ムーブメントを収めるケースと、時計本体と手首をつなぐブレスレットは、時計の価値や個性を決める大切な要素。大事なのは“顔”だけじゃない。
Topic 1|独自配合のゴールドが流行中
イエロー、レッド、ホワイトではない
新しいカラーのゴールドで世界観を表現
高級時計のケース素材=ゴールド。しかしこれからは、ゴールドのその先を語り合う時代になるだろう。そもそも純金は柔らかくて傷がつきやすいため、合金にしてケース素材にふさわしい硬さに仕上げる。混ぜる金属の配合で色や特性を調整できるなら、ほかとは違う色や特性を出したくなるのは必然だ。その代表がオメガが開発した「ムーンシャイン™ゴールド」で、75%のゴールドに、銀と銅、パラジウムを配合し、満月のような淡いイエローの輝きを引きだした。この素材があることで、オメガの“月面で時を刻んだ唯一の機械式時計”という物語は、より魅力的になる。もはやゴールドは物語を補完する素材なのだ。
Topic 2|ラグジュアリー素材の新基準
謎めいた素材のほうが
実はとってもラグジュアリー
貴金属なら高価なのは理解できる。しかし本当にすごい時計は、むしろ理解の範疇を超える。未知なるものを愛でるのが、真のラグジュアリーなのだ。「カーボン」はF1マシンのモノコックにも使用される軽くて頑強な素材。酸化ケイ素を主とする焼き物「セラミック」は、傷つかず美しいままだ。人工素材の「サファイアクリスタル」はダイヤモンドに次ぐ硬さと透明度を誇り、加工が極めて困難。どの素材も謎めいていて、だから魅力がある。
Topic 3|本気のスポーツウォッチはチタンで
時計に本気の機能を求めるなら
素材にも本気の性能を求めたい
スポーツウォッチの定番素材は、タフで頑強なステンレススチールだった。しかし防水性や機能性を本気で追求すると、どうしてもケースは大きく厚く、そして重たくなる。それは歓迎できない。だからこそ「チタン」がいい。チタンのメリットは軽さで、ケースもブレスレットもチタン製の時計は、とにかく快適で、長時間つけていても疲れない。厚い酸化被膜に覆われているので、海水にも強く錆びないし、金属アレルギーもほぼない。加工が難しくてやや高価にはなるが、それ以上に意味がある。本気のスポーツウォッチこそ、チタン。それが正解だ。