2025年12月に連載「大人がこのスニーカーを買う理由」で紹介した新作を、アクセス数が多かった順にあらためてご紹介。大人が「本当に欲しい」スニーカーがわかる!
BEST5:ARC’TERYX|KRAGG INSULATED M
シャープなデザインが魅力の中綿入りシューズ
「クライミング後の回復期間に最適なシューズとしてラインナップされているクラッグ。本来はシューレースが配されるパートにニットを採用して、フィットさせるというよりも足をリラックスさせることを大前提にした設計ですが、アークテリクスのシューズは、一般的なスニーカーとは違うアプローチでつくられているのが魅力だと思います。
ミッドカットのクラッグ インサレーテッドは、化繊中綿が入ったあたたかいモデルです。ニット部分を広げて、ソックスというか、フィットのいいブーツを履くような感覚で履けます。見た目はシャープでエッジが効いていますが、脱ぎ履きがしやすく、クッション性に優れた厚めのインソール入りで履き心地もいい。ラバー製のトゥキャップとヴィブラムメガグリップソールが一体になったアウトソールで、安定感もあります。
Carob/Black(キャロブ/ブラック)というブラウン系のカラーは今年の新色。アークテリクスは色出しが独特で、この絶妙なカラーリングがアークテリクスらしさを際立たせている気がします。自然を表現するカラーウェイすら、デザインという視点で選ばれている。その切れ味の鋭さというか、シャープさが魅力です」(小澤)
BEST4:adidas Originals|EQUIPMENT AGRAVIC XTR
90年代のデザインを今のテクノロジーと融合
「1996年に登場したアディダスのEQT XTR(エキップメント エックスティーアール)というモデルのアッパーに、トレイルライニング用に設計されたアグラヴィックシリーズのソールユニットを融合した新型です。EQT XTRはデザインはもちろん、当時最新のFYW(Feet You Wear/フィート・ユー・ウェア)テクノロジー("トルション"、"ポッズ"、"アディプリーン"などを集結させた、自然な足の動きをサポートするテクノロジー)を搭載したことでも話題を集めました。
今回このエキップメント アグラヴィックXTRには、今アディダスが得意とする部分が凝縮されています。パフォーマンスのテクノロジーをライフスタイルのシューズに応用して、例えばこのシューズならアウトドアでも使えるハイテクソールを採用しているのですが、街でもフィールドでも使えるように仕上げています。こういう広げ方はスポーツブランドならではですよね。
軽くて強度があるダイニーマ素材のリップストップをアッパーに使いながら、当時はなかったシルバーカラーで90年代後半のアディダスらしさとハイテクなムードを演出している点も印象的です。一周回ったうえで現代的なフィルターをかけて再構築しているあたりに、面白さを感じています」(小澤)
BEST3:Last Resort AB|VM006-MOC PONY HAIR
ポニーヘアを使用した特別な新作モックトゥ
「今年1年、本当によく履いたラストリゾートエービーのモカシンシューズ。タッセルローファーとともに、ブラックスエードのものをヘビーユースしていました。そろそろ買い換えなければと思っていたら、ポニーヘアの新作が発売に。いわゆるヘアカーフ風ですがギラついている感じもなく、ちょうどいい温度感だったのでさっそく入手しました。
このスニーカーの魅力はスニーカーらしからぬ落ち着いたルックスと履き心地のよさに尽きるなと。革靴ほどかっちりしすぎない絶妙な品のよさとちょうどよいクッショニングのおかげで、出張でもよく履きました。結局オーバースペックなものよりも、このぐらいの実用的なスペックが一番いいんですよね。
よく見るとモカ縫い部分にスエードがあしらわれているさりげないデザインも好み。このシューズは何にでも合うのですが、品のいいスラックスとかよりも、ゆるさのあるブラックジーンズやスウェット上下のような少し気の抜けた服装に合わせると真価を発揮してくれます」(小澤)
BEST2:adidas Originals × BILLY’S ENT|PALMA
アイランドシリーズのパルマをビリーズが復刻別注
「1970年代から80年代にかけてリリースされていた“アイランドシリーズ”は、ヴィンテージのアディダスが好きな人なら、絶対に興味があると思います。僕自身もずっと注目してきたので、今回、スペイン・マヨルカ島のリゾートに由来するパルマがビリーズの別注で復刻されたと聞いてさっそく購入しました。
とはいいつつ僕、パルマの存在を知りませんでした。発売されると聞いて、こんなモデルがあったんだと。ただ、個人的にアディダスの好きな条件がすべて凝縮されているので、素直に欲しいと思ったんです。スタンスミスのようなパンチングスタイルのスリーストライプス。つま先がスクエアトウ気味で70年代のトレーニングシューズ風の佇まいであること。そしてこの軽量ポリウレタンソール。自分の好きな3つの要素が組み合わさった、まさにMYヒットな一足です。
ビリーズは日本にフォーカスした“シティシリーズ”を別注で手がけるなど、このところスニーカーシーンでも存在感を増しています。カルチャーに裏付けされている別注も多いのですが、今回のパルマのように、大人世代にぴったりの別注も最近増えているので、目が離せません」(小澤)
BEST1:adidas Originals|SUPERSTAR VINTAGE
ストリートの匂いがない大人のスーパースター
「1969年にデビューしたスーパースターの、初期のムードを取り入れた『スーパースター ヴィンテージ』というモデルがアディダス オリジナルスから出ました。スリーストライプスが少し細かったり、『adidas SUPERSTAR』の刻印のフォントが少し気の抜けた感じだったり、’70年代のディテールや空気感をうまく表現した、どこか余白のあるスーパースターです。
スーパースター 80sが出たときも、若い頃に古着屋や裏原宿界隈で見て憧れていたフランス製のヴィンテージの記憶が呼び起こされて欲しくなったんですが、これはそれよりももう少し前のモデル。品のいいスーパースターが欲しいなと思ったとき、1970年代のスーパースターのディテールが今の自分にはしっくりきました。
シュータンにもヒールにもロゴやトレフォイルが入っておらず、ストリートカルチャーの匂いはしません。これだったらRun-D.M.C.も履かなかったんじゃないかと、そんな感じすらします。レトロなムードはありつつヴィンテンージ感は薄くて、品はいいけれどどこか抜けている。まさに大人のスーパースターだと思います」(小澤)
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。














