キャラが弱くても着られます

パリ左岸の老舗メゾン「ARNYS」(アルニス)。ここの名品といえば「フォレスティエール」だ。建築家ル・コルビュジエの発注によって生まれた文化系ゴリゴリの起源には心惹かれるものの、 “森の番人”という名の意の通り、素材使いや随所のパイピング、肘パッチなどが牧歌的すぎて、これまで正直食指が動かなかった。何より編集者の島地勝彦御大(集英社の大先輩です)が着ている印象が強く、自分にはまだ早い、着こなすにはキャラ的に弱いと感じていた。あの方にキャラで勝てるわけもないんですが。
とまあ、自分ごとに感じられなかったわけだが、1月のパリファッション・ウィークでベルルッティを訪れ新作の「フォレスティエール」を目にすることに。なんと余計なディテールを排したスタンドカラーのジャケットに生まれ変わっていた。アルニスはすでに2012年からベルルッティの傘下。つまりこのベルルッティ製こそが現代の正統。オリジナルにあった土臭さは微塵も感じられず、モダンでミニマル。学ラン然としたユニフォームっぽさもいい。これだったら着てみたい。
ベルルッティ・インフォメーション・デスク
TEL:0120-961-859

ワードローブは、アウトドアやミリタリーものから唐突なハイブランドまで混ぜたもん勝ち。恒例「試着フェス®」発案者だが、ショップに行く暇を惜しみ、試着ゼロ状態で衝動的に通販しがち。好きなモノは、深夜の飲酒からの寝落ち。MT車の運転。スノーボードとキーボード。
Photo: Yoshio Kato
Stylist: Takeshi Toyoshima
Composition: Ai Hogami