Editor Shibutsu

246
東京堂書店|ブックカバー
2025.10.08
最終更新日:2025.10.08

東京堂書店|ブックカバー

編集 中林龍平

「東京堂書店」礼賛

東京堂書店|ブックカバーの画像_1

毎週火曜日の楽しみは、東京堂書店へ週間ベストセラーを見に行くこと。「売れている」ことを金科玉条にする態度には疑義を申し入れたいが、この書店の「ベストセラー」は例外。絶大な信頼を寄せている。ショーウィンドウに並んだ本を見ると、「この本がランキングに入っているの!」という驚きに満ちていて、書店とお客さんがいい関係を結んでいることを実感できる。そこには本を通した「親密さ」がある。だから、編集部にいるのが嫌になると東京堂書店へ逃げ込む。

そもそも、東京堂書店はどの本を「平置き」するかの判断が愛に満ちている。的確な位置に本が置かれることで、思わず手に取ってしまう(気づいたらレジに本を持っていく)。その創意工夫が週間ベストセラーに結実している。自分もこの書店のおかげで、数々の未知の本と出会うことができた。昨年の個人的ベストである、台湾の埠頭労働者について書かれた『静かな基隆港』は、ここの書店に通っていなかったら読むことはなかったと思う。ポップアップのコーナーも素晴らしくて、最近だと柴崎友香の『帰れない探偵』の発売に合わせた選書フェアでいろいろ買った(いまさらながら、W・G・ゼーバルトをきちんと読もうと思った)。そして、大御所たちのサイン本も多く置いてある。蓮實重彦、金井美恵子、片岡義男、多和田葉子……ひっそり置いてあるけど凄すぎないかと思いながら、そこもチェックしている。

こんな「平置き」と「フェア」で買わせてくる(!)書店が、会社から徒歩5分ほどの位置にあるのはとてもありがたい。その愛してやまない東京堂書店のオリジナルの布製ブックカバー。3年ほど前に購入して半年前まではレジ横に置いてあったのだが、最近はないので売り切れてしまったのか。ちなみに、東京堂書店は無料でもらえる紙のブックカバーも最高で、こんなに手に馴染むものを他の書店でもらうことはできない。

東京堂書店|ブックカバーの画像_2
東京堂書店|ブックカバーの画像_3
中林龍平プロフィール画像
編集
中林龍平

カルチャー・食担当。トレードマークは、ボリューミーなパーマ(入稿・校了時、1.5倍増)。一年中ほぼシャツ、冬だけニットもあり。年始に琺瑯鍋とフライパンを新調したので、きちんと自炊ができるようになりたい。

Movie&Photos:Mitsuo Kijima
Stylist:RUI

246
Editor Shibutsu

LISTED

VIEW MORE >

RECOMMENDED