
今年もスイスで開催された時計の祭典「Watches and Wonders」。取材で見えてきた新たな潮流とは? 現地を訪れた時計のスペシャリストたちと本誌編集長が、話題の新作について語り合った。
※文中すべて、SS=ステンレススチール、WG=ホワイトゴールド、PG=ピンクゴールド、RG=レッドゴールド、Pt=プラチナ、Ti=チタンの略です。
01:VACHERON CONSTANTIN|レ・キャビノティエ ソラリア ウルトラ・グランドコンプリケーション ラ・プルミエール

創業以来途切れることなく卓越した技術とスタイルを追求してきたヴァシュロン・コンスタンタン。その集大成といえるのが、8年に及ぶ研究開発を経て完成した、41もの複雑機能を搭載した“世界で最も複雑な腕時計”。チャイム機構や天文機構などを搭載し、時計のロマンを語るための時計となっている。
02:ZENITH|G.F.J.

創業160周年を迎えたゼニスが、1950年代に天文台が主催した精度コンクールで好成績を収めた名機Cal.135を現代的にアップデート。高精度ながら、約72時間のパワーリザーブを実現。ラピスラズリダイヤルも美しく、優れた時計を作ってきた歴史を語る一本に。
03:BREGUET|クラシック スースクリプション 2025

天才時計師として知られるアブラアン-ルイ・ブレゲが1796年に発表した革新的な懐中時計「スースクリプション」を現代に再解釈した腕時計。グラン・フー エナメル製の美しいホワイトのダイヤルの上を、職人が手焼きしたブルースチール製の一本のブレゲ針がゆっくりと巡る。
04:HUBLOT|ビッグ・バン 20th アニバーサリー チタニウム セラミック

今年で20周年を迎えた「ビッグ・バン」は、デザインや素材、カラーなどで、その後の時計史に大きな影響を与えた名作。その記念モデルは初代「ビッグ・バン」のデザインと現在の「ビッグ・バン ウニコ」を融合させ、懐かしくも斬新な時計に仕上げている。
節目の年には面白い時計が生まれる(後藤)

雑誌、新聞、ウェブ、広告。ありとあらゆる媒体で、時計に関する記事を担当する。

ファッション的な視点で時計を見る。愛機はパテック フィリップのカラトラバ。

ファッションや時計の記事を担当し、パリ・ミラノのファッションウィーク取材も豊富。
後藤:スイスでの時計取材では、時計会社の工房にも行きますよね。篠田さんはどこか行きました?
篠田:到着するや、ヴァシュロン・コンスタンタンの本社に連行(笑)。世界でも数人しか参加しない秘密の発表会で見せてもらったのが、創業270周年を記念する「レ・キャビノティエ ソラリア ウルトラ・グランドコンプリケーション ラ・プルミエール」。これはすごいよ。
後藤:会場ではショーケースに入っていたモデルですよね。
篠田:世界で最も複雑な腕時計を、試着までさせてもらった。もう二度と触れることはないでしょうね。でも今年は面白いアニバーサリーモデルが多かったんじゃないかな。今年創業160周年のゼニスの工房にも取材に行きましたが、伝説のムーブメントを復活させた「G.F.J.」は素敵でしたよ。デザインもエレガントで、ムーブメントも高性能。
後藤:ブレゲの「クラシック スースクリプション 2025」も、創業250周年にふさわしい時計でしょう。
池田:これって、針が一本だけってことなんですよね?
篠田:初代ブレゲが考案した懐中時計からインスピレーションを受けたモデルで、当時に倣って時針が12時間かけてゆっくりと一周する。
後藤:すごく贅沢な時計だよね。それこそアニバーサリーイヤーじゃなければ誕生しなかったでしょうね。
篠田:ウブロ「ビッグ・バン」は、今年で20周年。UOMOと同い年だね。「ビッグ・バン 20th アニバーサリー」は、初代のデザインを継承していて、どこか懐かしい感じがあった。
池田:普段つけている時計が小さいから、自分には小さい時計しか似合わないと思っていた。でもウブロのように、大きくても惹かれるものはある。それがわかったのは収穫でしたね。