2025.12.14
最終更新日:2025.12.14

【IWC/カルティエ】おしゃれな大人の「受け継いだ時計」と「引き継ぐ時計」|muroffice 代表 中室太輔さんの場合

時計には大切な人から譲り受け、次の世代に託す楽しみがある。祖父、父、恩師から思い出の一本を受け継いだ6人に、そのエピソードを教えてもらった。また、彼らが未来へ引き継ぎたいと思っている特別な一本とは。

中室太輔さんプロフィール画像
muroffice 代表
中室太輔さん

国内外のさまざまなブランドのPRを手がけながら、近年はバッグブランド、モノリスのディレクターとしても活躍。IWC、カルティエ、ロレックスのほかにスウォッチを50本ほど所有。

(受け継いだ時計)IWC / ’60年代のドレスウォッチ

IWC  / ’60年代のドレスウォッチ

現在のような略称ではなく「International Watch Co」の文字が筆記体で入ったシンプルな3針時計を、7年前に譲り受けた。父の影響もあり、すでに自分でも筆記体の革ベルト付きIWCを探して1本購入していたため、こちらはグレーのNATOベルトに変更。手巻き。SS。ケース径34㎜。/私物

(引き継ぐ時計)CARTIER / 2002年のタンク フランセーズ

CARTIER  / 2002年のタンク フランセーズ

2002年に新品で買って以来のスタメン。定期的にオーバーホールし、革ベルトもつけ替えている。現在はパリの時計ベルト専門ブランド、ジャン・クロード ペランのもの。「タンク マスト ドゥ カルティエ ウォッチ」も所有している。自動巻き。SS。ケースサイズ38㎜×28㎜。/私物

父からのプレゼントがあったから、一貫して小ぶりな時計が好き

 僕の時計の原体験は小学校の頃、父にお土産でもらったスウォッチの「ジェリーフィッシュ」でした。そんな父は、50歳のときに学生時代から欲しかったIWCの筆記体ロゴの時計をヴィンテージショップで買ったそうです。30代の頃に新品で買わなかったことを後悔していたようで、「遅ればせながら」と経緯を語ってくれたことがありました。毎日時計をしていた父が70歳でリタイアした後、「もう時計をする必要がなくなったから」と、実家に帰ったとき、すっとこれを差し出してくれたんです。

 この「タンク フランセーズ」は、21歳のときに僕が買った時計です。大学生だった当時、エディフィスのドレスフロアで働いていて、採寸したり伝票を書いたりと、お客様に手元を見られることが多かった。「お客様に信頼してもらうためには、手元が大事」と思った僕は、今はなき渋谷の東急百貨店本店のカルティエで、この時計とボールペンをセットで買いました。その頃読んでいた本に「時計は男性に唯一許されたアクセサリーだ」というようなことが書いてあって、それならジュエリーメーカーの時計をつけようと、カルティエを選んだという記憶があります。僕の体格ならもっと大きいケースを選ぶべきなのかもしれませんが、34㎜径のスウォッチが基準になっていたので、LMサイズに。父がさり気なく僕に時計を譲ってくれたように、いつか頼れる後輩に贈りたいと思っています。

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