ボロボロの状態を自らレストア&カスタム
![GMC ラリーSTX(1979年式)](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/95/955cf97d-9e91-48c7-87c1-db99b98f02ae-1200x1200.jpg)
アジア市場ではトヨタ・ハイエースが商用バンのロングセラーであるように、アメリカではシボレーやフォードのバンが長年シェアを占めてきた。なかでも、1960年代から90年代中頃まで製造されたシボレー・バンは、“シェビーバン”の愛称で今も世界中のファンに親しまれている。今回登場するのは、その姉妹車としてGMが販売していたラリーワゴンだ。
![GMC ラリーSTX(1979年式)](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/ba/ba0ce390-208d-48b9-a361-8c132b1222f6-1200x800.jpg)
「20台以上のクルマを乗り継いで、1979年式のGMC ラリーSTXに行き着きました」と語るのは、アウトドアデザイナーズユニット「Cielbleu.(シエルブルー)」の茨木さん。シェビーバンとの最初の出会いは、米国に住んでいた20代前半、現地で購入した個体にまで遡る。帰国後、数々のクルマを乗り継いだが、2人目の子供が生まれたタイミングで荷物が多く積める2002年式のシボレー・エクスプレス(シボレー・バンの後継機種)に乗り換え。その後、92年式のラリーワゴンを経て、3年前にこのラリーSTXを入手した。
「このモデルを選ぶに至ったきっかけは、かわいらしいエンブレムに惚れたから。78年から81年まで生産されたラリーワゴンの最上位である『STX』のエンブレムが本当にかわいくて。それがついた車両を探していたのですが、現存数も少なく諦めかけていました。そうしたらある日、たまたま国内で販売されているのを見つけて、即決したんです」。
運命的な出会いによって手に入れたSTX。内装は綺麗だったものの、外装にはサビや凹みがあり、エンジンやミッションも不調で足まわりもガタガタ……。ブレーキも満足に効かず、マフラーも穴だらけという状態だったため、フレーム以外にはほぼ手を入れる方向でイチからレストレーション(復元)を施した。
![GMC ラリーSTX(1979年式)](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/66/663c5387-1f39-40fa-871e-7b79dc2eb39f-1200x800.jpg)
![GMC ラリーSTX(1979年式)](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/7b/7b3ac0b9-61df-4dfb-b0ed-27d2056a59d6-1200x800.jpg)
「じつは僕、もともとはメカニックなんです。なのでアメ車のツボはある程度分かっていた。レストアを終えてからはすこぶる快調です。(燃料噴射装置を)インジェクションに変更してもよかったんですが、僕はアナログなキャブレターが好き。季節の変わり目にはキャブ調整をしながら運転を楽しんでいます」。
維持するうえで苦労する点は「ボディパーツ集め」。新品はほぼ入手不可能であるため、海外オークションやアメリカのジャンクヤードをまわって部品を集めている知人たちに探してもらっている。
「機械いじりとアウトドアが趣味なので、本当に自分のスタイルに合ったクルマだと思います。荷物が積めて車中泊ができて、乗り心地もいい。アフターパーツも多いからいじり甲斐もあります。今はこのクルマ以外には考えられませんね」。
![GMC ラリーSTX(1979年式)](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/63/63a06431-b8c9-4a51-87a0-38ff93a05689-1115x743.jpg)
要点をおさえて定期的にメンテナンスすれば壊れることも少ないし、エアコンもしっかり効く。万が一壊れてもGMのクルマはエンジンやミッションが同型の新品が売っているため、機関系や足まわりなどには困らないそうだ。
「乗り換えることはまったく考えていませんが、もしこのクルマを友人に譲ったとしても、またシェビーバンを探すと思います。その場合は4×4などさらに珍しいモデルにしたいな(笑)。子供たちがみんな独立したら、ショートボディのモデルも買い足したいと目論んでいます」。
![茨木 一綺プロフィール画像](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/29/2975bf68-d26b-4b14-af5a-4667a6f6401a-1200x799.jpg)
アウトドアギアからカーカスタムまで、幅広い製作スキルが持ち味。アートディレクター、クリエイティブディレクターとしても多方面で活躍し、アウトドアイベントの企画も数多く手がける。
Text: Tadayuki Matsui