゃれだと思います。