ムーブメントを収めるケースと、時計本体と手首をつなぐブレスレットは、時計の価値や個性を決める大切な要素。大事なのは“顔”だけじゃない。
Topic 1|実は歴史は浅いんです
金属加工の技術の進化で
ブレスレットは高品質化
細かなパーツの集合体であるメタルブレスレットは、実は製造がかなり難しい。だからスイスの時計はストラップモデルが多い(気候も涼しいし)。しかしスポーツウォッチの人気が高まると、開発に力を入れざるを得ず、工作機械が進化した2000年代から、ようやく高品質なブレスレットが増え始めた。大きなコマは重たい本体をしっかり支えてくれるため、見た目にも安心感がある。ただし、肌あたりの好みは千差万別なので試着は必須だ。
Topic 2|コマが小さいと華やかになる
時計のアクセサリー化がもたらした、キラキラ系ブレスレット
ヴィンテージウォッチやレディスウォッチにもよく見られる、コマが小さなブレスレットは、光の反射が増えるのでラグジュアリーに見える。ここ数年はコマの小さなブレスレットが新作でも目立つようになっているが、これは間違いなく時計のアクセサリー化がもたらした流れ。ちょっとゆるめのサイズにして動きをつくるなんて楽しみ方も、この手のブレスレットならでは。華やかに装いたいという思いが、ブレスレットのデザインにも表れているのだ。
Topic 3|注目はメッシュブレス
レトロなムードを引き出す
ミラノ生まれのブレスレット
金細工で有名なミラノが発祥ということで「ミラネーゼ」とも呼ばれるメッシュタイプのブレスレットは、1950~’60年代に流行したもの。しかし、昨今の復刻時計のブームや小径回帰の流れと連動し、新作モデルにも増えつつある。高度な加工技術で製作されたメッシュブレスレットは、薄くしなやかで肌あたりがよく、それでいて耐水性に優れ、機能性も高い。そして何よりもレトロでロマンティックな華やかさを楽しむことができる。
Topic 4|ブレスレットも専用デザインに
本体は見えずとも、どこの時計か一目瞭然
ブレスレットは時計のトータルデザインにおいて、大切な役割を果たすようになった。その進化の一つが、ブランドのアイコニックなモチーフをブレスレットのコマにする手法だ。パネライならリューズプロテクターを、ヴァシュロン・コンスタンタンはマルタ十字をそのままコマの形状にすることで、時計の個性をより強調することになる。機能を超えて審美性とブランド哲学を語るもの。それがブレスレットの新たな役割になっているのだ。