2025.12.12
最終更新日:2025.12.12

【WAKO/パテック フィリップ】おしゃれな大人の「受け継いだ時計」と「引き継ぐ時計」|ssstein デザイナー 浅川喜一朗さんの場合

時計には大切な人から譲り受け、次の世代に託す楽しみがある。祖父、父、恩師から思い出の一本を受け継いだ6人に、そのエピソードを教えてもらった。また、彼らが未来へ引き継ぎたいと思っている特別な一本とは。

浅川喜一朗さん プロフィール画像
ssstein デザイナー
浅川喜一朗さん

2024年に「ファッション プライズ オブ トウキョウ 2025」を受賞し、’25年秋冬からパリでランウェイショーを開催。現在、時計は3本だけだが、いい出会いがあれば購入したい。

(受け継いだ時計)WAKO / 2013年のドレスウォッチ

WAKO  / 2013年のドレスウォッチ

背面に祖父の名前である「Masao.T」と、2013年の米寿の記念日が刻印された一本。少し縦長のトノー型に茶色の革ベルトがついており、受け継いだときから替えずに愛用し続けている。この日はシュタインのジャケットに合わせて。クオーツ。18KYG。ケースサイズ39㎜×30㎜。/私物

(引き継ぐ時計)PATEK PHILIPPE / ’80年代のドレスウォッチ

PATEK PHILIPPE  / ’80年代のドレスウォッチ

’24年に名古屋のヴィンテージ時計店モンテーヌが、東京でポップアップイベントをしていた際に購入。黒の革ベルトを、時計店オリジナルの茶色に替えている。スクエア型で、手に馴染む18金の輝きと文字盤のストライプがお気に入り。手巻き。18KYG。ケースサイズ34㎜×25㎜。/私物

所有ではなく預かっている感覚、この時計をいつか息子に託したい

 WAKOの腕時計は、2年前に祖父の形見分けで受け継いだもの。祖父は長年、地元の新聞社グループ企業の代表をしていました。ツイードのジャケットにピエール・カルダンのネクタイを合わせるようなおしゃれな人で、子どもの頃から憧れの存在でしたね。祖父が88歳になった米寿のお祝いに、母と叔父、叔母がこの時計を贈ったんです。若い頃は銀座で買い物をしていたという祖父の嗜好に合わせて選んだようで、仕事を離れて久しかったにもかかわらず、祖父は毎日これをつけていました。

 僕自身は時計をつける習慣がなかったのですが、WAKOを譲り受けてから日常的につけるようになり、昨年、ポップアップイベントで、このパテック フィリップのヴィンテージウォッチに出会いました。シンプルで品のある佇まいに惹かれて手に取ったら、パテックのものだった。有名なモデルではないというアノニマスな雰囲気はもちろん、文字盤のストライプのデザインが控えめで美しく、何よりブランドからの保証も受けられる。きちんとメンテナンスし続けることで、半永久的に使えるタイムレスな存在になっていくことに感動を覚えました。所有しているというよりも、今は自分の元で預かっているというような感覚で、いつか息子に引き継ぎたいと思っています。時計には脈々とつながっていく一過性ではない魅力があって、今はそんな時計の世界の楽しさがわかってきたところです。

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