「買い物は人生の道標」と語るのは、UOMOでもお馴染みのファッションディレクター、金子恵治さん。金子さんの買い物は目的があるように見えて、実は衝動買いの連鎖。「常に最愛のモノを追い求めているけど、心が揺れる衝動買いにロマンを感じ、その感動が自分の仕事の糧になっています」そんな金子さんの、5カ月にわたる衝動買いの「声」に耳を傾ければ、あらためて服の楽しさは出会いにあることに気づかされる!

レショップのバイヤー、コンセプターを経て独立。現在は複数のブランドディレクション、PR業を行うほか、青山で自身のショップ「BOUTIQUE」も営む。
5/31 Sat|WAKOUWA スニーカー

「IKB」と聞けば即買いスイッチON
この日は寺本欣児さんとのトークショーのため、アナトミカ名古屋店へ。名古屋といえば大須の古着屋エリアが大のお気に入りで、もちろん到着してすぐに向かった。この日はたまたまMITSURUの入荷日で、すぐにいいものに出会い、いきなり散財してしまった。それから散財しない覚悟でアナトミカへ向かったが、着くとすぐにインターナショナルクラインブルー(IKB)のスニーカーを発見してしまう。IKBには思い出がある。以前レショップで別注した際に使用した色で、とにかく好きな色だった。IKBというだけで即買い決定だった。モノクロニズムを代表するフランスの画家イヴ・クラインが生み出した高貴な青。厳密にいえばまったく同じ色ではないが、そのテーマを掲げて、アナトミカが納得する青で仕上げたものだから、アナトミカファンの僕は問答無用で欲しくなってしまうのだ。
靴に関しては木型も改良されており、タイトな見た目に反してフィット感は素晴らしい。オールデンのモディファイドラストのような美しいアーチのシェイプが土踏まずをしっかり支えてくれる。抑揚のある木型は、一般的なスニーカーとは一線を画す立体的な美しさをもっている。履き心地のよさは想像以上で、長時間歩いても疲れない。このブルーが好きなので、同じ色で染められたTシャツもセットで購入した。全身青のコーディネートがお気に入りで、街を歩いていると視線を集めることも多い。色のもつ力をあらためて実感させてくれる一足…と思ったが、ちょっと変な青好きな人に見えただけかもしれない。