このTシャツありきでクルマを乗り換えた

世界一過酷な自動車レースと言われる「ダカール ラリー」の公式Tシャツ。現在はサウジアラビアの大砂丘を舞台に、2週間のべ8000kmを戦うが、かつては新年にパリをスタートし、モロッコを抜け、ゴールのセネガルへ向かっていた。「パリ・ダカ」と聞けば懐かしい人もいるはず。パイオニアが協賛していた90年代前半は、三菱やプジョーのプロトマシンが死闘を繰り広げる面白い時代だった(生まれてないけど)。
珍しい企業ロゴ系の古着だが、自分にとってはそれ以上の特別な想いがある。自分は幼少期から近所に参戦チームのガレージがあって、放課後はよくマシンに触れていた。「いつかは僕も走るんだ」。そんな夢も大人になってしばらく忘れていたのだが、ふと、この古着を見つけたことで、一気に再燃してしまった。そして今、20余年越しにそのチームの方々とも再び交流が生まれている。人生何があるかわからない。
そんなこんなで、今は競技用のトヨタ86を増車して、土や砂利の上を走ってタイムを競うダートトライアルに参戦中。資金繰りも大変だが、2年以内にはモンゴルを横断する「ラリー・モンゴリア」に参戦したい。そして、その先は「アフリカ・エコレース」に出て、このTシャツをサハラの地に持っていくことが叶えば…と思う。



クルマと時計担当。幼少期からのクルマ好きで、大学時代は自動車部に所属。ウェブでは「文化系ネオクラシック車と30人の男たち」も手掛けた。愛車はアルファロメオの「ジュリア」。クルマはイタリア車好き、ワードローブはカジュアルなフレンチスタイルが好み。猫舌のため一年中、アイスコーヒー派。
Movie&Photos:Mitsuo Kijima
Stylist:RUI