
今年もスイスで開催された時計の祭典「Watches and Wonders」。取材で見えてきた新たな潮流とは? 現地を訪れた時計のスペシャリストたちと本誌編集長が、話題の新作について語り合った。
※文中すべて、SS=ステンレススチール、WG=ホワイトゴールド、PG=ピンクゴールド、RG=レッドゴールド、Pt=プラチナ、Ti=チタンの略です。
01:A. LANGE & SÖHNE|1815

ドイツ高級時計産業の創始者であるフェルディナント・アドルフ・ランゲの生誕年を冠した人気モデルに、34㎜の小径サイズが追加された。新たに開発したCal. L152.1のおかげで、スモールセコンドの配置バランスも完璧。小さくて可憐だが、約72時間のロングパワーリザーブも実現し、品質のよさがにじみ出る。
02:CARTIER|カルティエ プリヴェ「タンク ア ギシェ」

過去の傑作を再解釈する「カルティエ プリヴェ」の最新作では、1928年製の「タンク ア ギシェ」が甦った。ゴールドで覆ったフラットなケースにジャンピングアワーと回転ディスク式の分表示を二つのギシェ(小窓)で表示。色気のある時計になっている。
03:PIAGET|シックスティ

優れたウォッチメーカーでありながら、ジュエラーとしても名高いピアジェは、創造的なシェイプの時計を数多く生み出してきた。このモデルはメゾンの黄金期である1969年にデビューしたトラペーズシェイプ(台形)を甦らせたもの。小ぶりサイズなのでブレスレット感覚で楽しむのが正解だ。
好きになったらレディスも守備範囲?(池田)

雑誌、新聞、ウェブ、広告。ありとあらゆる媒体で、時計に関する記事を担当する。

ファッション的な視点で時計を見る。愛機はパテック フィリップのカラトラバ。

ファッションや時計の記事を担当し、パリ・ミラノのファッションウィーク取材も豊富。
後藤:でもやっぱり小さくてクラシカルな時計が好きという気持ちは揺らがないでしょ。A.ランゲ&ゾーネ「1815」はすごくきれいだったな。
篠田:34㎜というサイズが新作モデルとして登場するなんて、かなり衝撃的でしたよ。でもムーブメントも新開発だし、パワーリザーブも72時間になっている。サイズだけじゃない魅力があるよね。
池田:カルティエの「タンク ア ギシェ」もやっぱりカッコよかったな。
篠田:機械式のデジタル表示モデルって、時計愛好家にも人気だよね。
後藤:こういう時計を提案できるのがカルティエのすごさかと。こんな前衛的なデザインが100年近く前から存在していたというのも驚くべきこと。
池田:ピアジェ「シックスティ」もよかった。あれはレディス?
後藤:レディスだけど、素敵だったし、男性がつけてもいいんじゃない?
篠田:時計好きのウオモ読者が、みんな小さくてエレガントな時計を好むから、アンティークのレディスウォッチを選ぶ人も少なくない。そういう人にとっては、この時計は面白い存在になるんじゃないでしょうか。
池田:やっぱり時計とファッションは、強くリンクしている。それを学べたのが、いちばんの収穫ですね。