2019.01.25

【教えて! 東京スニーカー氏 #27】あったかいスニーカーが欲しいのですが。|2019年3月号掲載

エディター・小澤匡行がスニーカーにまつわるギモンに答える月いち連載【教えて! 東京スニーカー氏】。第27回は愛用のボアスリッポンについて。

【教えて! 東京スニーカー氏 #27】あの画像_1
【教えて! 東京スニーカー氏 #27】あの画像_2

左と中央のスリッポンは、おそらく2016年?のモデル。タグもアッパーと同色でサイドのラインに色がないのがお気に入り。別にレアなモデルじゃないので、ネットのセールやオークションを探せばちょいちょい出ます。右の黒は、ソールもブラックというのがありそうでないなと。すべて次の秋冬のことも考えて2足買いしました!/私物



出版業界あるあるの年末進行に冷や汗をかきながらこの原稿を夜中に書いていますが、年をとってきたからか、不規則な生活リズムがたたったか、足がとにかく冷えるようになりました。40歳になってようやく足元にも季節感を取り入れるようになり、ボアの魅力を実感し始めたのです。



以前シープスキンブーツが流行したときはセレブ人気の流れを感じていたこともあり、ちょっと距離をおいて見ていたのですが、今では手放せない存在に。原稿を書いている今日も早朝ロケがありましたが、当然のようにボアスニーカーを履きました。雪や雨には弱いですが、やはり暖かい。本来はソックスを履くより素足に触れたほうが保温性が高いようで、迷います。



ボア、つまりシープスキンがカルチャーになった場所はビーチです。最初は、オーストラリアのサーファーやスイマーが、冷たい海から上がった際に足が冷えないように、ウールをフリース状に処理した羊の毛皮(つまりボア)のシューズを履くようになり、それが海を越えてカリフォルニア一帯に広がった。その立役者が1978年に誕生したUGG®でした。そこからハリウッドまでの距離は近く、セレブリティが愛用したことで日本でもレディスを中心に、一家に一足レベルの大ブームが起きたのです。



そんなサーフカルチャーとの結びつきがあるから、ヴァンズの秋冬にも、必ずといっていいほどボア付きがラインナップされています。僕はサーファーではないので、なんとなく取り入れることに抵抗がありましたが、ジュンヤワタナベ・コム デ ギャルソンでボアスリッポンを購入したことで、定番的にリリースされているヴァンズにもありつきました。比べると、ヴァンズはフォルムが丸っこいので、かわいげがあります。そして写真のようにサイドテープのラインが入っていないデザインが好み。



ベージュとネイビーは数年前のモデルですが、オークションで新品未使用をちょいちょい安く見かけるので格安でまとめ買い。ブラックも先日、ABC-MARTのお店で買いました。すでに来季分もストックしています。



さらに現在、ヴァンズのサーフラインから発売された、ボアもスエードのアッパーもグレーのスリッポンを通販で購入し、到着を待ちわびています。スニーカーではないですが、UGG®のスリッパも事務所で履いていますし、さらにビルケンシュトックのボア付きのチューリッヒも狙っています。



近年は空前のフリースブーム、そしてダウンブームなので、モコモコとした素材感はトレンド。だから足元のボアも当然相性がいいのです。僕はワイドパンツに合わせて、座ったときなどに裾が上がってチラ見えする程度のアピールにとどめていますが、それなりに存在感もあっていい。



ちなみにシープスキンの天敵は汗ムレとカビ。履いた後の除菌・消臭スプレーは欠かせません。芳香成分との混合臭が苦手なので、無色無臭のA2CAREをシュッシュッと吹きかけて、清潔感を維持しています。

小澤匡行プロフィール画像
小澤匡行
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。スニーカー好きが高じて『東京スニーカー史』(立東舎)を上梓。靴のサイズは28.5㎝。

Illustration:Yoshifumi Takeda
Photo:Yuichi Sugita
Text:Masayuki Ozawa
(2019年3月号掲載)

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