企業に属さず、コレクターのためのスペシャルウォッチを製作していた天才時計師フランク ミュラー。彼が1992年に自身の名を冠した時計ブランド「フランク ミュラー」を創設すると、柔らかにカーブするケースやアイコニックなビザン数字が注目され、一気に人気となった。衝撃的なデビューから30年を経た2023年に発表された「グランド カーベックス ピアノ」は、フランク ミュラーらしい優美なケースとミニマルなダイヤルデザインを融合させ、静謐な世界を作り上げている。
時の哲学者「フランク ミュラー」
時計師フランク ミュラーは、人と時間との関係を熟慮し、それを時計のデザインや機構によって表現してきた。時針がランダムにジャンプする「クレイジー アワーズ」や、プッシュボタンを押さなければ時刻がわからない「シークレット アワーズ」といった時計はその代表例であり、トゥールビヨンやミニッツリピーターといった複雑機構も、彼の思想を反映したものだ。華やかなイメージが強いフランク ミュラーだが、その一方で「時の哲学者」としても高く評価されているのだ。
「グランド カーベックス ピアノ」も、その思想の中から生まれた時計。「グランド カーベックス」と呼ばれるケースは、アイコニックなコレクション「トノウ カーベックス」を現代的に進化させたもので、有機的な曲線がより強調され、まるで球体から切り出したかのように見える。かなりボリュームはあるが、それでも手首に優しく調和する。
ケースに合わせたダイヤルは、ピアノブラックの上に透明のコールドエナメルを塗り、丁寧に研磨する工程を20回繰り返すことで、深みのある美しい光沢を引き出している。実物を目の前にすると、まずはケースの優美なフォルムに驚き、そして美しいダイヤルに目を奪われることだろう。
STYLE 1 ゴールドが馴染む暖色のニットスタイル
時間を哲学的に表現した「グランド カーベックス ピアノ」
「グランド カーベックス ピアノ」は、フランク ミュラーの歴史の中でもかなり挑戦的な時計といえる。フランク ミュラーといえば、伝統的なアラビア数字を立体的な美しい曲線にアレンジした「ビザン数字」が有名で、視認性とデザイン性を両立させながら誰もが知るブランドの顔を作ってきた。
しかし「グランド カーベックス ピアノ」ではあえてこのアイコンを用いず、ロゴのみを配置した。さらに、ゴールドの針は「スペード針」と呼ばれる装飾性の高いデザインを採用することで、ミニマルなダイヤルを引き締めている。
また「グランド カーベックス」では、ケースの内側に「インナー カーベックス」と呼ばれる縁のように見えるインナーケースが内包されている。これによって、ケースとインナー部分で異なる素材やカラーリングを組み合わせることができるようになった。
「グランド カーベックス ピアノ」では、ゴールドケース×ゴールドインナー カーベックス、ブラックケース×ゴールドインナー カーベックス、ゴールドケース×ブラックインナー カーベックスという組み合わせをラインナップ。少ない構成要素の中で、巧みにバリエーションを作り出している。
STYLE 2 ワントーンのシャツ姿で色気を
さまざまなスタイルに馴染み、存在感を示す
現代の高級時計は、時刻を表示する実用品というよりは嗜好品やアクセサリーとして楽しまれているが、そのなかでも視認性を犠牲にしないのが基本だ。だが「グランド カーベックス ピアノ」にはインデックスがないため、時刻の表示はどうしても曖昧になり、針位置で感覚的に時刻を読み取るしかない。
しかし、それこそがフランク ミュラーの狙いでもある。「グランド カーベックス ピアノ」が描き出す時間は、余白や余韻を楽しむもの。細かな時間の存在を忘れさせ、時間から解放され、そして時間の持つ豊かさを際立たせてくれる。
「時間を忘れて自分の今を生きる。今を輝かしく生きるために、時計は存在している」というブランドからのメッセージは、デジタル管理された一分一秒の中で忙しく過ごしている現代人の時間との向き合い方に警鐘を鳴らしているのかもしれない。
それほど哲学的に考えなくとも、「グランド カーベックス ピアノ」は十分に魅力的だ。優美なフォルムとミニマルかつシンプルなピアノダイヤルの組み合わせは、個性的でありながら主張しすぎないため、普段の着こなしに華やぐアクセントを加えてくれるに違いない。
STYLE 3 ジャケットと合わせてドレスウォッチ感覚で
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フランク ミュラー ウォッチランド東京
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