時計ブティックは「時計を買うお店」。では、購入するつもりがないのなら入店してはいけないのか。その答えは、もちろん「NO」である。東京・表参道にある「グランドセイコーブティック 表参道ヒルズ」は、グランドセイコーというブランドの世界観を体感する場所でもあるのだ。
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表参道ヒルズのファサードの内側にもう一枚壁があることで、ブティック内部は少し見えにくい。しかし勇気を出して入店すれば、別世界が広がっている。
世界的にも有名なショッピングタウンである東京・表参道。ファッションメゾンのブティックが数多く立ち並ぶが、近年は時計ブランドのブティックも増えており、新たな“時計の街”としての注目度も高まっている。2024年4月にオープンした「グランドセイコーブティック 表参道ヒルズ」もそのひとつ。
今や世界最大の時計イベント「ウォッチズ アンド ワンダーズ」にも参加する世界的時計ブランドとなったグランドセイコーだが、ここは全世界のグランドセイコーブティックの中でもかなり特殊な特徴を持っている。まずそれはファサードの段階からわかる。中に壁があって、二つの空間に分かれているのだ。
ブティックの内部は巨大なLEDディスプレイで覆われ、映像作品が流れている。時計ブティックとは思えないほど幻想的な空間の中央に什器がある。
そもそも表参道ヒルズはガラスに覆われているので、通常のブティックのつくりであればすっきりと内部が見えるはず。しかし「グランドセイコーブティック 表参道ヒルズ」では、あえて閉じるように設計した。その理由は内部に足を踏み入れると分かる。ブティックの内壁は巨大なLEDディスプレイになっており、毎年、その年のテーマに合わせて製作された映像作品が流れるダイナミックな空間になっているのだ。
照明は落とされているため、ブティックの外との明暗のコントラストが強くなり、まさに異世界に入り込んだ感覚になる。視覚や聴覚を通じて直感的にグランドセイコーの世界を体験できる、ブランドメッセージ「Alive in Time」を体現する没入型のブティックとなっているのだ。
入り口横には、陶作家・酒井智也氏による「SPIRIT series TOKIOMO NO KAMI」が展示される。
入り口横のショーウィンドウにアート作品が展示されているのも、「グランドセイコーブティック 表参道ヒルズ」の特徴。グランドセイコーのものづくりの哲学に共鳴したアーティストが、グランドセイコーの象徴である獅子の紋章をテーマに作品を自由につくる。さらにその横にあるディスプレイからは、製造工程を追ったムービーが流れる。これは、アートという切り口から新たなタッチポイントを得たいという思いがあるから。独創的なアートは注目度も高く、写真に収める観光客も少なくない。
現在展示されている作品は、陶作家の酒井智也氏が製作したもの。アートという異なる視点からグランドセイコーの世界につなげていくというのは、このブティックならではといえる取り組みだ。
展示方法から異なる新しい時計体験
今回、唯一無二の体験が待っている「グランドセイコーブティック 表参道ヒルズ」を堪能してもらうために声をかけたのは、気鋭ファッションブランド「カル」のディレクターであり、東麻布でギャラリーを営む佐藤佑樹さん。時計愛好家でもあり、グランドセイコーは祖父が所有していたことから“特別なもの”という印象を持っている。
ヴィンテージウォッチが好きで、いわゆるブランドのブティックに足を運ぶ機会はあまりないという佐藤さんにとって、中が見えづらい「グランドセイコーブティック 表参道ヒルズ」はややハードルが高そうだが、まずいきなり目を奪われたのは時計のオープン展示。もちろん裏側で固定されているが、高級時計がむき出しの状態で展示しているというのは、かなりユニークな光景である。
世界的にもまれな、高級時計のオープン展示。並んでいるのは、今年の新作であるダイバーズウォッチの「Ushio 300 Diver」
「通常のブティックの場合は、気になる時計があればスタッフに声をかけ、そのモデルを出してもらう必要がありますよね。でもオープン展示なら、すぐに時計を間近に見ることができる。これは面白いですね」
ディスプレイされている時計には触れてもOK。ダイバーズウォッチのベゼルを回すことや、クロノグラフの作動を確認することも可能だ。もちろん、試着したい場合は声をかけてロックを外してもらう必要があるが、ケースから出してもらう必要がないぶん、心理的ハードルはだいぶ下がるだろう。
今シーズンの目玉となるモデルは、新しいダイバーズウォッチの「Ushio 300 Diver」。佐藤さんは早速試着をお願いする。
ダイバーズウォッチとしては小径の「Ushio 300 Diver」は、軽量かつ美しく輝くブライトチタンを使用しているため、着用感も軽やか。試着することで、より時計の実力がわかる。
年差±20秒という高精度スプリングドライブムーブメントを搭載しつつ、ケース径を40.8㎜におさえた「Ushio 300 Diver」は、ケースやブレスレットの素材にブライトチタンを使用しているため、とても軽い。ダイヤルは日本列島を取り巻く潮流の躍動感を表現しており、それが店内ディスプレイの映像ともリンクしている。時計への知識が豊富なスタッフに説明を受けながら、佐藤さんは「Ushio 300 Diver」の試着を楽しむ。
奥行きのあるダイヤルの表現は、ぜひブティックで体験してほしい。
なお、「Ushio 300 Diver」にはブルーモデルとグリーンモデルが用意されるが、2色がともに揃うのは、グランドセイコーブティックおよびグランドセイコーサロンのみとなる(グランドセイコーマスターショップでは、ブルーのみを取り扱う)。
ソファスペースはコンパクトながら、心地よいムードがある。照明も効果的で、「Ushio 300 Diver」の美しいダイヤルがよく見える
また、店内にはソファスぺースもあり、落ち着いた雰囲気で接客を受けることも可能。光の演出に凝っており、「Ushio 300 Diver」のダイヤルカラーの繊細な違いも非常によくわかる。
「個人的には小径の時計が好みなので、このくらいのサイズ感がちょうどいい。海を感じさせるマリンスタイルに、アクセントのひとつとしてアクセサリー感覚で取り入れられそうです。ダイヤルも綺麗ですよね。潮流をモチーフにするというのは島国である日本らしさがありますが、とてもさりげなくて美しいです」
厳選された高額モデルなどは、壁面ディスプレイにも展示される。
時計ブティックは、新しい時計と出会う場所であり、時計への興味の扉を開く場所でもある。なかでも「グランドセイコーブティック 表参道ヒルズ」は、グランドセイコーの世界を楽しむことに特化している。立地も良いため、買い物途中にふらりと立ち寄ってみてはどうだろうか。そこにグランドセイコーの世界が待っているはずだ。
グランドセイコーブティック 表参道ヒルズ
東京都渋谷区 神宮前4-12-10 表参道ヒルズ西館1階
TEL:03-3470-3011
営業時間 11:00am - 8:00pm