2025年10月に連載「大人がこのスニーカーを買う理由」で紹介した新作を、アクセス数が多かった順にあらためてご紹介。大人が「本当に欲しい」スニーカーがわかる!
BEST5:Dries Van Noten|Suede Sneakes
“スニーカー以上革靴未満”のシューズのニューカマー
「この連載で、ドリス ヴァン ノッテンのスニーカーを取り上げるのは今回が初めてです。ドリスの革靴のシルエットが以前から好きで、スクエアトゥのローファーのような、今のムードを取り入れつつデザイナーのオリジナリティを融合したシューズに挑戦してみたいと考えていました。それでECサイトのコレクションをチェックしていたところ、このスニーカーに出会いました。
薄底で、見た目にも今っぽいルックスで、どこかヨーロッパらしさが漂います。履き口のパイピングや、シューレースホールパーツのピンキングなど、革靴のいいエッセンスを取り入れてレトロなスニーカーをつくっています。
スエードとナッパレザーの組み合わせが上品だし、ドリスらしいトゥの丸いシェイプも含めて、全体のフォルムがとても美しい。僕の中で、“スニーカー以上、革靴未満”のシューズといえば、これまではジャーマン・トレーナーが定番でしたが、ドリス ヴァン ノッテンのこのスニーカーはもう少しレトロなよさがあって、とても気に入っています」(小澤)
BEST4:Vans | Premium Old Skool
シャギースエードのアッパーに心惹かれて
「最近のヴァンズのインラインのクオリティの高さには、驚かされます。もちろんコラボレーションでも素晴らしいものが登場しますが、今季の新作で見つけたこのシャギースエードのオールドスクールは、インラインからのリリースということが魅力的です。
オールドスクールはキャンバスアッパーを履くことが多いので、このスエードのケバ立ちやムラがとても新鮮に映りました。どこか粗野だけど高級感があって、でもクタッとしているからこなれた表情もある。グレー系とこのグリーンの2色展開で、今季はこのグリーンを履いてみたいと思いました。
シャツとジーンズのなんてことないコーディネートに、こんなグリーンを合わせたら、きっとしゃれて見えますよね? 以前スペインのシャツブランド、カミサス マノロのデザイナーに取材したとき、『オールドスクールが気分だね』と話していたので、カミサスのベーシックで品のあるシャツにジーンズやスラックスで、足元にこのスエードのヴァンズを合わせてみたいです」(小澤)
BEST3:THE NORTH FACE|Nuptse Loafer
「ヌプシ」のDNAを受け継ぐ新型ローファー
「この秋、『ヌプシ ブーティ』からローファータイプが登場しました。ローファー人気も、ついにザ・ノース・フェイスにまで波及したか…と。アッパーはダウンのようなリサイクルポリエステルとスエード、2種類あります。個人的にはヌプシダウンがネタであることが大事なので、リサイクルポリエステルアッパーの方に惹かれました。
3年前にザ・ノース・フェイスがパラブーツとコラボしています。それはヌプシを彷彿とさせるキルティングをフルグレインレザーで仕立てたアッパーに、パラブーツの自社製ラバーソールを組み合わせていました。残念ながら、そのコラボレーションは一般発売されず…。もしリリースされていたなら、今でも欲しいと思っています。
今回の『ヌプシ ローファー』は、ただトレンドに寄せるわけではなく、アイコンを踏襲しつつ、どうやってモダンなアイテムに落とし込むかを考えられている点が素晴らしい。これはスニーカーに限らず、ファッションにおいて大事なことです。“ヘリテージ企画”としても、残し方と変え方のバランスが絶妙だと感じました。
余談ですが、僕は『ヌプシ ダウン ミュール』をずっと愛用しています。これは山のテント用にできたアイテムですが、冬場のルームシューズとして、自宅でも山でも、コレです。室内を歩いていても足音がしないからいいんですよ」(小澤)
BEST2:Onitsuka Tiger|MEXICO 66 DRIVING
今こそ履きたい高感度なドライビングスニーカー
「オニツカタイガーの名品、メキシコ66のドライビングシューズが昨年の秋に誕生しました。トレンド感のあるダークブラウンのワントーンは、今シーズンの新色です。メキシコは僕から見れば『元祖薄底スニーカー』という観があって、今の流行とリンクする部分も多いモデル。しかも、オニツカタイガーの靴づくりのレベルはそもそも高いので、とても高級感のある一足になっています。
僕は『キル・ビル』ファンでもなかったし、ストリートのカルチャーで育ったので、正直に言うと若い頃はオニツカタイガーとの接点がほとんどありませんでした。それがヨーロッパのカルチャーを知る中で海外からの信頼の大きさに感動を覚え、また大人になったことで洗練されたフォルムやものづくりへの真摯な姿勢を、自分なりの視点で受け止められるようになりました。
個人的にこのメキシコ 66 ドライビングは、モダンなイタリアのスニーカーのような印象があります。ブラウンの色みもシックだし、ソールユニットの完成度も見事です。この秋は、ストンと落ちるスラックスに合わせて、大人のスタイルを楽しみたいと思っています」(小澤)
BEST1:On × POST ARCHIVE FACTION (PAF)|Cloudmonster Hyper PAF
ファッションとランを両立する旬のコラボ第4弾
「オンとポスト アーカイブ ファクション (PAF)のコラボレーションは昨年の春にスタートして、その後も継続的に展開されています。僕は昨年秋の第2弾で登場した『クラウドベンチャー ピーク PAF』を、ドーバー ストリート マーケット ギンザで購入しました。それを履いていると、若い世代からも『いいですね』言われることが多く、“褒められ靴”の代表格というか、オンの魅力に気づくきっかけになっているようです。
数あるオンのコラボレーションの中でもポスト アーカイブ ファクションは、ファッション好きが一番に飛びつくブランド。スニーカーはモノトーンベースのものが多く、特に黒の表現の仕方が秀逸です。僕が手に入れた『クラウドベンチャー ピーク PAF』はトレイルランニングシューズだからソールがしっかりしていて、ミラノ出張では石畳の街中も快適に歩くことができました。
そして今回の第4弾では、 “走りたくなる”モデルとして人気の『クラウドモンスター』をピックアップしています。カラーリングやカーブを描くアッパーのデザインなど、僕がオンに期待する要素を見事に具現化しつつ、ライフスタイルとランニングをシームレスにつなぐ一足に仕上がっています。今回はどちらかと言えばランニングベースで履いて、自分のスタイルに落とし込んでいきたいと思っています」(小澤)
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。














