2025年7月に連載「大人がこのスニーカーを買う理由」で紹介した新作を、アクセス数が多かった順にあらためてご紹介。大人が「本当に欲しい」スニーカーがわかる!
BEST5:Jordan|AIR JORDAN 8 RETRO “AQUA“
NBAオールスターでジョーダンが履いたカラーウェイ
「エア ジョーダン 8は僕の2足めのエア ジョーダンで、中学3年生のとき父親にアメリカ出張で買ってきてもらった思い出のスニーカーです。僕が欲しかったのは7でしたが、父親は店でエア ジョーダンと言って出されたものを買ってくれただけなので、それがどのモデルかわかるわけもなく…受け取った僕は『これじゃなかったのにな』と思いながらも言えずに、ずっと愛用していました。
部活でジョーダンを履くのはカッコつけすぎな気がして、部活の後、友だちと運動公園でバスケをするときや、塾に行くときなどファッションとして履いていました。僕が持っていた8は今回の『アクア』ではなく、黒ヌバックに赤と白の『プレイオフ』。当時はチャンピオンのリンガー風スウェットやベンデイビスのシャツにカーハートのパンツと、そんな空気感でコーディネートしていた記憶があります。どこか甘酸っぱく、気恥ずかしい思い出の8ですが、今見るとクロスストラップのデザインも意外にかわいい。
大人になるとファッションも凝り固まってきて、自分に合うものだけを着るようになってしまいます。そんなマンネリを脱するにはこのエア ジョーダン 8のように、自分の引き出しから取り出してきたものと組み合わせてファッションを楽しむのがいいんじゃないかと。買って満足するのではなく、自分のものにできたらいいなと思います」(小澤)
BEST4:NIKE SPORTSWEAR|AQUA TURF
ネオンカラーのスリッポンを着こなしの外しに
「今年復刻されたアクア ターフの新色で、ネオングリーンが登場します。昔のランニングシューズっぽいこの配色がよくて、今回ピックアップしました。アクア ターフは1992年に登場したスリッポン。もともと80年代にアクア ソックがあって、その次世代として当時のACGから出た水陸両用シューズがアクア ターフです。
配色だけでなく、折りにふれ登場するナイキのスリッポンにも僕は弱くて、出ると常にチェックしています。エア ウーブンやエア プレストもそうですが、足を包み込む構造のナイキのスニーカーが好きで、このアクア ターフもナイキのフィッティングに対するひとつのアプローチだと思うんです。ネオプレンの使い方が、90年代のエア ハラチを彷彿とさせます。
水陸両用ではありますが、あくまでファッションとして取り入れるのがおすすめです。間違っても短パンに素足で合わせてはいけません。普段のコーディネートに合せれば、ネオンカラーのスリッポンが今っぽいスポーティなムードを添えてくれます。いつまでもこういうネオンカラーを外しで取り入れられる、カッコいい大人でいたいですね」(小澤)
BEST3:asics|US6-S GEL-KINTIC FLUENT
ファッション感度の高いキコ監修モデルの新作
「ゲル-キネティック フルーエントのキコ・コスタディノフ監修バージョンです。ゲル-キネティック フルーエントは2010年代のいろいろなランニングシューズを融合して現代的にアレンジした新型で2024年の年末に登場しました。これから発売されるキコ監修はインラインとは違っていて、アッパーのデザインはもちろん、ヒールのスクートイドゲル(Scutoid GEL)がマーブルになっているあたりに心をつかまれました。
今年5月に北欧に行ったとき、アシックスの人気の高さに驚きました。キコが携わった7~8年前からずっと続いているそうです。似ているようでしっかり更新されていて、しかも飽きさせないデザイン。キコがアシックスとファッションの距離を近づけてくれたと、取材した店のバイヤーも語っていました。改めて彼が手がけたスニーカーを見ると、彼のアイデアやミックスのセンスは、いつも時代の先を行っているんだと理解できます。
今回のスニーカーも過去を見つめ直して、組み合わせることで、これが今のファッションの形なんだと提示しています。履き口からつま先へと一体化したシルバーのラインや、カップ状のオーバーレイがアシックスストライプに重なるディテールも新鮮です。そして大理石のようなヒールパート。こういう部分はまさにファッションですよね」(小澤)
BEST2:Jordan|AIR JORDAN 5 RETRO OG “GRAPE“
オリジナルに忠実な「グレープ」の復刻モデル
「エア ジョーダン 5は1990年に登場しました。日本でエア ジョーダンの評価を上げたモデルとして、また『スラムダンク』で流川が履いていたバッシュとしても人気です。今回復刻された『グレープ』(パープルとグリーンのコンビ)は、90年代初期にナイキがランニングシューズやほかのバッシュにも採用していたカラーウェイで、個人的にはエア ジョーダン 1のシカゴカラー(ブルズのチームカラーの白・赤・黒の配色)と同じくらいエア ジョーダン 5、イコール『グレープ』というイメージもあります。
5は2006年、2013年と過去に何回か復刻されていますが、ヒールに発売当時と同じNIKE AIRの文字が入るのは『グレープ』としては今回が初めて。というのもジョーダンブランドが設立されてからは、エア ジョーダンの復刻モデルにもNIKEの文字をなかなか使わなくなったので、今回の復刻はヘッズにとってかなり喜ばしいニュースだと思います。
UOMO読者はエア ジョーダン 1が好きな人が多いと思います。もちろん僕もそのひとり。でも今回紹介する5のように青春の過程にあったエア ジョーダンを買わずにはいられません。1は何にでも合う無敵感がありますが、5はどうやって今の自分のファッションに取り入れるかを考えるのが楽しい。今なら落ち感のいいゆるいパンツにタメをつくりたいときには、ボリュームのある5を合わせたいかな」(小澤)
BEST1:adidas Originals|CLOT STAN SMITH BY EDISON CHEN
夏にうれしい「スタンスミス」のエスパドリーユ
「スタンスミス Decon(ディコン)という踵が踏めるソフトレザーのモデルが去年発売されて、業界ではちょっとした話題になりました。知り合いのヴィンテージスニーカー店でもスタンスミス人気が上がっていると聞いて、個人的にも気になっていたところ、クロットとのコラボでエスパドリーユソールが登場。面白いなと思いました。
僕はこう見えて、サンダルやエスパドリーユを履くことも多く、革靴ブランドも定期的にチェックしています。去年はジェイエムウエストンのレザーのエスパドリーユを買って愛用していました。踵を踏んでスリッパのように履くこともできて、いい感じの夏の足元がつくれていたので、それをスタンスミスでもできるのかとうれしくなった。しかもアウトソールにはラバーが貼られているから、断然履きやすい。
スタンスミスやスーパースターは、こういう感じの変形モデルがときどき出てきます。後から『アレ、よかったよね』となることも多いから、世の中が盛り上がる前に自分の意志に従って買っておくのが得策では? という気がしています」(小澤)