
今年もスイスで開催された時計の祭典「Watches and Wonders」。取材で見えてきた新たな潮流とは? 現地を訪れた時計のスペシャリストたちと本誌編集長が、話題の新作について語り合った。
※文中すべて、SS=ステンレススチール、WG=ホワイトゴールド、PG=ピンクゴールド、RG=レッドゴールド、Pt=プラチナ、Ti=チタンの略です。
01:PATEK PHILIPPE|CUBITUS 7128/1

ジュネーブ屈指の名門ブランドが、25年ぶりの新コレクションとして昨年の10月に発表した「CUBITUS」は、シャープなスクエアケースが新鮮。今年は、40㎜のミディアムサイズが誕生。さらに品格漂う姿に進化した。
02:IWC|インヂュニア・オートマティック 35

時計界のピカソと称された時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタの傑作を、現代的な技術を用いて再解釈したモデル。まずは40㎜で登場し、今年は35㎜の小径モデルが追加された。細部まで設計を見直し、調整しているためプロポーションも美しい。レッドゴールドモデルは、ダイヤルも同系色にすることで一体感を引き出した。
03:JAEGER-LECOULTRE|レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド

1931年から続く歴史ある傑作モデルは、ポロ競技中に風防を守るために考案された反転ケースが特徴。グレイン仕上げのダイヤルは、ケースと同系色。16m以上のピンクゴールドの糸を組み合わせて製作するミラネーゼブレスレットはしなやかに曲がり、腕にフィット。エレガントさを極限まで高めた。
実はラグスポが好きなのかもしれない(池田)

雑誌、新聞、ウェブ、広告。ありとあらゆる媒体で、時計に関する記事を担当する。

ファッション的な視点で時計を見る。愛機はパテック フィリップのカラトラバ。

ファッションや時計の記事を担当し、パリ・ミラノのファッションウィーク取材も豊富。
池田:初めてのW&W、もっと堅苦しい場かと思ったんだけど、意外やそうでもなくて、高級時計とファッションはやっぱりリンクしているんだって驚きました。伝統ある時計ブランドの中にも、アクセサリー的に使えそうな時計がたくさんあったこともいい発見。例えばIWC「インヂュニア・オートマティック 35」は、ケースやブレスレットに加えて、ダイヤルも同系色のゴールドで、ソリッドな雰囲気がよかった。それで気がついたんだけど、実は“ラグスポ(ラグジュアリースポーツウォッチ)”が、自分に向いているんじゃないかって。
後藤:普段は端正なドレスウォッチをつけているじゃない。そこからすると、正反対の時計ですよね。
池田:わりとワントーンでまとめたファッションが多いから、ちょっとゴツめのラグスポをあえて選ぶといいかもと思ったんです。ただし色数は抑えて、ミニマルなワントーンがいい。
篠田:ミニマルなラグスポなら、パテック フィリップの「CUBITUS」なんかもオススメですよ。ケースサイズもちょっと小さくなったし。
池田:当然、好きでした。このデザインは素直にカッコいい。
後藤:ファッション目線でラグスポを選ぶなら、ジャガー・ルクルトの「レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド」もよかった。
篠田:レベルソはドレッシーな時計だけど、そのルーツはポロの競技中に着用する時計として生まれている。と考えると、これこそが元祖ラグスポといってもいいかもね。
後藤:ゴールド製のミラネーゼブレスレットの出来は素晴らしかった。あれで600万円台というのは、納得できる価格じゃないかな。