秋冬らしい暖かみのあるコーディネートを構築するなら、スエード素材のスニーカーを合わせるのが常套手段。東京スニーカー氏ことエディターの小澤匡行さんがピックアップした5型を選んでおけば、周りと大きく差をつけられること間違いなしだ。
01:Vans | Premium Old Skool
シャギースエードのアッパーに心惹かれて
「最近のヴァンズのインラインのクオリティの高さには、驚かされます。もちろんコラボレーションでも素晴らしいものが登場しますが、今季の新作で見つけたこのシャギースエードのオールドスクールは、インラインからのリリースということが魅力的です。
オールドスクールはキャンバスアッパーを履くことが多いので、このスエードのケバ立ちやムラがとても新鮮に映りました。どこか粗野だけど高級感があって、でもクタッとしているからこなれた表情もある。グレー系とこのグリーンの2色展開で、今季はこのグリーンを履いてみたいと思いました。
シャツとジーンズのなんてことないコーディネートに、こんなグリーンを合わせたら、きっとしゃれて見えますよね? 以前スペインのシャツブランド、カミサス マノロのデザイナーに取材したとき、『オールドスクールが気分だね』と話していたので、カミサスのベーシックで品のあるシャツにジーンズやスラックスで、足元にこのスエードのヴァンズを合わせてみたいです」(小澤)
02:VANS|Authentic
ヴァンズはインラインの定番モデルが最強!?
「インラインで普通に売られているヴァンズのオーセンティックです。いろいろトピックはあるものの、インラインでこういう光るスニーカーが見つかるのが、ヴァンズの魅力。おしゃれな人たちは、なんてことのない定番のオーセンティックをサラッと履いているイメージがあります。
多くの場合、ハイブランドや人気ストリートブランドとのコラボモデルがうらやましく思えたりするものですが、ヴァンズはインラインのド定番が普通にカッコイイと思わせてくれます。誰かがオーセンティックの上位コラボを履いていたとしても、『自分は別にこっちでいいし』となるんです。守ってもらえている感覚がある。
今シーズンのこのCREPE PEYOTE(クレープ ペヨーテ)というオーセンティックの新色は、クリアクレープソールとスエードアッパーでこんなに高級感があるのに8,250円という価格。これでいいですよね。こういうのをサラッと品よく履いていたいです」(小澤)
03:Dries Van Noten|Suede Sneakes
“スニーカー以上革靴未満”のシューズのニューカマー
「この連載で、ドリス ヴァン ノッテンのスニーカーを取り上げるのは今回が初めてです。ドリスの革靴のシルエットが以前から好きで、スクエアトゥのローファーのような、今のムードを取り入れつつデザイナーのオリジナリティを融合したシューズに挑戦してみたいと考えていました。それでECサイトのコレクションをチェックしていたところ、このスニーカーに出会いました。
薄底で、見た目にも今っぽいルックスで、どこかヨーロッパらしさが漂います。履き口のパイピングや、シューレースホールパーツのピンキングなど、革靴のいいエッセンスを取り入れてレトロなスニーカーをつくっています。
スエードとナッパレザーの組み合わせが上品だし、ドリスらしいトゥの丸いシェイプも含めて、全体のフォルムがとても美しい。僕の中で、“スニーカー以上、革靴未満”のシューズといえば、これまではジャーマン・トレーナーが定番でしたが、ドリス ヴァン ノッテンのこのスニーカーはもう少しレトロなよさがあって、とても気に入っています」(小澤)
04:adidas Originals|MONTREAL
レトロデザインにベージュという万能な掛け算
「1976年のモントリオールオリンピックに向けて開発された、モントリオール76をアップデートした新作です。当時、競技用ではなくトレーニングシューズとして登場したもので、オリジナルモデルはヒール部分がラバーで覆われています。今回発売されたのは、ヒールのラバーパーツをなくした履きやすいデザインで、僕は初めて見ました。
このモントリオールに関してはオリジナルモデルが云々というよりも、配色でピックアップしました。アディダスのこの手のトレーニングシューズは、『スタンスミス=白』のように特定の色のイメージがあまりなく、色を楽しむためにつくられています。僕のような黒い格好が多い大人にとって、足元に白のスニーカーは万能ではなく、少しまぶしすぎる存在になってしまいました。その点、ベージュやクリームといった色だと落ち着くんです。
このモントリオールもアディダスが得意とするレトロなデザインでベージュと、これはもう万能な掛け算だと思いました。黒い服だけでなく、夏は白パンツに合せたり、チノパンでワントーンなんて着こなしにもよさそうです。セレクトショップがすぐに別注しそうな予感がします」(小澤)
05:PUMA × Graphpaper|Speedcat Plus GRAPHPAPER
大人が履きやすいグレージュワントーンの薄底モデル
「2000年前後のプーマのデザインは、今とても時代に合っている気がします。モストロ然り、スピードキャット然り。ヨーロッパのスニーカーならではの独特のフォルムが、今のファッションにマッチしているのだなと、カッコよく履きこなしている若者のSNSを見ていて思います。当時を経験していないひとつ下の世代が、新しい解釈でこういう靴をとらえているのも面白い。
そんな若者の靴をグラフペーパーが、大人っぽい色合いや素材感でアレンジしてくれました。ある意味無臭なグレージュのワントーンで、スムース、ショートスエード、ヌバックと3つの革で表情をつけています。クラークスのベージュのワラビーを愛用していたような人が、すんなり取り入れやすいカラーリング。グレージュがスニーカーとファッションの距離を縮めてくれます。
スピードキャットはドライビングシューズをベースにしたモデルだからかなりの薄底で、これがまた今の服に合わせやすい。着こなしを今っぽく見せてくれます」(小澤)
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。
Vansジャパンカスタマーサポート TEL: 0120-994-250
ドリス ヴァン ノッテン TEL:03-6778-7975
アディダス コールセンター TEL:03-6732-5461
グラフペーパー 東京 TEL:03-6381-6171









