ベースモデルの「Cloudmonster Hyper」は2024年にデビュー。「CloudTec®」と「Helion™ HFハイパーフォーム」の組み合わせは、クッション性と同じくらい、反発力の高さを実感できる。前回のPAFとのコラボレーションモデルのコンセプトを踏襲し、「それどこの?」と思わせるミニマルなアッパーが特徴。ほかにグレーとホワイトの全3カラー展開。/私物
2025年のスニーカーを振り返ってどうでした?
例年のとおり、一年のスニーカーを振り返る号になります。2025年もたくさんスニーカーを買いましたが、革靴ライクなものと走らなくてもいいランニングシューズに集中しました。スニーカーカルチャーと服の流行と自分らしさの距離感を考え続けているけど、コロナ禍以降は、随分と足元が落ち着きました。年齢の影響もあるけれど、世の中の質を求める傾向が強まり、Tシャツより襟付きのシャツ、スウェットよりニットが増え、それに使われる素材にも気を遣うようになった。服も靴も快適であることは購入のいちばんの理由ですが、ここ数年はその意味が変わっています。機能とかスペックではなく、その環境にフィットすることが重視されている。だから着ている服や生活に適した、過不足のないデザインや履き心地を欲しがるようになった。アスリートを支えることが本分のスポーツメーカーだけで、その領域に辿り着くのは難しかったりする。だから空気感というか、勘のいいファッション的なブランドとのコラボレーションの着地点が、時代をつくっている。その結果、足元だけが主張する過剰な装飾は敬遠されがちになっています。
10月に今年2足目となるPAF(Post Archive Faction)とOnのコラボレーションシューズを買いました。前回の協業では、トレイル系の「Cloudventure Peak」を買ったので、今回はよりマックスクッションな「Cloudmonster Hyper」が欲しくなりました。インラインでは主張させたロゴを排除し、モノトーンの配色を切り替えの曲線美でやわらかく見せている。ストイックな美しさがあるから、地理的な境界を超えていて、どこでも使える。そのデザイン感がよかった。単純にシンプルだとか、オールブラックだからシーンやスタイルを選ばない、というフェーズではありません。PAFには人間の内側に触れにいくというか、行動や生活様式に変化を促してくれるような思索的なブランド設計を感じます。そんなに頻繁にはないのですが、自分の視線が変わったり、思考が豊かになるような一足に出会いやすくなっているのは、この近年のスニーカー事情のいい傾向だと思っています。
PAFのOnは街用に履く人が多いけど、今年は革靴みたいなスニーカーが増えたこともあり、あえてランニング専用に。2足所有することで、ロードと芝を履き分けています。12月に入ると朝の冷え込みで、代々木公園のトレイルコースは路面が硬くなったりぬかるんだりとコンディションが不安定なので、最近はロードばかり。ゆっくりと距離や時間を稼ぎたいときに「Cloudmonster Hyper」が活躍しています。今は自分の走るスタイルが、いかに公園や都会の景色やすれ違う人に刺激を与えないか、を考えてシューズや服を選ぶのが楽しい。’26年も仕事や健康と相談しながら、自分のペースで走っていきたい。そんなときに気づきを与えてくれるスニーカーに出会えるように頑張っていきたいです。
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。