白スニーカーは夏の定番アイテムだが、より大人っぽさを醸したいなら、ベージュ&グレーのスニーカーをおすすめしたい。東京スニーカー氏こと小澤匡行さんが注目する6型なら、選んでおいて間違いない。
01:SUPERGA|1925 Made In Italy
原点回帰した無垢な100周年限定モデル
「ストリートからは縁遠い存在のスペルガ。若い頃はカルチャーも違うし、履いたことがなかったんですが、15年ほど前でしょうか? プレッピーやアイビー、それからイタリアのクラシックなドレススタイルがトレンドに浮上したとき、初めて手に入れました。定番『2750』のネイビーを、インコテックスやGTA(ジーティーアー)のスラックスに合わせて、ベルベスト、バブアーのジャケットなんかを着たりして、自分なりのカジュアルスタイルをつくっていた時期がありました。
それまでの僕にはありえないくらいレトロなスニーカーでした。1960年代にアイビーリーガーが愛用していた靴だからそれは当然で、当時はそれなりに新鮮に感じました。そんなスペルガが100周年を迎え、イタリア製のモデルが世界1000足限定で発売されると聞いて見てみたところ、無垢なキャンバスでつくられていたのですごく面白いなと。メイド・イン・イタリーでラグジュアリーにするのではなく、アーカイブの一番古そうな原点に向かったのがよかった。
目の粗いキャンバスアッパーにはクラフト的なムードがあるし、通常はアッパーに付いているロゴタブもない。トゥがシュッとしていてバランスがよく、品もあります。このスペルガのように、ゼロに戻すと靴の本質が見えてきますよね。これにアーティストっぽく手書きでカスタムするのもいいかもしれません。定番に比べて価格は高めですが、薄底ブームの今、クラフト感のある『1925 メイドインイタリー』は買いだと思います」(小澤)
02:VANS|Authentic
ヴァンズはインラインの定番モデルが最強!?
「インラインで普通に売られているヴァンズのオーセンティックです。いろいろトピックはあるものの、インラインでこういう光るスニーカーが見つかるのが、ヴァンズの魅力。おしゃれな人たちは、なんてことのない定番のオーセンティックをサラッと履いているイメージがあります。
多くの場合、ハイブランドや人気ストリートブランドとのコラボモデルがうらやましく思えたりするものですが、ヴァンズはインラインのド定番が普通にカッコイイと思わせてくれます。誰かがオーセンティックの上位コラボを履いていたとしても、『自分は別にこっちでいいし』となるんです。守ってもらえている感覚がある。
今シーズンのこのCREPE PEYOTE(クレープ ペヨーテ)というオーセンティックの新色は、クリアクレープソールとスエードアッパーでこんなに高級感があるのに8,250円という価格。これでいいですよね。こういうのをサラッと品よく履いていたいです」(小澤)
03:PRADA|PRADA COLLAPSE sneaker
今の気分が凝縮されたファッションシューズ
「プラダの新作スニーカー『プラダ コラプス』は、レトロランニングシューズのアッパーをベースにしつつ、バレエシューズのディテールを取り入れて、踵を踏めばミュールにもなるという、ローテクの極みというか今の気分が全部凝縮された見事なシューズです。プラダのECサイトで見た瞬間、こればドンズバな靴が出たなと思いました。このミックスアップ感はなかなか出せるものではありません。
スポーツメーカーでは難しいとされることを、プラダはサラッとやってのけています。ベーシックかつモダンなデザインで、しかも今までにない感覚のスニーカーです。見た目には頼りない印象を覚えましたが、実際に履いてみるとものすごくフィットがしっかりしている。もちろんソールは薄いんですが、アッパーのつくりは本格的です。
サテン風のナイロン生地とスエードのコンビネーションで、ヴィンテージ加工が施されているのもさすがです。バレエシューズを履いたことがないので、未知の領域ではありますが、今のトレンドに乗って、先入観を押し切って取り入れてもいいんじゃないでしょうか」(小澤)
04:asics for BEAUTY&YOUTH|asics GEL KAYANO 14 BYSP
グレーを基調にした大人の配色が光る
