名品スニーカーをアレンジした一足から最新のテクノロジーを取り入れた個性的な一足まで、幅広いモデルを展開するアディダス オリジナルス。その中から、大人に似合う4型を東京スニーカー氏ことエディターの小澤匡行氏がピックアップ。
01:adidas Originals|ADISTAR HRMY
2000年代の空気感を纏うモダンな新作
「2000年代のランニングシューズを現代的に再構築したスニーカーがファッションシーンに浸透しています。このアディスター Hrmy(ハーモニー)もそんな流れから生まれた新作なんですが、日本的なトレンドとは違う文脈を感じています。90年代後半のヨーロッパの写真集に出てきそうな、普通の若者が履いていそうないなたさもあって気になりました。
アディスターシリーズは昨年、アディスタークッションが復刻されて、懐かしいなと何足か試していたところ。若い世代は上手に履きこなせるのでしょうが、僕にはちょっとリアルすぎて難易度が高かった。その点、アディスター Hrmyは現代的な要素もミックスされているし、6月10日に発売された新色のネイビーは2000年代感もありつつ取り入れやすい、いいバランスになっています。
サイドのツメのようなTPU素材の補強は、90年代後半のスニーカーに見られたテクノロジー。そのアッパーに厚みのある最新のソールを付けてバランスを整えています。軽量で履きやすいシューズに仕上がっている点も好印象です」(小澤)
02:adidas Originals|ZPONGE FLUX SHOES
新テクノロジーを搭載した和を感じるスニーカー
「アディダスは最近、ランニングシューズのテクノロジーをライフスタイルのスニーカーに落としこんでいます。昨年登場したアディゼロ アルクがその筆頭ですが、2025年秋冬の新型として登場したこのZponge(ズポンジ) フラックスシューズもそんなモデルのひとつ。Zpongeはアディダスの最新テクノロジーで、衝撃吸収技術を融合したスポンジのようなミッドソールが特徴です。
この7月に登場したZponge フラックス シューズは、2000年代に登場したAdiflux(アディフラックス)のアッパーにこのZpongeミッドソールを融合しています。アッパーのクロスしたようなデザインはハイテクだけれどもどこか和テイストという2000年代のトレンドで、モードなスタイルとも親和性が高い。第一弾はイエローにブルー、オレンジという鮮やかな配色でしたが、最近リフレクティブ素材を使用したモノトーン配色が発売されました。こういうオリエンタルなムードのスニーカーをサラッとスラックスに合わせてもいいんじゃないかと思いました。
Zpongeというネーミングはさておき、履き心地はとてもよくロッカー構造だから歩きたくなります。デザイン的にもファッショナブルで、意外と大人が履きやすい一足ではないかと。無地のブラックやネイビースタイルの足元によく合います」(小澤)
03:adidas Originals|CLOT STAN SMITH BY EDISON CHEN
夏にうれしい「スタンスミス」のエスパドリーユ
「スタンスミス Decon(ディコン)という踵が踏めるソフトレザーのモデルが去年発売されて、業界ではちょっとした話題になりました。知り合いのヴィンテージスニーカー店でもスタンスミス人気が上がっていると聞いて、個人的にも気になっていたところ、クロットとのコラボでエスパドリーユソールが登場。面白いなと思いました。
僕はこう見えて、サンダルやエスパドリーユを履くことも多く、革靴ブランドも定期的にチェックしています。去年はジェイエムウエストンのレザーのエスパドリーユを買って愛用していました。踵を踏んでスリッパのように履くこともできて、いい感じの夏の足元がつくれていたので、それをスタンスミスでもできるのかとうれしくなった。しかもアウトソールにはラバーが貼られているから、断然履きやすい。
スタンスミスやスーパースターは、こういう感じの変形モデルがときどき出てきます。後から『アレ、よかったよね』となることも多いから、世の中が盛り上がる前に自分の意志に従って買っておくのが得策では? という気がしています」(小澤)
04:adidas Originals|MONTREAL
レトロデザインにベージュという万能な掛け算
「1976年のモントリオールオリンピックに向けて開発された、モントリオール76をアップデートした新作です。当時、競技用ではなくトレーニングシューズとして登場したもので、オリジナルモデルはヒール部分がラバーで覆われています。今回発売されたのは、ヒールのラバーパーツをなくした履きやすいデザインで、僕は初めて見ました。
このモントリオールに関してはオリジナルモデルが云々というよりも、配色でピックアップしました。アディダスのこの手のトレーニングシューズは、『スタンスミス=白』のように特定の色のイメージがあまりなく、色を楽しむためにつくられています。僕のような黒い格好が多い大人にとって、足元に白のスニーカーは万能ではなく、少しまぶしすぎる存在になってしまいました。その点、ベージュやクリームといった色だと落ち着くんです。
このモントリオールもアディダスが得意とするレトロなデザインでベージュと、これはもう万能な掛け算だと思いました。黒い服だけでなく、夏は白パンツに合せたり、チノパンでワントーンなんて着こなしにもよさそうです。セレクトショップがすぐに別注しそうな予感がします」(小澤)
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。
アディダス コールセンター TEL:03-6732-5461
アトモス カスタマー TEL: 050-1720-8813







