2021.04.18

今度はオールドスクールなバッシュ!スマホ時代のスニーカーブームの生まれ方【教えて! 東京スニーカー氏 #47】

“東京スニーカー氏”ことエディターの小澤匡行がスニーカーにまつわるギモンに答える月イチ連載。今回はスニーカーの「ブーム」について。

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オリジナルの登場はたしか1986年。マイケル・ジョーダンのライバルでもあったNBA屈指のビッグマン、NYニックスのパトリック・ユーイングのシグネチャーモデルとして誕生しました。ブルー&オレンジのトリコロールカラーが有名ですが、シックな2色が今の気分。ライニングのパイルが地味によく、レトロで味わい深い。私物。



皆さんはスニーカーの情報を何から得ていますか? 僕たちが学生の頃はお店で聞く生トークだったり、雑誌がその役割の多くを担っていましたが、いまは手のひらに収まるスマートフォンの時代。Instagramはもちろん、ナイキなどメーカーの自社アプリだったり、アトモスなど小売店が企画・更新するオウンドメディアもそのツールの一つ。スニーカー専門のYouTubeチャンネルも増えているし、今後は話題の音声メディア、Clubhouseも見知らぬファン同士のコミュニケーションの場として盛り上がるかもしれませんね。

最近まではメーカーの優れたマーケティングによってよくも悪くもブームがギリギリ統制されてきましたが、情報収集ツールが選べる時代になると、メーカーの目が届かない場所で思わぬブームが生まれることも。これは’90年代のエア マックス95に代表される第一次スニーカーブーム(と、僕は呼んでいる)と同じ現象です。近年のセカンドマーケットの異常な人気もその一例。健全に楽しくブームを助長したい。そんな気持ちから、WOWOWで1月18日からスタートした情報番組「スーパースニーカーピーポー」の制作のお手伝いを始めました。主に収録中に演者からの疑問に即興で答えたり(これが難しい)、補足説明するテロップを作成する監修役です。テロップのはじめのほうに名前がかっこよく載っているので見てみてください。

この号が発売される頃にはアディダス好きが集まってトークをする回が放送される予定です。アディダス愛の入り口はそれぞれで、トレフォイル好きもパフォーマンス好きもいて面白い。僕にとってアディダスの魅力は、メーカーの思惑と別のところでファッションや音楽と結びつき、局地的なブームをつくってきたところ。デヴィッド・ボウイとスタンスミス、RUN-D.M.C.とスーパースター、ビースティ・ボーイズとキャンパス、ジャミロクワイとガッツレーなどが有名でしょうか。人気の火種がミュージシャンなので、そこにリスペクトがないとどれだけ靴がメジャーになっても履きにくい聖域をいまだに感じるんですよね。だからオールドスクールなアディダスを久々に履くときは関連音楽をちゃんと聴いてテンションを高めるようにしてます。

1989年の映画『Do The Right Thing』に使われたパブリック・エネミーのヒット曲「Fight The Power」の2020年バージョンが昨年リリースされていました。ちょうどエア ジョーダン4についての調べものがあってこの映画を見ていたのですが、パブリック・エネミーは青春時代を思い出します。そうしたら彼らが’80年代後半に愛用していたリバルリーのローカットが復刻されていて、思わず白ベースの黒とグレーを2色買い! この収録にも履いて臨みました。ゆったりとしたカシミヤニットのセットアップに、’80s感バリバリなリバルリーのボリューム感がちょうどいい。オールドスクールなバッシュが気になるこの頃です。

小澤匡行プロフィール画像
小澤匡行
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。スニーカー好きが高じて『東京スニーカー史』(立東舎)を上梓。靴のサイズは28.5㎝。


Illustration:Yoshifumi Takeda
Photos,Composition&Text:Masayuki Ozawa

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