「アシックスの履きやすい定番として、ゲルカヤノ14を挙げる人は多いですよね。個人的には近年のアシックス人気を支えているモデルだと思っています。2018年にキコ・コスタディノフがアシックスとコラボレーションして、その後デザインチームとしても携わるようになった頃、ゲルカヤノ14の復刻や再アプローチが行われ、それからアシックスブームが大きくなっていきました。今ではスタンダードなモデルになっています。
アシックスといえばスペーサーメッシュが象徴的で、Y2Kの代名詞にもなっています。ゲルカヤノ14はシルバーベースの配色が多いのですが、このビューティー&ユース別注は、ゲルキンセイで人気を博したグレー系の配色をゲルカヤノ14に落とし込んでいるそうです。ピカピカなシルバーではなく、グレーをベースにしたトーンが新鮮に感じました。
履いてみるとスニーカー単体で見た印象とちょっと違って、ただライトなだけではなく、しっかりと足元に存在感が出ます。Y2Kなようでいて、きちんと大人のアシックスになっているから、コーディネートもしやすそう。シルバー系に抵抗を感じている大人におすすめしたいです」(小澤)
05:PUMA|GV SPECIAL LMC
2000年代のテイストをミックスした感度の高いコラボ
「韓国のストリートブランド、LMC(エルエムシー/LOST MANAGEMENT CITIES)とのコラボレーションモデルです。LMCについては詳しいことは知りませんが、韓国ブランドのコラボは、以前紹介したミズノのウエーブ ライダー 10のときもそうでしたけど、ファッションの文脈でシンプルに今っぽいことをやってくれるので、UOMO読者には取り入れやすいと思います。
プーマのカップソール系の靴は、過去にダンスやヒップホップのカルチャーと絡んでいたこともあり個人的にも好きです。GVスペシャルは僕の中では90年代のイメージが強いところに、2000年代のトレンドであるシルバーのカラーウェイをミックスしていている点で新鮮に感じました。インラインのGVスペシャルをファッションとして取り入れるのはハードルが高いけれど、これなら合わせやすいと思います。
上から見たときのパンチングのデザインが好きで、僕がもともと好きなGVスペシャルのよさをこれだけ引き出してくれています。韓国、と聞くと自分にはちょっと若いかな、と思うこともあるんですが、自分の感性にフィットするなら、コラボとか気にせずにどんどん選んでしまってよいのではないでしょうか」(小澤)
06:On|Cloudsurfer 2
ファッションに合わせて履きたいオンの新作
「クラウドサーファーはオンが創業当初からつくっているロードランニングシューズです。数年おきにアップーデートされ、ルックスも初代からだいぶ変わってきていますが、名前はそのままという定番。それが今回クラウドサーファー2となって登場しました。
オンのスニーカーは僕の中で大きく2タイプに分かれていて、ファッションに合わせて履きたいか、ランニングユースオンリーか。その違いはソールの形状によるところが大きいです。新作のクラウドサーファー2は、ファッションに合わせて履きたいほう。クラウドテックフェーズのソールがスーッとフラットでロッカー構造になっているのがこのタイプです。ソールがデコボコしているクラウドモンスター2のようなモデルは、わりと存在感が強めなのでもっぱらラン用。もちろん、どっちをタウンで履いてもいいんですが、僕はデイリーユースならフラットなほうが好きです。
それからオンが素晴らしいのは配色のセンス。ニットアッパーのスニーカーってパーツがどんどん少なくなっていて切り替えなどがないから、配色のコントラストの表現が難しいと思うんです。それでもオンはシューレース留めにさり気なくイエローをあしらったり、とてもきれいにこなしています」(小澤)

「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。
サンプルデリカ info@sampledelica.com
コンバースインフォメーションセンター TEL: 0120-819-217
VANSジャパンカスタマーサポート TEL: 0120-994-250
ミスタークリーン TEL:090-2206-1755
NIKE カスタマーサービス TEL:0120-6453-77