コーディネートをより秋らしく演出したいなら、選ぶべきはブラウンカラーのスニーカー。東京スニーカー氏ことエディターの小澤匡行さんも注目するアイテムで周りと差がつく秋の着こなしを実現しよう。
01:On × BEAMS × REI Co-op|Cloudrock Low BEAMS REI
都会派オンの本気アウトドアシューズに注目
「オンのスニーカーには洗練された都会派の象徴というイメージがあります。でもこの3社コラボによる『クラウドロック ロウ ビームス アール・イー・アイ』を見て、オンってファッションだけじゃなく、もっと広い領域と接続できるブランドなんだな…と、その振り幅に改めて驚かされました。
ロエベとのコラボレーションではモードとのタッチポイントを提示しましたし、僕らのような働く40代にとってはデキる仕事道具のようなスマートな存在感もあったと思います。でも“アウトドア”という文脈は、正直これまでオンと結びついていなかった。もちろん、クラウドロックやクラウドホライズンといったハイキング向けのモデルは展開されていますが、どれも他のアウトドアメーカーのそれよりも都会的で、それがオンらしさだと感じていました。
今回のモデルは、アメリカ最大級のアウトドアブランド、REI(アール・イー・アイ)とのコラボということもあり、アウトドアショップのシューズコーナーに並んでいても違和感のない佇まい。黒×茶色の配色や、リサイクル素材を思わせるソールの質感など、王道アウトドアのディテールが逆に新鮮に映ります。
“都会的すぎるオン”を敬遠していた層にとっても、今回のコラボは魅力的に映るはず。新しい層へのアピールとしても面白い試みだと思います。僕自身、クラウドロックはまだ履いたことがないので、郊外ロケなどのタイミングでぜひ試してみたいです」(小澤)
02:MIZUNO FOR MARGARET HOWELL|MIZUNO HIKING SHOES
ファッション軸がない「ウエーブガゼル3 GTX」を洗練
「毎回注目しているミズノ フォー マーガレット・ハウエルの2025年秋冬モデルです。僕は今回ハウエルがピックアップしたベースモデル『ウエーブガゼル3 GTX』を、3~4年前から愛用しています。ミズノがウォーキングシューズとして展開しているだけあって、とにかく歩きやすい。GORE-TEX仕様だから雨の日はもちろん、旅行や出張にも持っていく率が高い一足です。
“ファッション軸”を持たない本気のウォーキングシューズを、あえて選んでいるところに、ハウエルらしいセンスを感じます。さらに今回は、ブラックのワントーンに加え、ダークブラウン×ブラックの配色を出しています。このコンビネーションがすごく上品でいい。持っているモデルはブラックなので、コラボのほうはブラウンを買いました。履いてみるとフィットと軽さがオリジナルモデルよりも上がっていて、実用性も優秀です。
メンズのドレスファッションの世界では、黒と茶色を合わせるのは長らくタブーとされてきました。黒はフォーマル、茶色はカントリーの色だからというのがその理由です。その境界線を越えてファッションに昇華させたのは2010年代、ディストリクト ユナイテッドアローズのディレクターだった栗野宏文さんでした。
スニーカーの世界でこの配色は、アウトドア系でもライフスタイル領域でもなかなか見かけません。ミズノ フォー マーガレット・ハウエルの独特で洗練されたこの配色のシューズを、この秋冬はブラウンのパンツに合わせて履きたいと思います」(小澤)
03:CONVERSE|CS BITLOAFER SK
革靴っぽく履ける正統なローファースニーカー
「スケーターがパーティなどでドレスアップするためのローファースニーカーが今、トレンドになっています。コンバース スケートボーディングのビットローファーは、もっとも正統なローファースニーカーだと思います。ビットのディテールも本格的ですし、木型もきれいだから上から見たときのルックスや着用感も、本当のローファーを履いているように感じました。
サイドにはクレープソール風のフォクシングテープを巻いているので、アッパーとソールのバランスもよく、ヒールにあしらわれたシェブロンスターの型押しもさり気ない。ヒールパッチを黒で目立たなくするなど、スニーカーとは思えないシックなデザインでまとめています。
今回の撮影ではブラウンをピックアップしましたが、ブラックもあります。ブラウンにはトラッドなルックスやトレンド感が、ブラックはより革靴っぽいムードがあって、それぞれによさがあります」(小澤)
04:Onitsuka Tiger|MEXICO 66 NM
クラシックだけれど今また新鮮に見える名品
「オニツカタイガーの中でも鳥取の山陰工場でつくられているNIPPON MADEシリーズのメキシコ 66です。ロンドンに行ったときオニツカタイガーを履いている人をたくさん見ました。彼らはストリートのカルチャーではなく、ラグジュアリーなヨーロッパの空気感で選んでいるんですよね。改めてメキシコ 66を手に取ると、今の薄底ブームやラグジュアリーブランドの薄底シューズとも重なって、クラシックだけれども新鮮に見えます。
昨年はパリの老舗メゾン、パトゥとコラボレーションしましたが、ファッションのシーンではオニツカタイガーがただのスニーカーブランドではない存在になっているんじゃないかと感じました。ロンドンのブティックもリージェントストリートのど真ん中、アップルとマイクロソフトに挟まれているという立地で、海外の人が新しい日本の象徴として捉えている。そういう点にも感銘を受けました。
NIPPON MADEは日本のものづくりにこだわったラインです。このメキシコ 66も薄くてやわらかな天然皮革を使っていて、高級感も携えている。ハイブランドのシューズにも引けを取らない大人のスニーカーを、履いてみたくなりました」(小澤)
05:Salomon|Snowclog Advanced
カラーリングも魅力的なゲーター付きモックシューズ
「夏用のスライドモックがよかったので、冬用を探してサロモンに行ったところ、このゲーター付きのモデルが出ていました。見た瞬間、これはありだなと。2WAYで履けるところはもちろん、このカラーにひと目惚れです。取り外しできるゲーターは防水機能付きで、フックでソールに留めるデザイン。これを付けることで、雪や雨を防げるようになっています。
センターには止水ファスナーが付いていて、脱ぎ履きも簡単だし、ゲーターを外せばメッシュニットアッパーのモックとして活躍してくれます。サロモンのアドヴァンスドラインだからテクノロジーをファッションとして昇華した仕様になっていますが、ゲーター付きというところに惹かれました。
自然からインスピレーションを受けたようなカラーリングの中でも、レディースっぽいこの淡いプラム系の色がいい感じです。ちょっとデザイナー色が強いシューズをサラッと履きこなせたらいいですね」(小澤)

「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。
ビームス メン 渋谷 TEL:03-3780-5500
マーガレット・ハウエル https://www.margarethowell.jp
コンバースインフォメーションセンター https://converse.co.jp/
オニツカタイガージャパン お客様相談室 TEL:0120-504-630
サロモンコールセンター TEL:03-6825-2134