もはや実用品の枠を超え、大人の嗜みとして楽しまれている高級時計。日本が誇る腕時計ブランド「グランドセイコー」は、大人の日常に寄り添うタイムレスなデザインと、語りたくなる物語がある。
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日本の美意識から生まれた腕時計
1960年に生まれたグランドセイコー。ダイヤルは視認性を意識し、ケースのデザインは直線と平面を主体に構成し、陰影の美しさを表現することで実用性と独自性を磨いてきた。その信念は今でも丁寧に継承されているのが、だからと言って“古典”にならないのは、時代に合わせて進化しているからでもある。
2020年に定めたグランドセイコーのデザインコード「エボリューション9 スタイル」は、美学と品格を際立たせるために編み出された。光と陰、そしてその中間にある美を繊細に表現し、上品ながらも存在感のあるモデルに仕上げている。また美しい世界をさらに特別なものとするのが、表現力豊かなダイヤル。自然に囲まれた製造地の情景を日本人の感性で表現し、スイス時計にはない個性を作り上げている。

薄型のドレスウォッチ「エボリューション9 コレクション SLGW007」は、ネイビーカラーのダイヤルが特徴。「グランドセイコースタジオ 雫石」と同じ岩手県にある平庭高原に自生する白樺の樹皮が、月あかりに照らされている様子を表現したもので、38.6㎜という小振りなケースを上品に演出する。クラシカルだがストラップはあえてシボのある牛革を使用し、程よくカジュアル感を作り出すので、シャツにカシミヤのニットポロを重ねるなど、大人のリラックススタイルにも合う。
手巻。SS。ケース径38.6mm。¥1,342,000/グランドセイコー ニット¥82,500/ボーディ(アルファ ブランド コンサルティング) シャツ¥31,900・パンツ¥29,700/ブラームスルーツストック(ワンダリズム)


搭載するムーブメントは手巻きメカニカルハイビートのCal.9SA4。今では珍しくなった手巻き式だが、グランドセイコーでは動力ゼンマイを巻き上げる際の巻き感にもこだわっている。カチカチと指先に伝わる感触で、時計と対話する。そんな静かなひと時を楽しみたい。


もちろん、シャツにトラウザーズを合わせたドレッシーなスタイルの腕元は「エボリューション9 コレクション SLGW007」の指定席だ。ケース厚が9.95㎜と薄型なので、ドレスシャツの袖口とも干渉せず、着こなしの邪魔にならない。
シャツ¥39,600/グラフペーパー(グラフペーパー 東京) パンツ¥59,400/フミヤ ヒラノ ザ トラウザーズ(ノウン)


レザーベルトの色と合わせたネイビージャケットを羽織ったスタイリングが、知的なムードを演出する。
ジャケット¥324,500/ベルヴェスト(八木通商) 時計、シャツ、パンツは前ルックに同じ


よりモダンな雰囲気を楽しみたいなら、2021年に登場したメタルブレスレットの定番モデル、「エボリューション9 コレクション SLGH005」をおすすめしたい。質感のよい白いダイヤルは岩手県の平庭高原に広がる白樺林をイメージしたもの。精密な金型を高い圧力で金属板に押し付けることで、力強く壮大な白樺林をダイナミックな立体感で表現している。
自動巻き。SS。ケース径40mm。¥1,276,000/グランドセイコー


ボリューム感のあるケースは「エボリューション9 スタイル」の特徴で、ブレスレットも太めにデザインされるため、高い装着性とともに腕元でしっかり個性を表現してくれる。これなら、秋を感じさせる細畝のコーデュロイジャケットの存在感にも負けない。赤いニットの華やかさは、シンプルな色使いの時計を引き出す良いアクセントに。フォーマルはもちろん、カジュアルにも合わせやすいことを物語っている。
ジャケット¥61,600/カル(レショップ 青山店) ニット¥82,500/ボーディ(アルファ ブランド コンサルティング) その他/スタイリスト私物

今やグランドセイコーは、世界最大の時計見本市「ウォッチズ アンド ワンダーズ ジュネーブ」に非欧州ブランドとして唯一参加し、スイスの老舗時計ブランドたちと並んで巨大なブースを構え、世界中の時計関係者を迎え入れている。
グランドセイコーは、押しも押されもせぬ世界的な高級時計ブランドとなった。しかもそこには日本らしい美意識と繊細なメカニズムが詰まっている。この時計を選ばない理由は、どこにもないのだ。