ギネスビール再考
正直、ギネスビールはそんなに好きではなかった。あのクリーミーさは苦手な部類。海外のビールなら、イタリアのペロー二くらい軽くて爽やかなビールが好き。ただ、アイルランド出身の知人が、「アイルランドで飲むギネスは別格。ロンドンのパブのギネスなんか飲めたもんじゃない。あんなものは偽物である」という過激な発言をしていて、そこまで人を熱くさせるビールなのか、いつか本場のギネスを飲まねばと思っていた。
そしてこの夏、実際にアイルランドを訪れて分かった。もし仮に『国家とビール』という本があるとしたら、「アイルランドとギネスビール」という章は絶対に書かれるくらい、この国を代表する飲み物なのだ(あと、アイリッシュ・ウイスキー)。皆、夏の日差しの下で、パブの外にはみ出してスタウト(黒ビール)が注がれたパイントグラスを片手にワイワイ楽しそうに話している。たしかに深みはありながらもフレッシュで苦みが少なく、これまで缶で飲んできたギネスとは別次元の美味しさ。泡の立ち方も違う。何軒かパブをハシゴして、飲み比べたけど、ちょっとずつ味が違うのも面白かった。ちなみにソルト&ビネガー味のクリスプ(ポテトチップス)をつまみながら、飲むとさらにウマい(アイルランドの人々がいかにクリスプを愛しているかについては、北村紗衣『素面のダブリン市民――ゆるふわアイルランド紀行』に詳しく書かれている)。
ダブリンのど真ん中にギネス工場があり、せっかくなので見学してみた。工場がある地区に近づくと、ギネス特有の香ばしい匂いが漂ってくる。ギネスの歴史と製法をたっぷり勉強して、街が一望できる展望バーでもギネスを飲んだ。お土産ショップで購入したのが、このコースター。昔の広告に描かれていたカメのキャラクターらしい。なんか、かわいい(ちなみに、「ギネス世界記録」を始めたのもギネス社だった)。
そんなこんなで、ギネスビールへの評価を改めることになった次第。とはいえ、一日に何杯も飲むタイプのビールではない。ハーフパイントくらいを軽く飲むのが一番美味しい気がする。
カルチャー・食担当。トレードマークは、ボリューミーなパーマ(入稿・校了時、1.5倍増)。一年中ほぼシャツ、冬だけニットもあり。年始に琺瑯鍋とフライパンを新調したので、きちんと自炊ができるようになりたい。
Movie&Photos:Mitsuo Kijima
Stylist:RUI